疾患解説
フリガナ | マンセイジンゾウビョウ |
別名 | |
臓器区分 | 腎・泌尿器疾患 |
英疾患名 | Chronic Kidney Disease |
ICD10 | N18 |
疾患の概念 | 原疾患は問わず、1.0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿) 2.糸球体濾過量<60mL/分/1.73㎡ の1,2のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する場合を慢性腎臓病とする。慢性腎臓病の病期は、Stage1:GFR≧90、腎障害を認めるが、GFRが正常または増加、Stage2:GFR60~89、GFR、軽度低下を認める腎障害、Stage3:GFR30~59、GFR中等度低下を認める腎障害、Stage4:GFR15~29、GFR重度低下を認める腎障害、Stage5:GFR<15または透析中、腎不全に分類される。 |
診断の手掛 | GFRで表される腎機能低下があるか、腎障害を示唆する所見が3ヶ月以上持続する患者を診たら本症を疑う。また、1.蛋白尿が0.50g/gCr以上または試験紙法で尿蛋白2+以上。2.蛋白尿と血尿がともに陽性。3.40歳未満GFR60mL/分/1.73㎡未満、40歳以上70歳未満GFR50mL/分/㎡未満、70歳以上GFR40mL/分/1.73㎡未満の値が得られたら専門医に紹介する。 |
主訴 |
易疲労感|Fatigue 血尿|Hematuria 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 蛋白尿|Proteinuria 浮腫|Edema/Dropsy 夜間多尿|Nocturia/Nycturia |
鑑別疾患 |
感冒 膀胱炎 糖尿病|Diabetes Mellitus 糖尿病性腎症|Diabetic Nephropathy 高血圧症|Hypertension 腎硬化症|Renal Sclerosis 慢性糸球体腎炎|Glomerulonephritis, Chronic 多発性嚢胞腎|Polycystic Kidney Disease(PKD) 移植腎 |
スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [/S] Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S] Creatinine|クレアチニン [/S] GFR|糸球体濾過量 [/U] HDL-Cholesterol|HDL-コレステロール/高比重リポ蛋白コレステロール [/S] LDL-Cholesterol|LDL-コレステロール/低比重リポ蛋白コレステロール [/S] Sodium|ナトリウム [/U] Triglycerides|トリグリセリド/中性脂肪/トリグリセライド/トリアシルグリセロール [/S] Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S] γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/S] |
異常値を示す検査 |
Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S] Growth Hormone|成長ホルモン [/P] Ionized Magnesium:Total Magnesium Ratio [/S] Lipoprotein Lp (a)|リポ蛋白(a)/リポプロテイン(a) [/S, /U] Plasma Renin Activity|活性型レニン/血漿レニン活性/総レニン [/P] |
関連する検査の読み方 |
【eGFR】 スクリーニングに有用である。eGFRは日本腎臓学会が示したCKDガイドラインに記載されているGFRの算定法で、イヌリンクリアランスで求めたGFRと酵素法で測定した血清クレアチニン値から計算式で求められる。eGFRは簡便な方法であるが、スクリーニングや疫学研究を目的に作成されているので、実際の臨床の場で個々の患者を評価するためにはイヌリンクリアランスやクレアチニンクリアランスを用いることが薦められている。臨床的には糸球体濾過量の推定とCKDの病期分類に用いる。個々の患者評価:eGFR=0.719×Ccr(実測クレアチニンクリアランス。薬物投与調節:eGFR=0.719×Cin(実測イヌリンクリアランス) 【GFR】 60mL/分未満の腎機能低下が3ヶ月以上持続する。 【L型脂肪酸結合蛋白】 CKDの増悪時に増加する。脂肪酸結合蛋白は細胞内のエネルギー代謝、脂質代謝、疎水性リガンドの輸送を担当している蛋白で、複数のサブタイプがある。このうち、L-FABPは腎の近位尿細管に特異的に発現している。近位尿細管で再吸収された遊離脂肪酸は、L-FABPにより細胞内のミトコンドリアに運ばれエネルギー産生に用いられる。しかし、腎尿細管周囲の血流が低下すると遊離脂肪酸は細胞毒性を持つ過酸化脂質に変換され、この過酸化脂質を尿中に排泄するためL-FABPが結合する。すなわち、L-FABPが尿中に増加したことは、尿細管に酸化ストレスが存在することになり、腎組織障害の危険があることになる。臨床的には腎疾患早期の予測マーカーや腎機能のモニタリングとして用いる。 【尿アルブミン定量】 0.50g/gCr以上である。 【尿一般検査】 潜血は1+以上、蛋白は2+以上である。 |
検体検査以外の検査計画 |