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疾患解説

フリガナ アクセイコウケツアツショウ
別名
臓器区分 循環器疾患
英疾患名 Malignant Hypertension
ICD10 I10
疾患の概念 基礎疾患に関係なく、1.拡張期血圧が130mmHg以上 2.眼底に乳頭浮腫(KWⅣ群) 3.急速に進行する腎不全 4.全身状態の急性増悪の4所見が見られるものが、悪性高血圧A群、3所見が見られるものをB群とする。病因は不明だが、大脳の動脈拡張と全身性の細動脈フィブリノイド壊死が症状に関与している。診断時の平均年齢は40歳で、女性よりも男性に多く、死因は腎不全、脳出血、うっ血性心不全が多い。
診断の手掛 著明な血圧上昇が見られる患者に、高度の頭痛、嘔吐、視力障害(一時的な盲を含む)、昏睡、痙攣などの脳症状や呼吸困難、息切れなどを認めたら本症を疑う。血圧を測定し210/130mmHg以上なら悪性高血圧症の可能性が極めて高いと考える。この他の症状として、胸痛や呼吸困難などの心血管症状、錯乱、視力障碍、不全片麻痺、片側感覚障害、痙攣発作などの急速に変化する神経学的異常がみられる。また、腎不全を来すこともある。
主訴 息切れ|Shortness of breath/Breathlessness
嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
胸痛|Chest pain
痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure
高血圧|Hypertension
呼吸困難|Dyspnea
昏睡|Coma
昏迷|Stupor
食欲不振|Anorexia
視力障害|Blurred vision/Visual impairment
頭痛|Headache/Cephalalgia
動悸|Palpitations
浮腫|Edema/Dropsy
乏尿|Oliguria
無尿|Anuria
鑑別疾患 本態性高血圧症
腎血管性高血圧症|Renovascular Hypertension
腎実質性高血圧症
急性進行性高血圧
褐色細胞腫|Pheochromocytoma
急速進行性糸球体腎炎|Rapidly Progressive Glomerulonephritis(RPGN)
強皮症腎クリーゼ
スクリーニング検査 Albumin|アルブミン [/U]
Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S]
Erythrocytes|赤血球数 [/U]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Potassium|カリウム [/S]
Triglycerides|トリグリセリド/中性脂肪/トリグリセライド/トリアシルグリセロール [/S]
異常値を示す検査 17-Hydroxycorticosteroids|17-ヒドロキシコルチコステロイド [/U]
17-Ketogenic Steroids|17-ケトジェニックステロイド [/U]
Aldosterone|アルドステロン [/P]
Ammonia|アンモニア [/B]
Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S]
Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B]
Catecholamines|カテコールアミン総 [/U]
Cholesterol Esters|エステル型コレステロール/コレステロールエステル [/S]
pH|尿pH [/B]
Plasma Renin Activity|活性型レニン/血漿レニン活性/総レニン [/P]
Vanillylmandelic Acid|バニリルマンデル酸 [/U]
関連する検査の読み方 【血液像】
微小血管障害性溶血性貧血が生じるため、奇形赤血球、破砕赤血球、血小板減少が見られる。
【血漿レニン活性】
原疾患が本態性高血圧症や腎血管性高血圧症の場合に顕著に増加する。レニンは腎糸球体輸入臍動脈壁に存在する傍糸球体細胞で産生されるタンパク分解酵素である。検査は血漿中のレニン活性を有するARC濃度を特異的なモノクローナル抗体を用いて測定する。血圧や水・電解質の調節に重要な役割を持つレニン・アンジオテンシン系の評価には血漿レニン活性が測定されてきたが、ARCの直接測定により、レニンの分泌状態がより正確に判断できる。
【アルドステロン】
原疾患が腎性の場合に増加する。PACは副腎皮質球状層から分泌される鉱質コルチコイドで、レニン-アンジオテンシン系、ACTH、K+が分泌の調節を行っている。PACは遠位尿細管に作用し、Na+とOH-を再吸収し代わりにK+とH+-を排出させる働きがある。PACはレニンにより産生されるアンジオテンシンIIの刺激により産生される。測定は血漿レニン活性と同時に行いPAC:PRA比を評価することが望ましい。
【尿検査】
蛋白尿が認められ、沈渣では赤血球、硝子円柱、顆粒円柱が認められる。
【カテコールアミン】
尿中ノルアドレナリンが121μg/日以上になる。CAはドパミン(DA)、ノルアドレナリン(NA)、アドレナリン(A)の総称で、主として、交感神経、副腎髄質、脳などに分布している。DAはNAの前駆物質であるが、中枢神経、消化器、循環器、腎などに生理作用がある。NAは交感神経伝達物質として、Aは副腎髄質ホルモンとしての作用がある。
【標的臓器障害の同定】
標的臓器障害には高血圧性脳症、妊娠高血圧腎症および子癇、肺水腫を伴う急性左室不全、心筋虚血、急性大動脈解離、腎不全などがあるので、尿一般検査、ヘマトクリット、血糖、K、Ca、クレアチニン、尿酸、脂質、心電図、胸部X線、心エコーの検査値を評価する。神経症候が認める患者は頭部CTを行う。
検体検査以外の検査計画 血圧測定、心電図検査、胸部X線検査、腹部超音波検査、腹部CT検査、ドプラー超音波検査、頭部CT検査、頭部MRI検査、眼底検査

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