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疾患解説

フリガナ ヘンケイセイカンセツショウ
別名 骨関節炎
臓器区分 運動器疾患
英疾患名 Osteoarthritis(OA)
ICD10 M19.99
疾患の概念 関節軟骨の破壊、減少や骨の肥大(骨棘形成)が特徴的な慢性の関節障害で、全ての関節に発症する。40代及び50代に症状が発現し、80代までにはほぼ全例に関節の変化が見られるが、症状は半数の患者にしか現れない。40歳未満では、患者の大半は男性で、外傷が原因であるが、40歳から70歳では女性が優勢になり、その後は男女に等しく発症する。OAは一次性(特発性)と二次性に分けられ、二次性のOAは、外傷、先天性の関節異常、代謝障害、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、感染後の関節炎、内分泌疾患、神経障害性疾患、RA、痛風、軟骨石灰化症などが原因になる。
診断の手掛 OAは徐々に発症し、通常は1つまたは少数の関節で始まる痛みが、最も初期の症状である。活動することで悪化したり、徐々に増悪する関節の痛みや、活動後30分以内に軽減するこわばり、あるいは関節腫脹を訴える患者を診たら本症を疑う。最も侵されやすい関節は、遠位指間節関節(ヘバーデン結節)で、これよりも頻度が低いものに近位指間節(ブシャール結節)、母指の中指節関節と手根中足骨関節、股関節、膝、足母指の中指節、頸部、腰部脊椎がある。進行するにつれ、関節運動が制限され、圧痛、捻髪音またはきしむ感覚が生じるようになる。関節液貯留を伴う軟骨、骨、靱帯、腱、関節包および滑膜の増殖が、最終的には、本症の特徴である関節の腫脹を引き起こす。
主訴 関節腫脹|Articular swelling
関節痛|Arthralgia
こわばり|Stiffness
ブシャール結節
ヘバーデン結節
鑑別疾患 関節リウマチ|Rheumatoid Arthritis
偽痛風|Pseudogout
痛風|Gout
化膿性関節炎
色素性絨毛結節性滑膜炎
神経病性関節症
スクリーニング検査 Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S]
CEA|癌胎児性抗原 [/S]
C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S]
Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B]
Ferritin|フェリチン [/Synovial Fluid]
Leukocytes|白血球数 [/Synovial Fluid]
Monocytes|単球 [/B]
Rheumatoid Factor|リウマチ因子測定/RAゼラチン凝集反応/リウマチ因子定量 [/S]
異常値を示す検査 25-Hydroxy Vitamin D3|25-ヒドロキシビタミンD3 [/S]
Alkaline Phosphatase, Bone Isoenzyme|骨型アルカリホスファターゼ/骨性ALP [/Synovial Fluid]
Anti-Galactosyl IgG Antibodies|抗ガラクトース欠損IgG抗体 [/S]
Biopterin|ビオプテリン [/Synovial Fluid]
Bone Sialoprotein|骨シアロ蛋白質 [/S]
C-terminal Telopeptide of Type I Collagen|I型コラーゲンC末端テロペプチド [/U]
Cartilage Oligomeric Matrix Protein [/S]
Cells [/Synovial Fluid]
Chondrocalcin|コンドロカルシン/プロコラーゲンII 様物質 [/Synovial Fluid]
Chondroitin Sulfate Epitope [/Synovial Fluid]
Dipyridinoline, Free [/U]
Dopamine β-Hydroxylase|ドーパミンβ-水酸化酵素 [/S, /Synovial Fluid]
Epithelial-neutrophil Activating Protein-78 [/Synovial Fluid]
Glycosaminoglycans [/S, /Synovial Fluid, /U]
Glycosylated Ferritin [/Synovial Fluid]
Hyaluronic Acid|ヒアルロン酸 [/S]
Hydroxypyridinoline [/Synovial Fluid]
Insulin|インスリン [/P]
Insulin-like Growth Factor Binding Protein-3|インスリン様成長因子結合蛋白-3型/IGF結合蛋白-3 [/S]
Insulin-like Growth Factor-II|インスリン様成長因子-2 [/S]
Interleukin-11|インターロイキン-11 [/Synovial Fluid]
Interleukin-6|インターロイキン-6 [/Synovial Fluid]
Keratan Sulfate Epitope (5D4) [/Synovial Fluid]
Leukotriene C4|ロイコトリエンC4 [/Synovial Fluid]
Macrophage Inflammatory Protein-1α [/Synovial Fluid]
Macrophage Inflammatory Protein-1β [/Synovial Fluid]
Monocyte Chemotactic Protein-1 [/Synovial Fluid]
Neopterin|ネオプテリン [/Synovial Fluid, /U]
Nerve Growth Factor|神経成長因子 [/S, /Synovial Fluid]
Nerve Growth Factor Autoantibodies [/Synovial Fluid]
Nucleotide Pyrophosphohydrolase, Sedimentable [/Synovial Fluid]
Nucleotide Pyrophosphohydrolase, Soluble [/S, /Synovial Fluid]
Osteocalcin|オステオカルシン [/S, /Synovial Fluid]
Phospholipase A|ホスホリパーゼA [/S]
Phospholipase A2 [/Synovial Fluid]
Phospholipase A2 Type II [/Synovial Fluid]
Procollagen Type III Peptide|プロコラーゲンIIIペプチド [/Synovial Fluid]
Prostaglandin E2|プロスタグランジンE2 [/Synovial Fluid]
Pyridinoline|ピリジノリン [/Synovial Fluid]
Pyrophosphate [/Synovial Fluid]
Soluble Intercellular Adhesion Molecule-3 [/Synovial Fluid]
Soluble Interleukin-2 Receptor|可溶性 IL-2レセプター/IL-2レセプター/可溶性 IL-2受容体 [/S, /Synovial Fluid]
Soluble Interleukin-6 Receptor-α [/Synovial Fluid]
Stromelysin [/P]
β-Hexosaminidase|β-ヘキソサミニダーゼ [/U]
関連する検査の読み方 【関節液一般検査】
透明で粘着性があり白血球数は2,000/μL未満である。
【コンドロカルシン】
関節液中の値は高値になる。コンドロカルシンはII型コラーゲンの前駆物質で軟骨細胞で合成・分泌され、軟骨の新生と修復に関与している。血中にはきわめて少量しか存在しないので、関節液で測定する。変形性関節症、関節リウマチなどの大関節の障害では軟骨修復に伴い関節液中のコンドロカルシンの濃度が変動する。このため、測定は疾患特異性は低いが、活動性の指標としては有用である。臨床的には関節内でのプロコラーゲンからコラーゲンへの変換量、すなわち軟骨マトリックス形成の程度を推定し関節軟骨の病態変化を知るために測定する。
【抗ガラクトース欠損IgG抗体】
軽度~中等度に上昇する。日常診療で使われているリウマトイド因子(RF)検査は関節リウマチ患者の陽性率が70~80%程度で、発症早期の陽性率は30~50%にすぎない。また、RFは健常人、慢性肝疾患、膠原病などでも陽性を示すことが知られている。近年、関節リウマチ患者血清中にはIgG糖鎖ガラクトースが著減していることから、糖鎖異常のあるIgGと関節リウマチの病因との関連が指摘され、ガラクトース欠損IgGと反応する抗ガラクトース欠損IgG抗体が開発された。臨床的には早期関節リウマチ患者の診断、従来のRF検出法で陰性の関節リウマチ患者の発見などに使われる。陽性の場合は抗CCP抗体やMMP-3などの測定を行う。
【ESR】
炎症の所見は見られない。
検体検査以外の検査計画 関節部X線検査、MRI検査、神経伝導速度測定

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