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疾患解説

フリガナ ホンタイセイケッショウバンケッショウ
別名 本態性血小板増加症
特発性血小板増加症
原発性血小板増加症
出血性血小板血症
臓器区分 血液・造血器疾患
英疾患名 Essential Thrombocythemia(ET)
ICD10 D47.3
疾患の概念 基礎疾患がなく、45万/μLを超える血小板増加が持続し、血栓や出血傾向を伴う疾患で、造血幹細胞レベルの慢性骨髄増殖性疾患の一型である。真性赤血球増加でみられるJAK2変異が、本症の1/4に見られる。患者は、60歳代に多いが、女性では30歳代にピークが見られる。ETは、多能性造血幹細胞のクローン異常で、血小板の産生が増加するが、血小板寿命は正常である。血小板数の増加は、重篤な出血と血栓症を引き起こし、血栓症は、死亡の主要原因である。最近の研究で、白血球数高値が血栓症の重要かつ独立した危険因子であることが報告された。
診断の手掛 手指、足指の虚血症状、紫斑、鼻出血などを訴える患者を診たら本症を疑う。一過性脳虚血発作、脳梗塞、心筋梗塞などが見られることがある。患者の半数以上に脾腫が見られるので慎重に触診を行う。本症は日常検査の血小板数測定で偶然見つかることが最も多いので注意する。
【診断基準:2008年WHO】
下記の4項目全てを満たすこと
1.血小板数が持続的に45万/μL以上
2.骨髄生検で巨核球系を主体とする増殖が見られ、大型の成熟巨核球を多数認める。好中球系と赤芽球系には優位な増加や左方移動は認めない。
3.PV,PMF,CML,MDSその他の骨髄腫瘍のWHO診断基準に合致しない。
4.JAK2V617F変異やクローナルなマーカーが存在する。これが存在しない場合には、反応性血小板増加の証拠が見られないこと。
主訴 感覚障害|Sensory disturbance
肝腫大|Hepatomegaly
歯肉出血|Gingival bleeding/Ulorrhagia
紫斑|Purpura
手指虚血|Ischemic finger
出血傾向|Bleeding tendency/Hemorrhagic diathesis
消化管出血|Gastrointestinal bleeding
耳鳴|Tinnitus
頭痛|Headache/Cephalalgia
脱力感|Weekness
点状出血|Petechiae
皮下出血|Bruise/Subcutaneous bleeding
脾腫|Splenomegaly
鼻出血|Nosebleed/Nasal hemorrhage/Epistaxis
めまい|Dizziness
鑑別疾患 悪性腫瘍
アルコール依存症|Alcoholism
エイズ/HIV感染症|Acquired Immune Deficiency Syndrome(AIDS)
関節リウマチ|Rheumatoid Arthritis
骨髄線維症|Myelofibrosis
骨髄異形成症候群|Myelodysplastic Syndrome
重症急性呼吸器症候群|Severe Acute Respiratory Syndrome(SARS)
真性赤血球増加症
鉄欠乏性貧血|Iron Deficiency Anemia
特発性血小板減少性紫斑病|Idiopathic Thrombocytopenic Purpura(ITP)
敗血症|Sepsis
播種性血管内凝固症候群|Disseminated Intravascular Coagulation(DIC)
脾機能亢進症|Hypersplenism
貧血
慢性感染症
慢性骨髄性白血病|Chronic Myeloid Leukemia(CLM)
スクリーニング検査 Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S, /WBC]
Iron|鉄/血清鉄 [/S]
Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S]
Leukocytes|白血球数 [/B]
Platelets|血小板 [/B]
Uric Acid|尿酸 [/S]
異常値を示す検査 Antithrombin III Activity|アンチトロンビンIII/アンチトロンビン [/P]
Lysozyme|リゾチーム/ムラミダーゼ/ムコペプタイド/グリコヒドロラーゼ [/S]
Protein S|プロテインS/プロテインS抗原量 [/P]
Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/S]
β2-Microglobulin|β2-ミクログロブリン/β2-マイクログロブリン [/S]
関連する検査の読み方 【CBC】
血小板は著明に増加し、60万/μLを超える。症例によっては200万/μLに増加することもある。白血球は10,000~30,000 /μL程度に増加するが、骨髄球より幼弱な細胞はみられない。軽度の貧血が1/3の患者に認められる。ヘマトクリット、MCVは基準範囲内である。
【血液像】
血小板形態は早期には正常のように見えるが、後期には異常になり、巨大血小板が見られる。涙滴赤血球は認められない。
【骨髄像】
一部形態異常を伴う巨核球が増加する。骨髄線維化は認められない。
【アデノシン三リン酸】
血小板からのATPの放出が減少し、低下することがある。
【アデノシン二リン酸】
血小板からのADPの放出が減少し、低下することがある。
【出血時間】
患者の半数で軽度の延長を認める。
【血清鉄】
基準範囲内である。
【フィラデルフィア染色体】
認められない。
【Major BCR-ABLキメラmRNA】
CMLとの鑑別のため全例に行う。この検査は白血病細胞から抽出したRNAを使い、major BCR-ABLキメラmRNAの有無を調べるものである。major BCR-ABLキメラmRNAが検出されれば、BCR遺伝子領域内が切断されABL遺伝子と融合し、白血病の発病に関与していることが証明される。これにより、癌遺伝子の変異が直接検出され癌の病因診断が可能となる。臨床的には慢性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病の治療後に残存する微小病変(細胞)の追跡、CMLやALL細胞の特異的高感度マーカーとして用いる。
検体検査以外の検査計画

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