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疾患解説

フリガナ メンエキフゼンショウコウグン
別名 原発性免疫不全症候群
原発性免疫不全症
臓器区分 膠原病・免疫疾患
英疾患名 Immunodeficiency
ICD10 D84.8
疾患の概念 免疫系の異常で発症するものと外因によって発症するものがあり、感染症に罹患し易い病態である。原発性は、欠損した免疫システムにより、液性免疫不全、細胞性免疫不全、複合型免疫不全、自然免疫欠損に分類される。この疾患は、乳児期および小児期に発症し、約70%の患者は発症時20歳未満である。また、X連鎖で遺伝する場合が多いため、患者の60%が男性である。液性免疫不全症(B細胞欠損症)は、免疫グロブリンと抗体の欠損があり、原発性免疫不全症の50~60%を占める。免疫グロブリンと抗体価が低下し、細菌感染を起こしやすくなる。最もよくみられる疾患は、選択的IgA欠損症である。細胞性免疫不全症(T細胞欠損症)は、原発性免疫不全症の約5~10%を占め、ウイルス、Pneumocystis jirovecii、真菌、日和見病原体および多くの病原体による感染症の素因となる。B細胞とT細胞の免疫系は、相互依存しているので、T細胞疾患でも免疫グロブリン欠損症が生じる。最もよく見られるT細胞疾患は、DiGeorge症候群、ZAP-70欠損症、X連鎖リンパ増殖症候群および慢性皮膚粘膜カンジダ症である。B細胞およびT細胞の複合型免疫不全症は、原発性免疫不全症の約20%を占め、主な疾患は、重症複合免疫不全症である。
診断の手掛 この疾患の特徴は、感染を繰り返すことで、他に問題のない健常人が、副鼻腔炎や肺炎を繰り返したり、深在性感染症や播種性感染症を発症する患者を診たら本症を疑う。尿路感染症は繰り返しても本症に関連することは稀である。
主訴 易感染性|Susceptibility to infection
下痢|Diarrhea
湿疹|Eczema
紫斑|Purpura
出血傾向|Bleeding tendency/Hemorrhagic diathesis
消化管出血|Gastrointestinal bleeding
水疱|Bulla/Blister
体重減少|Weight loss
脱毛|Alopecia
膿瘍|Abscess
脾腫|Splenomegaly
貧血症状|Anemic symptom
発疹|Eruption/Exanthema
やせ|Weight loss
リンパ節腫脹|Lymphadenopathy
鑑別疾患 副鼻腔炎
肺炎|Pneumonia
膿皮症
脱毛症
毛細血管拡張症
再発性化膿性感染症
敗血症|Sepsis
ニューモシスチス肺炎|Pneumocystis Pneumonia
IRAK4欠損症
スクリーニング検査 Eosinophils|好酸球 [/B]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S]
Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [/S]
Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S]
Lymphocytes|リンパ球 [/B]
MCV|平均赤血球容積 [/B]
Platelets|血小板 [/B]
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S]
γ-Globulin|γ-グロブリン [/S]
異常値を示す検査 Adenosine Deaminase|アデノシンデアミナーゼ [/S]
Antibody Titer [/S]
Fat|脂肪(糞便) [/F]
HLA Antigens|HLA抗原 [Present/B]
Immunoglobulin E|免疫グロブリンE/非特異的IgE/レアギン抗体 [/S]
Immunoglobulins|免疫グロブリン [/S]
Interleukin-4|インターロイキン-4 [/S]
Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S]
Lymphocyte B-Cells|B細胞 [/B]
Lymphocyte T-Cells|T細胞 [/B]
Plasma Cells|形質細胞 [/Bone Marrow]
Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/S]
関連する検査の読み方 【CBC】
好中球が減少か機能不全を示す。リンパ球数低下を認める。
【NK細胞活性】
重症複合性免疫不全症で低下する。ナチュラルキラー細胞は抗原感作や組織適合性抗原複合体の影響を受けずに、ウイルスや腫瘍細胞などを非特異的に障害するリンパ球系細胞で、表面マーカーとしてCD2、CD56、CD57、CD16aが発現している。この細胞はウイルス感染の初期の防御、腫瘍細胞の障害作用、真菌や細菌の殺菌など多彩な生理作用がある。臨床的にはNK細胞の機能異常を疑う疾患、悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫不全症などで測定される。
【T細胞・B細胞百分率】
先天性免疫不全症ではT細胞が減少、重症複合性免疫不全症ではB細胞が減少する。免疫能は低下か機能不全を示す。リンパ球には細胞免疫を担当するT細胞と体液免疫を担当するB細胞の二つのサブポピュレーションがあり、この二者の比率を検査するのがT細胞・B細胞百分率である。この検査は自己免疫疾患、免疫不全症、血液疾患、アレルギー疾患などの診断や治療効果の判定に有用である。
【リンパ球サブセット】
CD4とCD8が低下する。
【B細胞表面免疫グロブリン】
重症複合性免疫不全症で低下する。S-IgはB細胞のみに存在している免疫グロブリンであり、その検出はB細胞の最も信頼できるマーカーである。この検査はB細胞膜表面に発現している免疫グロブリンを各種の抗体を用いて特定し細胞の分化過程の同定とモノクロナリティーの確認を行うことで、B細胞性白血病やB細胞性リンパ腫の同定や体液性免疫不全症の病態把握に用いられる。
【アレルゲン特異IgE】
原発性免疫不全症の一部で陽性である。
【抗白血球抗体】
エイズで陽性である。
【ツベルクリン反応】
反応陰性のことがある。
【補体】
CH50,C3,C4が低下していれば各補体成分の定量を行う。
【リンパ球刺激試験】
原発性免疫不全症ではPHA,ConAが低値である。リンパ球にレクチンの一種であるPHAやCon-Aを加え培養すると、リンパ球は活性化され大型の芽球様細胞になる。PHAとCon-AはT細胞を活性化し、PHAはCD4陽性細胞を、Con-AはCD陽性細胞をより強く活性化する。この現象を利用してリンパ球の免疫機能を見るのがリンパ球幼若化検査である。異常値を認めたらリンパ球ポピュレーション比率、免疫グロブリン値・産生能、免疫電気泳動などを行う。
検体検査以外の検査計画

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