疾患解説
フリガナ | ジュウショウキュウセイコキュウキショウコウグン |
別名 | |
臓器区分 | 感染性疾患 |
英疾患名 | Severe Acute Respiratory Syndrome(SARS) |
ICD10 | U04.9 |
疾患の概念 | 2002年11月に中国で発生した新興感染症で、SARS Coronavirusによる気道飛沫で感染し、肺炎を発症する。院内感染が多く、死亡率は10%とされている。病原体はハクビシン、タヌキ、アナグマから検出されている。SARSは他のコロナウイルス感染症よりはるかに重症化し、ときに進行性に重度な呼吸機能不全を来すインフルエンザ様疾患である。感染源は、コウモリとの接触で感染したジャコウネコと推測されている。コウモリはしばしばコロナウイルスの保有動物となる事が知られている。2類感染症なので、直ちに届出する必要がある。 |
診断の手掛 | 同一医療機関内で、複数の医療従事者や患者が発熱(38℃以上)、咳、痰、呼吸困難などの症状を起こしている場合や、SARS流行地に渡航歴があり、同様の症状を呈する患者を診たら本症を疑う。 |
主訴 |
悪寒戦慄|Chill with shivening 筋肉痛|Myalgia 下痢|Diarrhea 高熱|High fever/Hyperthermia 呼吸困難|Dyspnea 頭痛|Headache/Cephalalgia 咳|Cough 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 痰|Sputum 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever |
鑑別疾患 |
インフルエンザ|Influenza 急性呼吸促迫症候群|Acute Respiratory Distress Syndrome(ARDS) 高病原性鳥インフルエンザ 呼吸器ウイルス感染症 腸チフス|Typhoid Fever デング熱|Dengue 肺炎|Pneumonia パラチフス マイコプラズマ肺炎 マラリア|Malaria レジオネラ症/在郷軍人病|Legionnaires' Disease |
スクリーニング検査 |
Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S] Activated Partial Thromboplastin Time|活性化部分トロンボプラスチン時間 [/P] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Creatinine|クレアチニン [/S] Creatine Kinase|クレアチンキナーゼ/クレアチンホスホキナーゼ [/S] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S] Leukocytes|白血球数 [/B] Lymphocytes|リンパ球 [/B] Platelets|血小板 [/B] Sodium|ナトリウム [/S] Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S] |
異常値を示す検査 |
SARS Coronavirus|重症急性呼吸器症候群診断(SARS)/SARSコロナウイルス [Positive/Sutum] SARS Coronavirus Antibody|SARSコロナウイルス抗体/抗SARSコロナウイルス抗体 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 白血球は減少し、分画では好中球の増加とリンパ球の減少を認める。血小板も減少する。 【LD】 増加し、その値は予後推定に有用である。 【SARSコロナウイルス】 咽頭ぬぐい液、喀痰、血液、糞便、尿から核酸を検出する。検体は急性期又は回復期に採取する。重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因ウイルスであるSARSコロナウイルスの検出に有用な遺伝子診断検査である。臨床的には38℃以上の高熱が3日以上続き、頭痛、悪寒戦慄、筋肉痛、全身倦怠感、咳などの症状を訴える患者を診た場合、またSARS流行地への渡航歴を持つ患者が同様の症状を訴えた場合に測定する。陽性の場合は2類感染症の取り扱いに準じ、直ちに患者を隔離する。 【SARSウイルス抗体】 発病初期には検出されない。IFA法では感染後10日、ELAUSA法では感染後20日頃から検出され始め、殆どの患者が陽性になるのは3~4週後になる。 【UN】【クレアチニン】 重症度に比例し増加する。 【PaCO2】 PaCO2は低下する。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査、胸部CT検査、呼吸機能検査 |