疾患解説
フリガナ | カゾクセイシュウキセイシシマヒ |
別名 | 周期性四肢麻痺症候群 |
臓器区分 | 神経・筋疾患 |
英疾患名 | Periodic Paralysis |
ICD10 | G72.3 |
疾患の概念 | 反復性・発作性に弛緩性の四肢筋力麻痺を来す疾患で、深部腱反射の消失および筋の電気刺激に対する反応の消失を伴う弛緩性麻痺発作が特徴の常染色体優性遺伝性疾患である。典型的なイオンチャンネル病で、4つの病型、すなわち、低K血性、高K血性,甲状腺中毒性、Andersen-Tawil症候群がある。男性に多く発症し、甲状腺機能亢進症に合併する症例が多い。 |
診断の手掛 | 若い男性(通常16歳までに最初の発作が見られる)が、反復する両下肢の張りを訴えたら本症を疑う。起床時、激しい運動の翌日、多量の食物を取った後などに筋力低下を伴って麻痺発作が起これば低K型を、また発作の継続時間(通常1時間未満)が短く食後の運動などで誘発されれば高K型を疑う。正常型は臨床的には高K型に類似しているが、発作中もK値は基準範囲内である。1.低K血性型:発作は通常16歳未満で始まる。激しい運動の翌日に、筋力低下を伴って目が覚める症状を訴える。発作は、高炭水化物食、ストレス、アルコール摂取および寒冷曝露などで誘発される。2.高K血性型:最初の発作は、しばしば低年齢から見られ、短い継続時間で高頻度に起こるが、重症度は低い。発作は運動後の安静、食後の運動または絶食により誘発される。3.甲状腺中毒性型:発作は数時間から数日持続し、低K血性型と同様に運動、ストレスまたは炭水化物摂取により誘発される。典型的には不安、情緒不安定、筋力低下、振戦、暑さへの耐性低下、動悸、体重減少などの甲状腺中毒症の症状がみられる。4.Andersen-Tawil症候群:最初の発作は通常20歳以前に起こり、周期性四肢麻痺、QT延長、心室性不整脈、身体的な奇形の特徴的な臨床的3徴の全て、または一部を伴っている。 |
主訴 |
筋脱力感|Muscle weakness 筋肉痛|Myalgia 筋のこわばり|Cramp of muscle 筋力低下|Weakness 脱力発作|Atonic seizure 麻痺|Palsy/Paralysis/Numbness 麻痺性発作|Ictus paralyticus |
鑑別疾患 |
横断性脊髄炎 外傷 急性散在性脳脊髄炎 ギラン-バレー症候群|Guillain-Barre Syndrome 甲状腺機能亢進症|Hyperthyroidism 脊髄硬膜外腫瘍 多発性筋炎/皮膚筋炎|Polymyositis/Dermatomyositis 多発性硬化症|Multiple Sclerosis(MS) |
スクリーニング検査 |
Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Chloride|クロール [/U] Eosinophils|好酸球 [/B] Follicle-stimulating Hormone|黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン/性腺刺激ホルモン [/U] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/U] Leukocytes|白血球数 [/B] Neutrophils|好中球 [/B] Phosphate|無機リン [/S] Potassium|カリウム [/CSF, /S, /U] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/U] Sodium|ナトリウム [/U, /S] Uric Acid|尿酸 [/U] |
異常値を示す検査 |
17-Ketosteroids|17-ケトステロイド [/U] Aldolase|アルドラーゼ/アルドラーゼアイソザイム [/S] Aldosterone|アルドステロン [/U] Creatine Kinase|クレアチンキナーゼ/クレアチンホスホキナーゼ [/S] CK-MM|CK-MM [/S] Gonadotropin, Pituitary|黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン/性腺刺激ホルモン [/U] Ketones,Qualitative|ケトン体定性 [/S] Lactate|乳酸/ラクテート [/B] |
関連する検査の読み方 |
【CK】 軽度に増加し、CK-MMが優位である。 【K】 Kの値により高K性、正K性、低K性に分類する。高K性は発作時に5~6mEq/Lになり、ECGでT波の先鋭化、QT時間短縮が認められる。低K性は発作時に3.0mEq/L以下になり、U波出現、T波の平低下、QT時間延長を認める。 【誘発試験】 ブドウ糖およびインスリン(低K血性型を誘発)またはKCl(高K血性型を誘発)によって発作を誘発出来るが、誘発された発作により呼吸筋麻痺または心伝導異常が生じることがあるため、熟練の医師以外は誘発試験を行うべきではない。 |
検体検査以外の検査計画 | 心電図検査 |