疾患解説
フリガナ | チロシンケッショウ |
別名 | チロシン代謝障害 |
臓器区分 | 代謝性疾患 |
英疾患名 | Tyrosinemia |
ICD10 | E70.2 |
疾患の概念 | チロシンはドパミン、ノルエピネフリン、エピネフリンなどの神経伝達物質、サイロキシンなどのホルモンやメラニンの前駆物質であり、その代謝に関与する酵素の欠損は、様々な症候群を発症する。チロシン血症は、新生児一過性チロシン血症、チロシン血症I型、チロシン血症II型に分けられる。チロシン血症I型は常染色体劣性形質で、チロシン代謝に必要な酵素であるフマリルアセト酢酸ヒドラーゼの欠乏が原因である。この疾患は、新生児期の劇症肝不全または乳児期後期および幼児期の肝炎、有痛性の末梢神経障害および尿細管疾患、低リン血症、ビタミンD抵抗性くる病が見られる。乳児期に死亡を免れた患児は、肝癌の発症リスクが著しく高い。チロシン血症II型は常染色体劣性遺伝疾患で、チロシンアミノ基転移酵素の欠損により発症し、チロシンの蓄積で、皮膚潰瘍および角膜潰瘍が見られる。アルカプトン尿症は常染色体劣性遺伝疾患で、ホモゲンチジン酸酸化酵素の欠損により発症し、ホモゲンチジン酸の酸化物が皮膚に蓄積するため皮膚が黒変し、関節内に結晶が析出する。 |
診断の手掛 |
新生児一過性チロシン血症:大半は無症状であるが、時に嗜眠と哺乳不良を来す事がある。 チロシン血症I型:新生児期には劇症肝不全、乳児期と幼児期には不顕性肝炎、末梢神経障害、尿細管障害などが見られる。 チロシン血症II型:皮膚と角膜に潰瘍を来す。 アルカプトン尿症:ホモゲンチジン酸の酸化物の蓄積により、皮膚の黒変と関節への結晶沈着を来す。 |
主訴 |
黄疸|Jaundice 精神発達遅滞|Mental retardation 体液異常臭|Abnormal odor of body fluid |
鑑別疾患 |
中枢神経障害 肝機能障害 腎機能障害 |
スクリーニング検査 |
α-Fetoprotein|α-フェトプロテイン [/S] Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S] Chloride|クロール [/S] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/U] Phosphate|無機リン [/S] Potassium|カリウム [/S] Uric Acid|尿酸 [/S] γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/S] |
異常値を示す検査 |
5-Oxoproline [/RBC, /U] Amino Acids|アミノ酸分析/アミノ酸41分画 [/U] Ammonium Ions|アンモニウムイオン [/U] Anion Gap|アニオンギャップ [/U] Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S] Copper|銅 [/S] International Normalized Ratio|プロトロンビン-INR [/P] Methionine|メチオニン [/U] Osmolal Gap|浸透圧ギャップ [/U] pH|尿pH [/U] Phenylalanine|フェニルアラニン [/U] Succinylacetone [/U] Tyrosine|チロシン [/P, /U] δ-Aminolevulinic Acid|δ-アミノレブリン酸(尿)/5-アミノレブリン酸 [/U] |
関連する検査の読み方 |
【チロシン】 チョロシン血漿Ⅰ型とⅡ型では高値になる。 【尿中サクシニルアセトン】 Ⅰ型では高値、Ⅱ型では欠如する。 【フマリルアセト酢酸ヒドラーゼ】 Ⅰ型だは血球と肝生検検体で活性値が低下している。 【尿中ホモゲンチジン酸/アルカプトン】 アルカプトン尿症で4~8g/24時間以上の高値となる。アルカプトン尿症はホモゲンチジン酸の分解酵素の欠損が原因である。汗や尿へ排泄されるが、体内に蓄積すると褐色の色素沈着や関節炎を発症する。 |
検体検査以外の検査計画 |