疾患解説
フリガナ | タイジセキガキュウショウ |
別名 | |
臓器区分 | 血液・造血器疾患 |
英疾患名 | Erythroblastosis Fetalis |
ICD10 | P55.9 |
疾患の概念 | 胎児赤血球に対する母体の抗体が、経胎盤的に移行することで発症する溶血性貧血で、通常は母体と胎児間での血液型不適合によって発症する。Rh陰性の女性が、Rh陽性の男性により妊娠し、胎児がRh陽性の場合に発症しうる。胎児赤芽球症を引き起こす他の胎児母体不適合には、Kell、Duffy、Kidd、MNS、Lutheran、Diego、Xg、P、EeおよびCc抗原系などがあるが、ABO式血液型の不適合は、胎児赤芽球症を発症しない。最初の妊娠では、合併症は発症しないが、次回の妊娠では、母体抗体が胎盤を通過し胎児赤血球を溶血させ、貧血、低アルブミン血症、高拍出性心不全、胎児死亡を引き起こす。貧血により胎児の骨髄が刺激され、赤芽球を産生し胎児末梢循環中に放出するのが、胎児赤芽球症である。溶血は新生児に間接ビリルビン値の上昇を招き、核黄疸を起こす。 |
診断の手掛 | 全ての妊婦にABO、Rh血液型検査を行い、妊婦がRh陰性の場合は、父親の血液型を確認し、Rh陽性であれば妊娠26~28週に母親のRh抗体価を測定する。抗体価が16倍以上の場合は羊水を採取し、ビリルビン値と胎児中大脳動脈血流を測定し胎児に貧血が見られた場合はハイリスク妊娠として管理する。 |
主訴 | 黄疸|Jaundice |
鑑別疾患 |
血液型不適合妊娠 自己免疫性溶血性貧血|Autoimmune Hemolytic Anemia(AIHA) 薬剤性溶血性貧血 血液型不適合輸血 |
スクリーニング検査 |
Bilirubin-Direct|直接ビリルビン/抱合型ビリルビン [/S] Bilirubin-Indirect|間接ビリルビン/非抱合型ビリルビン [/S] Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S] Erythrocytes|赤血球数 [/B] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S] Leukocytes|白血球数 [/B] Platelets|血小板 [/B] |
異常値を示す検査 |
Ammonia|アンモニア [/B] Coombs' Test|クームス試験 [Positive/S] Hemoglobin F|ヘモグロビンF/胎児性ヘモグロビン/胎性ヘモグロビン [/B] Immunoglobulin D|免疫グロブリンD [/S] Osmotic Fragility|赤血球浸透圧抵抗試験(サンフォード法)(パルパート法)/赤血球抵抗試験/赤血球浸透圧脆弱性試験/食塩水浸透圧抵抗試験 [/RBC] Reticulocytes|網赤血球/レチクロサイト/網状赤血球数 [/B] Urobilinogen|ウロビリノゲン定性(尿) [/U, /F] |
関連する検査の読み方 |
【ビリルビン】 羊水中の△OD450値がLiley予測域の1域なら、直ちに胎児輸血か娩出が必要である。 【不規則抗体スクリーニング】 初回の妊婦健診で全ての女性に対し、血液型、Rh型、抗Rh0(D)および抗原への反応で胎児赤芽球症の原因となりうる他の抗体についてスクリーニングを行う。 【スクリーニング検査の結果】 女性がRh陰性で抗Rh0(D)陽性または、胎児赤芽球症の原因となりうる他の抗体検査陽性の場合は、父親の血液型および接合性を確認する。父親がRh陰性で、母親が抗体に対応する抗原陰性なら検査は必要ない。父親がRh陽性であるか、または抗原を有する場合は、母体の抗Rh抗体価を測定し、抗体価は陽性であるが一定の値以下(通常1:8~1:32)の場合は、20週以降2~4週間毎に測定する。 |
検体検査以外の検査計画 | 胎児中大脳動脈血流量測定 |