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疾患解説

フリガナ キュウセイカンセンセイカンセツエン
別名
臓器区分 感染性疾患
英疾患名 Acute Infectious Arthritis
ICD10 M00.9
疾患の概念 滑膜、関節周囲組織または滑膜組織の感染症で、数時間または数日に亘って進行する。典型例は若年成人のNeisseria gonorrhoeaeによるものであるが、非淋菌性(大腸菌、緑膿菌、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、レンサ球菌)も存在する。通常、単関節に見られ手関節が最も多い。細菌は、外傷、手術、関節穿刺、咬傷からの、直接の侵入と骨髄炎、軟部組織の膿瘍、感染創などの隣接する感染巣からの拡大または遠隔感染巣からの血行性によって関節に達する。若年成人および青年では淋菌が最も一般的な原因で、淋菌が感染した子宮頸部、尿道、直腸、咽頭から血流を介して感染する。患者は同時にChlamydia trachomatisによる性器感染症を有することが多い。関節では多形核白血球が遊走し、細菌を貪食するが、細菌を貪食すると滑膜、靱帯および軟骨を損傷するライソゾーム酵素放出し、多形核白血球の自己融解を来す。
診断の手掛 数時間または数日に亘り進行する中等度から重度の関節痛、熱感、圧痛、運動制限を訴える患者を診たら本症を疑う。全身症状はわずかであるか、または見られない。淋菌性関節炎は、特徴的な皮膚炎-多関節炎-腱鞘滑膜炎症候群を引き起こす。臨床像は、発熱(5~7日間)、粘膜表面および体幹、手または下肢の皮膚における複数の点状出血、丘疹、膿疱、出血性の小水疱または水疱、壊死性病変と1つ以上の関節の持続性の移動性の関節痛、関節炎および腱鞘滑膜炎である。非淋菌性の細菌性関節炎は、動作または触診によって悪化する進行性の中等度から重度の関節痛を引き起し、感染した関節のほとんどに腫脹、発赤および熱感が見られる。
主訴 圧痛|Tenderness
運動障害|Dyskinesia
悪寒戦慄|Chill with shivening
関節圧痛|Joint tenderness
関節痛|Arthralgia
関節熱感|Heat sensation of joint
熱感|Heat sensation/Warm sensation
発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever
発赤|Flare/Rubor
鑑別疾患 変形性関節症|Osteoarthritis(OA)
痛風|Gout
結核性関節炎
悪性腫瘍
関節リウマチ|Rheumatoid Arthritis
全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE)
全身性硬化症
多発性筋炎/皮膚筋炎|Polymyositis/Dermatomyositis
スクリーニング検査 C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S]
Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S]
Leukocytes|白血球数 [/B, /Synovial Fluid]
Neutrophils|好中球 [/B, /Synovial Fluid]
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/Synovial Fluid]
異常値を示す検査 C-terminal Propeptide of Type I Procollagen|Ⅰ型プロコラーゲンC末端プロペプチド [/Saliva]
Complement, Total|補体価/CH50 [/Synovial Fluid]
Hyaluronic Acid|ヒアルロン酸 [/S]
L-Lactate [/Synovial Fluid]
Lactate|乳酸/ラクテート [/P, /Synovial Fluid]
Nitroblue Tetrazolium Test|ニトロブルー・テトラゾリウム試験/白血球殺菌能試験 [/B, /Synovial Fluid]
pH|尿pH [/Synovial Fluid]
Phospholipase A2 Type II [/Synovial Fluid]
Prostaglandin E2|プロスタグランジンE2 [/Synovial Fluid]
関連する検査の読み方 【関節液一般検査】
関節液を採取し顕微鏡的に細胞数算定や染色による細胞分類により、炎症性疾患と非炎症性疾患の鑑別を行う。細胞数が2,000/μL以上で化膿性関節炎が疑われる時は直ちにグラム染色により菌の存在を確認し培養を行う。また、結晶成分は偏向顕微鏡で同定する。
【関節液白血球】
20,000/μLを超えしばしば1000,000/μLに達し95%は多核白血球である。関節液は白血球により白濁している。
【関節液細菌培養】
50~75%はブドウ球菌である。
【関節液グルコース】
通常低値になる。
【血液培養】
1週目に症例の約50%が陽性となる。
【淋菌性関節炎】
淋菌性を疑えば、血液と滑液を非選択的チョコレート寒天培地に、また尿道、子宮頸部、直腸、咽頭から採取した検体を選択的Thayer Martin培地に平板培養する。同時に性器のクラミジア培養が望ましい。
検体検査以外の検査計画 単純X線検査、CT検査、MRI検査、骨シンチグラフィー

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