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疾患解説

フリガナ ケツユウビョウ
別名
臓器区分 血液・造血器疾患
英疾患名 Hemophilia
ICD10 D66
疾患の概念 第Ⅷ因子(血友病A)または第Ⅸ因子(血友病B)の先天的活性低下により、出血傾向を来すX染色体連鎖劣性遺伝性の凝固障害で、血友病A、血友病Bに分けられるが、臨床症状とスクリーニング検査の異常は同じである。いずれもX連鎖遺伝性疾患である。この2つを鑑別するには、特異的因子の測定が必要である。因子の欠乏の度合いで出血の確率と重症度が決まり、通常は外傷の数時間以内に深部組織または関節内への出血が起こる。血友病は、第VIII因子または第IX因子の遺伝子に変異、欠失、逆位が原因の遺伝性疾患で、遺伝子はX染色体上に位置するため、ほぼ例外なく男子に発症し血友病Aは男子出生人口10万人当たり5~10人、血友病Bは血友病Aの約1/5である。血友病の男性の娘は絶対保因者であるが、息子は正常である。保因者の息子が血友病になる確率は50%で、娘が保因者になる確率も50%である。
診断の手掛 再発性の出血症状、原因不明の関節出血、またはAPTT延長が認められ、PTと血小板数が基準範囲内の患者を診たら本症を疑う。血友病AとBは臨床的に類似しているため、出血時間が正常でAPTTが延長している男性は、全員に第Ⅷ因子と第Ⅸ因子の定量を行うべきである。正常な止血には、正常な第VIII因子および第IX因子の濃度が30%を超えている必要があるが、殆どの患者は、濃度が5%未満である。また、保因者の濃度は通常約50%である。血友病患者は関節出血、筋肉血腫、後腹膜出血などの組織内へ出血する。出血は外傷の程度と第VIII因子または第IX因子の血漿中濃度に応じて、急速に生じることも、緩徐に進行することもある。重度の血友病(第VIII因子または第IX因子濃度が正常値の1%未満)では、出血は出生直後から始まり、生涯を通じて重度の出血が続く。中等度の血友病(因子濃度が正常値の1~5%)は、ごく軽微な外傷後に出血が起きる。軽度の血友病(因子濃度が正常値の5~25%)は、外科手術または抜歯後に過度の出血を起こす場合がある。
主訴 関節運動障害|Joint movement disorder
関節拘縮|Joint contracture/Arthrogyposis
関節腫脹|Articular swelling
関節痛|Arthralgia
関節変形|Deformation of joint
血尿|Hematuria
月経過多|Menorragia
紫斑|Purpura
出血傾向|Bleeding tendency/Hemorrhagic diathesis
斑状出血|Ecchymosis
皮下血腫|Ecchymoma
皮下出血|Bruise/Subcutaneous bleeding
鼻出血|Nosebleed/Nasal hemorrhage/Epistaxis
鑑別疾患 エイズ/HIV感染症|Acquired Immune Deficiency Syndrome(AIDS)
肝疾患
関節障害
血栓症
後天性血友病
第XI因子欠乏症
第XII因子欠乏症
播種性血管内凝固症候群|Disseminated Intravascular Coagulation(DIC)
ビタミンK欠乏症|Vitamin K Deficiency
フォン ヴィルブランド病|von Willebrand's Disease(VWD)
スクリーニング検査 Activated Partial Thromboplastin Time|活性化部分トロンボプラスチン時間 [/P]
Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S]
Creatine Kinase|クレアチンキナーゼ/クレアチンホスホキナーゼ [/S]
Erythrocytes|赤血球数 [/U]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
MCH|平均赤血球ヘモグロビン量 [/B]
MCHC|平均赤血球ヘモグロビン濃度 [/B]
MCV|平均赤血球容積 [/B]
Platelets|血小板 [/B]
TIBC|総鉄結合能 [/S]
異常値を示す検査 AHF-Like Antigen [/P]
Antibody Titer [/S]
Bleeding Time|出血時間 [/Patient]
Capillary Fragility|毛細血管抵抗試験 [/B]
Clot Solubility [Poor/B]
Clotting Time|全血凝固時間 [/B]
Coagulation Factor VIII Inhibitor|第VIII因子インヒビター/第VIII因子循環抗凝血素 [/P]
Coagulation Factor IX Inhibitor|第IX因子インヒビター/第IX因子循環抗凝血素 [/P]
Factor IX|第IX因子活性/クリスマス因子 [/P]
Factor VIII|第VIII因子活性/抗血友病因子 [/P]
Iron Saturation|鉄飽和度 [/S]
Lee-White Clotting Time|全血凝固時間 [/B]
Prothrombin Consumption [/B]
Recalcification Time|カルシウム再加凝固時間 [/P]
Thromboplastin Time [/B]
Thromboxane A2 Generation [/B]
β2-Macroglobulin [/S]
関連する検査の読み方 【PT】【APTT】
血友病ではPTTが延長するが,PTおよび血小板数は正常である。
【第IX因子活性】
25~70%に低下する。肝で産生されるビタミンK依存性凝固因子で、Christmus因子とも呼ばれ、先天性欠乏症が血友病Bである。血友病Bの発症頻度は血友病Aの1/4~1/5程度で20000~30000人に一人の発症率である。臨床的には血友病Bの診断と後天的に第IX因子が減少する肝実質性疾患の診断、治療効果判定に用いる。また、先天性の出血傾向があり、PTは正常でAPTTの延長がある場合は、第VIII、XI、XII因子も測定する。
【第VIII因子活性】
25~60%に低下する。出血の危険性は1%未満で重症、1~5%で中等度、6~40%で軽度である。肝で産生されCaイオンの存在下でトロンビンにより活性化され、活性第IX因子と複合体を作り第X因子を活性化する。血漿中ではvon Willebrand因子と結合している。先天性欠乏症は血友病Aと呼ばれ出生男児約6000人に一人の割で発症する。臨床的には乳幼児期より関節内出血、筋肉内出血、消化管出血、血尿、脳内出血等を繰り返す患者と肝実質性疾患の診断、治療効果判定に用いる。
【第VIII因子インヒビター】【第Ⅸ因子インヒビター】
検出されることがある。血友病A患者に対して凝固因子補充療法を行うが、約30%の患者では抗体が出現し止血管理が困難になる。血友病B患者に対しては反復して凝固因子補充療法を行うが、約3%の患者では抗体が出現し止血管理が困難になる。臨床的には凝固因子補充療法の効果が低下したと考えられる場合に検査が必要になる。インヒビターの発生頻度は血友病A患者に比べると低いが、インヒビターが出現した患者の50%は第IX因子に対して過敏症やアレルギーを発症する。
【フォンウィルブランド因子活性】【フォンウイルブランド因子抗原量】【フォンウイルブランド因子マルチマー解析】
新たに血友病Aと診断された患者で、特に重症度が軽度で、家族歴で男女ともに発現がみられる場合は、von Willebrand因子の活性、抗原、マルチマー構成を測定する。
【全血凝固時間】
明らかな延長を認める。
【特異的凝固因子】
血友病Bとの鑑別に用いる。
【スクリーニング検査】
PT-INRと血小板は基準範囲内、APTT、トロンビン時間、出血時間は延長する。
【2次検査】
第VIII:C因子、第VIIIR:Ag因子、血小板凝集、リストセチン・コファクターを測定する。
【疾患の分類】
第VIII因子は、古典的血友病:1%以下、中等度血友病:1~5%、軽度血友病:16%以下、亜血友病:20~30%。
【生前診断】
第12週の絨毛採取又は第16週の羊水穿刺を行う。
検体検査以外の検査計画

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