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疾患解説

フリガナ タカヤスドウミャクエン
別名 脈なし病
大動脈弓症候群
閉塞性血栓性大動脈症
臓器区分 循環器疾患
英疾患名 Takayasu's Arteritis
ICD10 M31.4
疾患の概念 大動脈とその主要分枝や肺動脈、冠動脈に認められる非特異性多発動脈炎で、血管の炎症により動脈の狭窄、閉塞、拡張または動脈瘤を生じる。原因は不明であるが、細胞性免疫機序の関与および巨細胞性動脈炎の発症機序と類似している。高安動脈炎は、主に大型の弾性動脈を侵す。侵される頻度が最も高い血管は、無名動脈、鎖骨下動脈、上行大動脈と大動脈弓、総頸動脈および腎動脈である。殆どの患者で、狭窄または閉塞がみられ、動脈瘤が1/3の患者に生じる。40歳未満の女性に好発し、HLA-A24,B52,B39,Dw12などとの関連が示唆されている。
診断の手掛 大半の患者は、障害臓器または四肢の低灌流による局所症状を呈するが、不明熱、全身倦怠感、易疲労感、関節痛、頸部痛などを訴える若い女性に、一側あるいは両側の橈骨動脈拍動の減弱や消失が見られたら本症を強く疑う。動脈血管雑音や脈拍の強さ、血圧の左右差の上肢下肢の不一致も診断の手掛かりになる。また、頸動脈と椎骨動脈が障害されると、めまい、失神、起立性低血圧、頭痛、一過性視覚障害、一過性脳虚血発作または脳卒中などを発症する。大動脈炎や冠動脈炎により冠動脈が狭小化すると、狭心症や心筋梗塞を発症することがある。胸部下行大動脈が閉塞すると、高血圧、頭痛、下肢の跛行を引き起こす。肺動脈が障害されると、肺高血圧、肺梗塞を引き起こすことがある。このように症状と徴候は極めて多彩なため、診断基準に沿って検査を進める。
【診断基準:1990年ACR】
1.高安動脈炎と関連する症状や所見が40歳以下で出現。 2.一つ以上の四肢、特に上肢で、運動時に筋肉の疲労感や不快感が増悪する。 3.片側または両側の上腕動脈の拍動が低下。 4.両上肢間で収縮期血圧が100mmHg以上差がある。 5.片側あるいは両側の鎖骨下静脈、あるいは腹部大動脈で血管雑音を聴取する。 6.大動脈、主要分枝、四肢の中枢の大血管で画像上の凶作や閉塞を認める。ただし動脈硬化、線維性筋性異形成などによるものでない。
*3項目以上で分類する
主訴 息切れ|Shortness of breath/Breathlessness
易疲労感|Fatigue
関節痛|Arthralgia
眼前暗黒感|Faintness/Black-out
胸痛|Chest pain
頸部痛|Neck pain
血痰|Bloody sputum/Hemoptysis
原因不明熱|Fever of unknown origin/FUO
高血圧|Hypertension
失神|Syncope
しびれ|Numbness
上肢冷感|Cold sensation of upper extremity
頭痛|Headache/Cephalalgia
全身倦怠感|General malaise/Fatigue
体重減少|Weight loss
動悸|Palpitations
寝汗|Night sweats
発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever
貧血症状|Anemic symptom
脈拍異常|Pulse disorder
脈拍欠損|Pulse deficit
めまい|Dizziness
やせ|Weight loss
リンパ節腫脹|Lymphadenopathy
鑑別疾患 エーラス-ダンロス症候群
強直性脊椎炎|Ankylosing Spondylitis
凝固亢進
川崎病|Kawasaki Disease
感染性動脈瘤
関節リウマチ|Rheumatoid Arthritis
血管Behcet病
サルコイドーシス|Sarcoidosis
線維筋性異形成
全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE)
先天性血管異常
側頭動脈炎|Temporal Arteritis
動脈硬化症|Arteriosclerosis
梅毒性大動脈中膜炎
腹部大動脈瘤
ベーチェット症候群|Behcet's Syndrome
マルファン症候群|Marfan's Syndrome
スクリーニング検査 Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B]
Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S]
Leukocytes|白血球数 [/B]
γ-Globulin|γ-グロブリン [/S]
異常値を示す検査 Endothelin-1|エンドセリン [/P]
HLA Antigens|HLA抗原 [Present/B]
Matrix Metalloproteinase-3|マトリックスメタロプロテイナーゼ-3 [/S]
Soluble Intercellular Adhesion Molecule-1|可溶性ICAM-1/可溶性CD54/細胞接着分子-1 [/S]
Soluble Vascular Cell Adhesion Molecule-1|可溶性VCAM-1/可溶性CD106/可溶性血管細胞接着分子-1 [/S]
関連する検査の読み方 【CBC】
貧血があり、白血球、血小板は増加する。
【ESR】
しばしば亢進する。
【CRP】
しばしば高値になる。ただし、炎症マーカーは活動性血管炎を見逃すことがあるので注意する。
【HLAタイピング】
HLA-B52は本症と強く相関する。
【C3】【C4】
C3とC4が増加する。
【マトリックスメタプロテイナーゼ-3】
高値を示し、活動性の指標として有用である。
検体検査以外の検査計画 胸部X線検査、胸部・頸部・腹部CT検査、MRA検査、大動脈・冠動脈造影検査、MRI検査、心超音波検査、心電図検査、眼底検査、脳血流シンチグラフィー、肺血流シンチグラフィー、腎レノグラム、血管造影検査、血圧測定

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