疾患解説
フリガナ | タイシツセイオウダン |
別名 |
間接型高ビリルビン血症 直接型高ビリルビン血症 |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Constitutional Hyperbilirubinemia |
ICD10 | N80.6 |
疾患の概念 | 先天性の肝細胞におけるビリルビン代謝異常による黄疸で、間接型高ビリルビン血症のGillbert症候群、Crigler-Najjar症候群と直接型高ビリルビン血症のDubin-Johnson症候群、Rotor症候群に分けられる。 |
診断の手掛 | 肝機能検査に異常が無く、軽度の黄疸あるいはビリルビン高値を呈する患者を診たら本症を疑う。Gillbert症候群:成人に見られ無症状で軽度の間接型高ビリルビン血症以外に明らかな異常は認められない。Crigler-Najjar症候群:出生後早期に高度の黄疸が出現し核黄疸を高率に合併する。Dubin-Johnson症候群:乳児期から学童期に発症するが、黄疸以外の症状はない。Rotor症候群:乳児期から学童期に発症するが、黄疸以外の症状はない。 |
主訴 | 黄疸|Jaundice |
鑑別疾患 |
溶血性黄疸 肝炎後高ビリルビン血症 シャント高ビリルビン血症 新生児黄疸 母乳性黄疸 閉塞性黄疸 慢性肝炎|Chronic Hepatitis ウイルス性肝炎|Viral Hepatitis 急性脂肪肝 妊娠高血圧症候群|Pregnancy-induced Hypertension 胆石症|Cholecystolithiasis 胆道感染症 膵頭部癌 原発性胆汁性肝硬変|Primary Biliary Cirrhosis(PBC) 原発性硬化性胆管炎|Primary Sclerosing Cholangitis(PSC) |
スクリーニング検査 |
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Bilirubin-Direct|直接ビリルビン/抱合型ビリルビン [/S] Bilirubin-Indirect|間接ビリルビン/非抱合型ビリルビン [/S] Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S, /U] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/P] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S] |
異常値を示す検査 |
BSP Retention|BSP test/ブロムサルファレイン試験 [/S] Cholic Acid [/S] Coproporphyrin|コプロポルフィリン [/U] Coproporphyrin I|コプロポルフィリンⅠ [/U] Coproporphyrin III|コプロポルフィリン [/U, /U] Erythrocyte Survival|赤血球寿命 [/RBC] Urobilinogen|ウロビリノゲン定性(尿) [/F, /U] |
関連する検査の読み方 |
【ビリルビン】 Gillbert症候群:6mg/dL以下である。 Crigler-Najjar症候群:8~31mg/dL程度に上昇する。 Dubin-Johnson症候群:2~5mg/dLで変動するが、まれに20~25mg/dLを超えることがある。 Roter症候群:2~5mg/dLで変動するが、20mg/dLに達することもある。 【総胆汁酸】 10~40μM程度の増加を見る。TBAは肝細胞でコレステロールを原料として生成され胆汁中に排泄された後、回腸末端で再吸収される閉鎖的腸肝循環を形成している。したがって血中の濃度は1~2μg/mLと極めて低値であるが、肝細胞での胆汁酸摂取障害、胆汁うっ滞、肝内・外シャント、腸管内濃度上昇などで血中濃度が上昇する。臨床的には肝実質障害、胆汁うっ滞のマーカー、潜在性肝硬変の発見、肝障害重症度の評価などに用いる。特に慢性肝炎や肝硬変ではAST、ALTが基準範囲内でもTBAが高値になる傾向があり、潜在性の肝硬変の発見に有効とされている。また、Gilbert病では間接型ビリルビンが高値でもTBAは基準範囲内で、鑑別診断に有用である。 |
検体検査以外の検査計画 | 腹腔鏡検査 |