疾患解説
フリガナ | アフリカトリパノソーマショウ |
別名 |
アフリカトリパノソーマ症 アフリカ睡眠病 睡眠病 |
臓器区分 | 感染性疾患 |
英疾患名 | Trypanosomiasis |
ICD10 | B56.9 |
疾患の概念 | 住血鞭毛虫類のローデシアトリパノソーマとガンビアトリパノソーマ原虫による感染症で、ツェツェバエの刺咬により伝播する。原虫は体内で増殖し、血液やリンパを介して広がるが、やがて宿主が産生する抗体により原虫の数は減少する。しかし、免疫破壊を免れた一部の原虫は、新たに増殖を開始し、心筋や中枢神経系など多くの臓器の間質液中に現れる。この原虫は輸血を介しても伝播する。 |
診断の手掛 | ツェツェバエの刺咬部位に、暗赤色の有痛性の硬化小結節(トリパノソーマ下疳)が数日から2週間以内に認められたら、本症を疑う。代表的な症状は、特徴的皮膚病変(丘疹状の発疹)、間欠熱、頭痛、悪寒、浮腫、全身性リンパ節腫脹、肝腫大、脾腫、髄膜脳炎である。 |
主訴 |
悪寒戦慄|Chill with shivening 肝腫大|Hepatomegaly 丘疹|Papule 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 脾腫|Splenomegaly 浮腫|Edema/Dropsy 発疹|Eruption/Exanthema リンパ節腫脹|Lymphadenopathy |
鑑別疾患 |
アルボウイルス脳炎 インフルエンザ|Influenza 精神病 伝染性単核球症|Infectious Mononucleosis 肺炎|Pneumonia 白血病 マラリア|Malaria リンパ腫 |
スクリーニング検査 |
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S] Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S] Lymphocytes|リンパ球 [/B] Monocytes|単球 [/B] Rheumatoid Factor|リウマチ因子測定/RAゼラチン凝集反応/リウマチ因子定量 [/S] TSH|甲状腺刺激ホルモン [/S] Thyroxine|総サイロキシン/総T4/サイロキシン/チロキシン [/S] Tri-iodothyronine,Free|遊離トリヨードサイロニン/フリーT3/遊離T3/遊離トリヨードチロニン [/S] VDRL|性病研究所梅毒検査法/VDRL法 [Positive/S] γ-Globulin|γ-グロブリン [/CSF] |
異常値を示す検査 |
Haptoglobin|ハプトグロビン [/S] Immunoglobulins|免疫グロブリン [/S] Interleukin-1β|インターロイキン-1β [/S] Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S] Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/S] |
関連する検査の読み方 |
【原虫】 確定診断は下疳中の体液、リンパ節吸引液、血液、骨髄穿刺検体または感染後期では髄液中のトリパノソーマの検出が必要である。T.brucei rhodesienseでは血液塗抹標本、ガンビアトリパノソーマは、腫大したリンパ節から吸引した体液を用いるのが望ましい。直接鏡検で運動性を示すトリパノソーマの有無を調べ、標本は固定してギムザまたはField染色法で染色して鏡検する。濃縮法により感度が向上する。 【脳脊髄液】 感染の疑いのある全ての患者は、CSFの検査が必要である。 【CBC】 原虫の赤血球への直接侵入による溶血性貧血がみられる。単球は7%以上、1,000/μL以上になる。原虫が存在するので、塗抹標本を作る。 【PCR】 慢性期では殆どの患者で原虫特異DNAが検出される。 【IgM】 多クローン性のIgMが増加する。 【抗体】 発症後に陽転するため臨床的にあまり有用ではない。 【梅毒血清反応】 偽陽性を示すことがある。 |
検体検査以外の検査計画 |