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疾患解説

フリガナ エキノコックスショウ
別名 包虫症
臓器区分 寄生動物疾患
英疾患名 Echinococcosis
ICD10 B67.9
疾患の概念 エキノコックス属の単包条虫または多包条虫の感染により、主として肝に腫瘍性病変(多嚢胞性包虫症)を形成するもので、わが国では北海道が流行地である。嚢胞が破裂すると発熱、蕁麻疹、アナフィラキシーを引き起こすことがある。単包条虫はイヌ科の動物が最終宿主で、草食動物(ヒツジ、ウマ、シカ)またはヒトが中間宿主である。多包条虫はキツネに寄生し、幼虫は小型の野生齧歯類にみられる。ときにヒトへの感染が起きるが、主な感染源はイヌである。動物の糞便を介して摂取された虫卵は、腸管内で孵化し、六鉤幼虫を放出する。六鉤幼虫は腸壁から血行性に移行し、肝、肺、脳、骨や他の臓器に寄生する。組織内で単包条虫の六鉤幼虫はシストとなり、これが何年もかけて発育し、液体の充満した大きな単房性の包虫嚢胞になる。この嚢胞中には、小さな感染性原頭節を多数含んだ繁殖胞が形成される。多包条虫は、局所侵襲性で海綿状の嚢胞となり、主に肝臓にみられるが、肺または他の組織にみられることもある。嚢胞は周辺組織に侵入、破壊し肝不全から死を招くことがある。4類感染症である。
診断の手掛 キツネの生活域(わが国では北海道の狐と犬に感染している)に居住する特に酪農家や野外労働者が、超音波検査などを受けた際に偶然発見されることが多い。感染から発症までには数年から10年以上を要する。北海道など流行地の居住者が黄疸、腹痛、腹部不快感、咳、痰、胸痛、喀血を訴えたら本症を疑う。多くの場合小児期に感染するが、嚢胞が重要な臓器に存在する場合を除き、臨床徴候は何年間も現れない。肝嚢胞は、最終的に腹痛や黄疸を引き起こしたり、触知可能な腫瘤を作る。胆管、腹腔内または肺で破裂すると発熱、蕁麻疹または重篤なアナフィラキシー反応を引き起すことがある。肺嚢胞の破裂は咳、胸痛および喀血の原因となる。
主訴 黄疸|Jaundice
喀血|Hemoptysis
肝腫大|Hepatomegaly
胸痛|Chest pain
食欲不振|Anorexia
咳|Cough
痰|Sputum
腹水|Ascites
腹痛|Abdominal pain
腹部不快感|Abdominal discomfort
腹部膨満感|Sense of Abdominal fullness
浮腫|Edema/Dropsy
鑑別疾患 肝癌
胆管癌|Cholangiocarcinoma
転移性肺癌
肝血管腫
肝嚢胞
ショック|Shock
胆管嚢胞腺腫
スクリーニング検査 Albumin|アルブミン [/S]
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S]
Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S]
Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S]
Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S]
Creatine Kinase|クレアチンキナーゼ/クレアチンホスホキナーゼ [/S]
Eosinophils|好酸球 [/B]
Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S]
γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/S]
異常値を示す検査 Acid Ribonuclease|酸性リボヌクレアーゼ [/S]
Alkaline Ribonuclease|アルカリ性リボヌクレアーゼ [/S]
Anti-Echinococcus Antibody|エキノコックス抗体/抗エキノコックス抗体 [/S]
Immunoglobulin E|免疫グロブリンE/非特異的IgE/レアギン抗体 [/S]
Urea|尿素 [/S]
関連する検査の読み方 【CBC】
好酸球が増加する。
【エキノコックス抗体】
EIA法で陽性になった場合はウエスタンブロット法で確認し、同時に抗EM18抗体が陽性なら診断は確定的である。エキノコックスはキツネやイヌの腸管に寄生しているが、ヒトが虫卵を経口的に摂取すると肝などに嚢胞を形成する。嚢胞は単胞虫では単一嚢胞であるが、多胞虫では嚢胞が多数集合し、浸潤性に発育し多くの臓器に転移性に拡大する。臨床的には北海道などの流行地に居住していたり居住歴を持つ人が、着実に広がる空間占拠性病変を肝内に認めた場合は、エキノコックス感染を強く疑い検査する。
【免疫ブロット法】
この方法によるエキノコックス特異抗体の検出は、最も特異性が高い。肝嚢胞では特異度95%、感度91%である。ただし、有鉤条虫の感染がある患者の5~25%に交叉反応が見られる。
【血清検査】
ELISAのOD値(0.5≦),WB(+),Em18に対する抗体(+)なら診断は確定する。
【包虫砂】
吸引した嚢胞液中に原頭節と残屑からなる包虫砂が存在すれば、診断が確定する。
【肝生検】
確定診断に用いる。
検体検査以外の検査計画 腹部単純X線検査、腹部CT検査、MRI検査、超音波検査、腹腔鏡検査
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