疾患解説
フリガナ | イッカセイノウキョケツホッサ |
別名 | |
臓器区分 | 神経・筋疾患 |
英疾患名 | Transient Ischemic Attack(TIA) |
ICD10 | G45.9 |
疾患の概念 | TIAは脳の虚血により、脳卒中様の症状を発症し、1時間以内に後遺症を残すことなく症状が消失する病態を指す臨床診断名で、脳梗塞の警告症状として重要視されている。TIAは中年および高齢者で最も多く見られ、原因としてラクナ梗塞、動脈血栓、動脈塞栓などが挙げられる。TIAは症状の持続時間が、通常1時間未満であることを除いて、虚血性脳卒中と類似するが、殆どのTIAの持続時間は 5分未満である。障害が1時間以内に消失すれば、梗塞の可能性は非常に低い。1~24時間以内に自然消失する障害は、しばしば梗塞を伴うためTIAとはみなされない。 |
診断の手掛 | 一側性の神経機能障害が、頭痛を伴わずに出現したら本症を疑う。発作の持続時間の50~70%は1時間以内である。1時間以内に消失する局所神経脱落症状は、ほぼ常にTIAであると考えてよい。発作の回数は、1日数回から、数年に1回迄あり多様である。頭痛、昏睡、嘔吐などを訴えたら出血を考える。TIA発症後24~48時間は、脳卒中リスクの最も高い時間帯なので慎重に経過を観察する。単独の末梢性顔面神経麻痺、意識消失または意識障害は、TIAを否定してよい。診断の際には、類似の症状を引き起こす低血糖、片頭痛の前兆、発作後麻痺との鑑別が必要である。 |
主訴 |
運動失調|Ataxia 運動麻痺|Motor paralysis 嚥下障害|Dysphagia 感覚障害|Sensory disturbance 顔面運動麻痺|Facial motor paralysis 視力消失|Dysopsia 複視|Diplopia 片側運動麻痺|Hemilateral motor paralysis めまい|Dizziness |
鑑別疾患 |
一過性全健忘 過換気症候群|Hyperventilation Syndrome 頸動脈狭窄症 大動脈弁膜症 低血糖症|Hypoglycemia, Unspecified てんかん|Epilepsy 動脈硬化症|Arteriosclerosis 良性発作性頭位めまい 脳腫瘍|Cerebral Tumor 脳動脈奇形 Adams-Stokes症候群 頸動脈洞過敏症 Meniere病 多血症 抗リン脂質抗体症候群 側頭動脈炎|Temporal Arteritis 播種性血管内凝固症候群|Disseminated Intravascular Coagulation(DIC) 本態性血小板血症|Essential Thrombocythemia(ET) |
スクリーニング検査 |
Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] LDL-Cholesterol|LDL-コレステロール/低比重リポ蛋白コレステロール [/S] Leukocytes|白血球数 [/B] Uric Acid|尿酸 [/S] |
異常値を示す検査 |
Adenosine Monophosphate|アデノシン一リン酸/アデニル酸 [/Platelets] Antiphospholipid Antibodies|抗リン脂質抗体/抗PL抗体/抗カルジオリピン(CL)抗体/ループスアンチコアグラント(LA)/リン脂質抗体 [/S] Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S] Neutrophil Gelatinase-associated Lipocalcin [/S, /S] Neutrophil Proteinase 4 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【HbA1c】 粥状動脈硬化症の危険因子である糖尿病の確認のためにチェックする。 【必要な検査】 CBC、血小板数、PT、APTT、ホモシステイン、ESR、梅毒血清反応などを行う。 【グルコース】 ラクナ梗塞のリスク因子として測定する。 【リポ蛋白分画】 粥状動脈硬化症の危険因子である高脂血症確認のためにチェックする。リポ蛋白分画は血清中のリポ蛋白のうちVLDLとLDLを比濁法で測定するもので、超遠心法に比べ簡便に測定できる利点がある。臨床的には動脈硬化の危険因子の評価、高コレステロール血症や低リポ蛋白血症のスクリーニングとして用いる。異常値を見た場合はCETP、HbA1c、75gOGTT、LPL、アルブミン、甲状腺ホルモン、コレステロール、中性脂肪、アポB、アポC-II、などを測定し、異常値の原因となっている基礎疾患を特定する。 |
検体検査以外の検査計画 | 超音波検査、頭部CT検査、MRI検査、CTアンギオグラフィー、MRIアンギオグラフィー、頸動脈ヂュプレックス超音波検査、血管造影検査、心電図検査、経胸壁・食道心超音波検査 |