疾患解説
フリガナ | タンスイカブツフタイショウ |
別名 | |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Carbohydrates Intlerance |
ICD10 | K90.4 |
疾患の概念 | 腸内酵素である、ラクターゼ、マルターゼ、イソマルターゼ、スクラーゼなどの二糖類分解酵素が、一つ以上欠損しているため、特定の炭水化物を消化出来ない状態で、乳糖を消化出来ないラクターゼ欠損症が最も多い。通常、二糖類は小腸上皮細胞にある二糖類分解酵素によって単糖類に分解されるが、酵素欠損によって、消化されなかった二糖類は、浸透圧を高めて腸管に水分と電解質を誘導するため、水様性下痢が起こる。また、結腸では炭水化物が、細菌発酵によってガス(H2、CO2、メタン)を発生し、過剰放屁、腹部膨満感、膨隆、腹痛を来す。酵素欠損は、先天性、後天性、続発性がある。先天性欠損は、ラクターゼ、スクラーゼ、イソマルターゼの欠損であるが、稀である。後天性ラクターゼ欠乏症は、炭水化物不耐症で最もよく見られる。新生児はラクターゼ値が高く、牛乳を消化することができるが、90%を超えるアジア人は、離乳後にラクターゼ値が低下し、年長の小児と成人は多量の乳糖を消化できなくなる。続発性ラクターゼ欠乏症は、セリアック病、熱帯性スプルー、急性腸管感染症、消化管感染症および寄生虫感染などの小腸粘膜を損傷する疾患で発症する。 |
診断の手掛 | 牛乳や乳製品の摂取後に下痢、腹部膨満感、腹部不快感、放庇などを訴える患者を診たら本症を疑う。二糖類分解酵素欠損症は、症状と徴候が類似している。乳糖不耐症の小児は、多量の牛乳を摂取した後に下痢を起こす。成人では、乳糖摂取後に水様性下痢、腹部膨満,過剰放屁、悪心、腹鳴および腹部痙攣などが生じる。症状は、牛乳250~375mL以上を摂取すると出現する。 |
主訴 |
嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 下痢|Diarrhea 鼓腸|Meteorism/Tympanism/Bloat 腹部痙攣|Convulsion of abdomen 腹部不快感|Abdominal discomfort 腹部膨満感|Sense of Abdominal fullness 放屁|Flatus |
鑑別疾患 |
過敏性腸症候群|Irritable Bowel Syndrome(IBS) セリアック病|Celiac Disease 急性腸炎 下痢症|Diarrhea 熱帯性スプルー |
スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [/U] Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S] Chloride|クロール [/S] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S, /U] Phosphate|無機リン [/S, /U] Potassium|カリウム [/S] Uric Acid|尿酸 [/S] |
異常値を示す検査 |
Aldolase|アルドラーゼ/アルドラーゼアイソザイム [/S] Amino Acids|アミノ酸分析/アミノ酸41分画 [/P, /U] Ammonium Ions|アンモニウムイオン [/U] Anion Gap|アニオンギャップ [/U] Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S] Fructose|フルクトース/果糖 [/S, /U] Methionine|メチオニン [/P] Nitrogen [/S] Osmolal Gap|浸透圧ギャップ [/U] pH|尿pH [/U, /U] Tyrosine|チロシン [/P] |
関連する検査の読み方 |
【水素呼気試験】 乳糖50gを経口投与し、未消化乳糖の細菌代謝で発生した水素を測定する。大半の患者は呼気中H2のベースラインからの増加量が20ppmを上回る。水素呼気試験は乳糖50gを経口投与し、摂取後2,3,4時間の未消化乳糖の細菌代謝によって発生したH2を測定する。感度および特異度は95%を超える。 【乳糖負荷試験】 乳糖を1.0~1.5/kg体重を経口投与し、投与前と投与後60及び120分の血糖値を測定する。乳糖不耐症患者では、20~30分以内に下痢、腹部膨満、不快感が起こりベースラインから血糖値が20mg/dL未満上昇する。水素呼気試験より特異度では劣る。 【生検】 空腸生検標本でラクターゼの活性低下を見る。 |
検体検査以外の検査計画 | 内視鏡検査 |