疾患解説
フリガナ |
セリアックビョウ |
別名 |
非熱帯性スプルー グルテン性腸症
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臓器区分 |
消化器疾患
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英疾患名 |
Celiac Disease
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ICD10 |
K90.9
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疾患の概念 |
小麦蛋白質グルテンの成分であるグリアジンに対する感受性をもつ者に発症する遺伝的疾患で、近位小腸粘膜の炎症による、びまん性の損傷が吸収不良の原因である。HLA-DQ2およびDQ8との強い関連が認められている。グルテンのグリアジン成分と同じ成分は、ライ麦や大麦にも含まれている。セリアック病は、主に北欧系の人々でみられ、第1度近親者の約10~20%がセリアック病を発症し、男女比は1:2である。一般に小児期に発症するが、それ以降に起こることもある。
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診断の手掛 |
乳児期に小麦製品を摂取し始めた後に発育不全、食欲不振、発育障害、貧血症状を発症したら本症を疑うが、臨床像は多彩で、典型的な臨床像はなく、無症状や栄養欠乏の徴候のみを呈する患者や消化器症状が見られる患者もいる。成人では全身倦怠感、筋力低下、食欲不振、下痢などを訴える。脂肪便は軽度から重度(便中脂肪量7~50g/日)である。栄養不足により、貧血、舌炎、口角炎、アフタ性潰瘍が見られ、ビタミンDおよびCaが欠乏すれば、骨軟化症、骨減少症、骨粗鬆症を発症する。男女とも妊孕性が低下することがあり、女性では月経が停止することもある。家族内の発症は貴重な診断の手掛りである。
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主訴 |
下痢|Diarrhea 四肢末端浮腫|Edema of extremities 食欲不振|Anorexia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 体重減少|Weight loss 発育障害|Developmental disability/Disorder of growth and development 貧血症状|Anemic symptom 腹部膨隆|Abdominal swelling/Gastromegaly 浮腫|Edema/Dropsy やせ|Weight loss
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鑑別疾患 |
鉄欠乏性貧血|Iron Deficiency Anemia 葉酸欠乏性貧血 蛋白漏出性胃腸症 ネフローゼ症候群|Nephrotic Syndrome 甲状腺機能低下症|Hypothyroidism 神経性食欲不振症
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スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [/S] Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S, /S] Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Calcium|カルシウム [/S, /F] CEA|癌胎児性抗原 [/S] Chloride|クロール [/S] Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S] Cholinesterase|コリンエステラーゼ/ブチルコリンエステラーゼ/偽コリンエステラーゼ [/S] Ferritin|フェリチン [/S] HDL-Cholesterol|HDL-コレステロール/高比重リポ蛋白コレステロール [/S] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S] Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S] Iron|鉄/血清鉄 [/S] LDL-Cholesterol|LDL-コレステロール/低比重リポ蛋白コレステロール [/S] Leukocytes|白血球数 [/B] Lymphocytes|リンパ球 [/B] Magnesium|マグネシウム [/S] MCH|平均赤血球ヘモグロビン量 [/B] MCHC|平均赤血球ヘモグロビン濃度 [/B] MCV|平均赤血球容積 [/B, /B] Phosphate|無機リン [/S, /U] Platelets|血小板 [/B] Potassium|カリウム [/S] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S] Prothrombin Time|プロトロンビン時間 [/P] Sodium|ナトリウム [/S] Thyroxine (T4)|総サイロキシン/総T4/サイロキシン/チロキシン [/S] TIBC|総鉄結合能 [/S] Triglycerides|トリグリセリド/中性脂肪/トリグリセライド/トリアシルグリセロール [/S] Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S] Uric Acid|尿酸 [/S] γ-Globulin|γ-グロブリン [/S]
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異常値を示す検査 |
1,25-Dihydroxy Vitamin D|1,25-ジヒドロキシビタミンD3/1α,25-ジヒドロキシビタミンD/活性型ビタミンD [/S] 17-Hydroxycorticosteroids|17-ヒドロキシコルチコステロイド [/U] 17-Ketosteroids|17-ケトステロイド [/U] 24,25-Dihydroxy Vitamin D|24,25-ジヒドロキシビタミンD3/24,25-(OH)3ビタミンD [/S] 25-Hydroxy Vitamin D3|25-ヒドロキシビタミンD3 [/S] 5-Hydroxyindoleacetic Acid|5-ヒドロキシインドール酢酸 [/U] Amino Acids|アミノ酸分析/アミノ酸41分画 [/P] Anti-Endomysial IgA Antibodies|抗筋肉膜IgA抗体 [/S] Anti-Gliadin Antibodies|抗グリアジン抗体 [/S] Anti-Gliadin IgA Antibodies|抗グリアジン抗体 [/F, /S] Anti-Gliadin IgG Antibodies|抗グリアジン抗体 [/S] Anti-Jejunum Antibodies (Human) [/S] Anti-Jejunum Antibodies (Rat) [/S] Anti-Reticulin IgA Antibodies [/S] Antibody Titer [/S] Apolipoprotein A-I|アポリポ蛋白A-I [/S] Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S, /F] Carnitine|カルニチン分画/ビタミンBT [/S] Carotene|カロチン/プロビタミンA/カロチノイド [/S] Ceruloplasmin|セルロプラスミン/フェロオキシダーゼ [/S] Complement C3|補体第3成分/β1C・β1Aグロブリン/C3 [/S] Copper|銅 [/S] Fat|脂肪(糞便) [/F] Folate|葉酸/プテロイルモノグルタミル酸/ビタミンM/乳酸菌発育因子 [/S] Glucose Tolerance|ブドウ糖負荷試験/グルコース負荷試験 [/S] Growth Hormone|成長ホルモン [/P] HDL-Phospholipids [/S] HLA Antigens|HLA抗原 [Present/B] IgA Anti-Tissue Transglutaminase Antibodies [/S] Insulin-like Growth Factor-I|インスリン様成長因子-1/ソマトメジンC [/S] Iron Saturation|鉄飽和度 [/S] LDL-Phospholipids [/S] Lipoprotein Lp (a)|リポ蛋白(a)/リポプロテイン(a) [/S] Nitrogen [/F] Oxalate|シュウ酸/エタン二酸 [/U] Pancreatitis-associated Protein|膵炎関連蛋白 [/S] Parathyroid Hormone|副甲状腺ホルモン [/P] Phospholipids|リン脂質 [/S] Pyridoxine|ピリドキシン [/S] Serotonin|セロトニン/5-ヒドロキシトリプタミン [/B, /P] Soluble Interleukin-2 Receptor|可溶性 IL-2レセプター/IL-2レセプター/可溶性 IL-2受容体 [/S] Triglycerides|トリグリセリド/中性脂肪/トリグリセライド/トリアシルグリセロール [/S] Triolein 131I Test [Positive/F] Tryptophan|トリプトファン [/P] Vitamin A|ビタミンA/レチノール [/S] Vitamin B12|ビタミンB12/コバラミン/シアノコバラミン [/S] Vitamin E|ビタミンE/トコフェロール/α-トコフェロール [/S] Vitamin K|ビタミンK/ビタミンK分画 [/S] VLDL-Cholesterol [/S] D-Xylose Absorption Test|D-キシロース吸収試験/キシローゼ試験 [Abnormal/B, Abnormal/U] Zinc|亜鉛 [/S]
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関連する検査の読み方 |
【抗グリアジン抗体】 抗グリアジン抗体と抗筋内膜IgA抗体の併用で診断的中率はほぼ100%になる。小麦、大麦、ライ麦などに含まれるグリアジンに対する感受性を持つ者では、グルテン由来ペプチドエピトープが存在すると、グルテン感受性細胞T細胞が活性化され、抗グリアジン抗体が産生されてCeliac病を発症する。臨床的には吸収不良を示唆する所見を持つ患者を診た場合は本症を疑い検査する。 【HLA】 患者のほぼ全員がHLA DQ2とHLA DQ8保有者で、除外診断に有用である。 【小腸生検】 確定診断には必須の検査である。病理組織所見は、絨毛の消失または絨毛萎縮、上皮内細胞増加、陰窩の過形成である。 【グルテン】 食事からグルテンを除去すると症状の改善が見られることも、診断の一助になる。 【脂肪】 成人では軽度~重度の脂肪便を認める。糞便中脂肪量は7~50g/日である。
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検体検査以外の検査計画 |
小腸内視鏡検査、グルテン除去食
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