疾患解説
フリガナ | コウサンキュウゾウカショウ |
別名 | 好酸球増多症 |
臓器区分 | 血液・造血器疾患 |
英疾患名 | Eosinophilia |
ICD10 | D72.1 |
疾患の概念 | 末梢血中の好酸球数が、500/μLを超えるもので、原因はアレルギー性またはアトピー性疾患、薬物アレルギー、寄生虫感染、悪性腫瘍、骨髄増殖性疾患、肺浸潤症候群、皮膚障害、結合組織障害・脈管炎・肉芽腫性障害、免疫障害、内分泌疾患など多岐にわたる。好酸球数については、500~1,000/μLを軽症、1,500~5,000を中等症、5,000以上を重症とする。軽度の好酸球増多症自体は、症状を引き起こさないが、好酸球数が1500/μL以上になると臓器障害を引き起こすことがあり、障害はあらゆる臓器に発生するが、一般的には、心臓、肺、脾臓、皮膚、神経系の障害である。この臓器障害は、組織の炎症や炎症組織に動員された免疫細胞や好酸球から放出されたサイトカインおよびケモカインに対する組織の反応による。 |
診断の手掛 | 好酸球数が、5%以上または500/μL以上の場合を好酸球増加症とする。原因は多数あるが、アレルギー反応または寄生虫疾患の確率が高い。臓器障害ではホジキンリンパ腫が好酸球の著しい増加を引き起こす事で知られている。また、好酸球増加は、膠原病(関節リウマチ、好酸球性筋膜炎、アレルギー性血管炎、結節性動脈周囲炎)や悪性腫瘍(ホジキンリンパ腫、菌状息肉腫、慢性骨髄性白血病、肺・胃・膵・卵巣・子宮の癌)でも認められるので注意する。 |
主訴 |
易感染性|Susceptibility to infection 易疲労感|Fatigue 紅斑|Erythema/Rubedo 湿疹|Eczema 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever |
鑑別疾患 |
気管支喘息 アトピー性皮膚炎|Atopic Dermatitis アレルギー性鼻炎|Allergic Rhinitis 蕁麻疹|Urticaria 薬物アレルギー 皮膚筋炎 関節リウマチ|Rheumatoid Arthritis 寄生虫症 血管性浮腫 神経性浮腫 慢性骨髄性白血病|Chronic Myeloid Leukemia(CLM) ホジキンリンパ腫|Hodgkin's Disease 好酸球増加症候群 PIE症候群 悪性腫瘍 慢性骨髄性白血病|Chronic Myeloid Leukemia(CLM) 肺浸潤症候群 剥脱性皮膚炎 乾癬|Psoriasis 天疱瘡 疱疹状皮膚炎|Dermatitis Herpetiformis 結節性多発動脈炎|Polyarteritis Nodosa(PAN) サルコイドーシス|Sarcoidosis 炎症性腸疾患 全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE) Dressler症候群 全身性硬化症/強皮症|Systemic Sclerosis/Scleroderma(SSc) 好酸球性筋膜炎|Eosinophilic Fasciitis 免疫障害 副腎機能低下症 Churg-Strauss症候群 |
スクリーニング検査 |
C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S] Eosinophils|好酸球 [/B] Leukocytes|白血球数 [/B] |
異常値を示す検査 | Myelin Basic Protein|ミエリン塩基性蛋白/EAE起炎性蛋白 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【好酸球】 1,500/μL以上の好酸球高値が6ヶ月以上持続するものは好酸球増加症候群で予後不良である。喘息歴があり、白血球の10%を超える著明な好酸球増加は、肺浸潤があればChurg-Strauss症候群を疑う。 【好酸球数500~2,000/μL】 アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、食物アレルギー、蕁麻疹、Addson病、肺好酸球増加症、固形腫瘍、鼻ポリープ、寄生虫感染 【好酸球数2,000~5,000μ/L】 内因性喘息、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、Churg-strauss症候群、薬物反応、血管新生物、好酸球性筋膜炎、HIV感染 【好酸球数5,000μ/L以上】 好酸球増加筋痛症候群、特発性好酸球増加症候群、好酸球性白血病 【骨髄穿刺】 骨髄増殖性疾患の鑑別に必要である。 【筋生検】 旋毛虫症を疑う場合に行う。 【糞便検査】 虫卵や寄生虫の存在を確認する。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査 |