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疾患解説

フリガナ ゲンパツセイタンジュウセイカンコウヘン
別名
臓器区分 消化器疾患
英疾患名 Primary Biliary Cirrhosis(PBC)
ICD10 K74.3
疾患の概念 原因不明の慢性肝内胆汁うっ滞性の疾患で、小葉間胆管および隔壁胆管の慢性非化膿性破壊性胆管炎が見られ、最終的に肝硬変、肝不全に至る自己免疫性疾患である。35~70歳代の女性に好発し、95%以上の患者で、抗ミトコンドリア抗体が陽性となり、他の自己免疫疾患を高頻度に合併する。X染色体が関与する遺伝的素因が一因と考えられているが、免疫調節機能に先天性の異常がある可能性もある。
診断の手掛 30~50%の患者は症状を伴わない。多くの患者は、ALPの上昇で偶然に発見される。中年女性(90%は35~70歳の女性)で、原因不明の肝機能異常を示す患者を診たら本症を疑う。かゆみ、全身倦怠感が初期症状である場合も多いので注意する。症状は潜行性のことが多く、そう痒、易疲労感、口腔乾燥、ドライアイが半数を超える患者で初発症状となり、数カ月ないし数年にわたり他の症状に先行することもある。その他の初期症状は、右上腹部不快感(10%)、圧痛を伴わない硬い肝腫大(25%)、脾腫(15%)、色素沈着(25%)、眼瞼黄色腫(10%)、黄疸(10%)などである。
【診断基準:2012年難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班】
(1)自覚症状:皮膚掻痒感で初発する初発することが多い。黄疸は出現後、消退することなく漸増することが多く、門脈亢進症状が高頻度に出現する。臨床上症候性と無症候性に分類され、皮膚掻痒感、黄疸、食道胃静脈瘤、腹水、肝性脳症など肝障害に基づ自他覚症状を有する場合は症候性、これらの症状を欠く場合は無症候性と呼ぶ。
(2)血液・生化学所見:症候性、無症候性を問わず、赤沈の亢進、胆道系酵素活性、総コレステロール値、IgM値の上昇を認め、抗ミトコンドリア抗体が高頻度に陽性になる。
(3)組織学的所見:肝組織では中等大小葉間胆管ないし隔壁胆管に慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)あるいは胆管消失を認める。
(4)合併症:高脂血症が持続する場合に皮膚黄色腫を伴う。シェーグレン症候群、関節リウマチ、慢性甲状腺炎などの自己免疫性疾患を合併することがある。
(5)鑑別診断:慢性薬物起因性肝内胆汁うっ滞、肝内型原発性硬化性胆管炎、成人性肝内胆管減少症など。
(6)診断:次のいずれか1つに該当するものをPBCと診断する。
①組織学的にCNSDCを認め、検査所見がPBCと矛盾しないもの。
②AMAが陽性で、組織学的にはCNSDCを認めないが、PBCに矛盾しない組織像を示すもの。
③組織学的検索の機会はないが、AMAが陽性で、しかも臨床上及び経過から、PCBと考えられるもの。
主訴 黄疸|Jaundice
かゆみ|Itching
肝腫大|Hepatomegaly
色素沈着|Pigmentation/Chromatosis
脂肪便|Steatorrhea
全身倦怠感|General malaise/Fatigue
脾腫|Splenomegaly
腹水|Ascites
鑑別疾患 原発性硬化性胆管炎|Primary Sclerosing Cholangitis(PSC)
閉塞性黄疸
薬剤性胆汁うっ滞
自己免疫性肝炎|Autoimmune Hepatitis
肝硬変|Cirrhosis of Liver
門脈圧亢進症
慢性肝炎|Chronic Hepatitis
アルコール性肝障害|Alcoholic Liver Disease
薬剤性肝障害|Drug-induced Liver Injury(DILI)
全身性硬化症/強皮症|Systemic Sclerosis/Scleroderma(SSc)
自己免疫性疾患
スクリーニング検査 Albumin|アルブミン [/S]
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S]
Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S]
Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S]
Bilirubin-Direct|直接ビリルビン/抱合型ビリルビン [/S]
Bilirubin-Indirect|間接ビリルビン/非抱合型ビリルビン [/S]
Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S]
Calcium|カルシウム [/U]
CEA|癌胎児性抗原 [/S]
Chloride|クロール [/S]
Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S]
Fibrinogen|フィブリノゲン/凝固第I因子 [/P]
Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S]
HDL-Cholesterol|HDL-コレステロール/高比重リポ蛋白コレステロール [/S, /S]
Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S]
Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [/S]
Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S]
LDL-Cholesterol|LDL-コレステロール/低比重リポ蛋白コレステロール [/S]
Platelets|血小板 [/B]
Potassium|カリウム [/S]
Prothrombin Time|プロトロンビン時間 [/P]
Sodium|ナトリウム [/S]
TIBC|総鉄結合能 [/S]
Triglycerides|トリグリセリド/中性脂肪/トリグリセライド/トリアシルグリセロール [/S]
Uric Acid|尿酸 [/S]
α2-Globulin|α2-グロブリン [/S]
β-Globulin|β-グロブリン [/S]
γ-Globulin|γ-グロブリン [/S]
γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/S]
異常値を示す検査 5'-Nucleotidase|5'-ヌクレオチダーゼ [/S]
Acid-soluble Carnitine, Total [/S]
Acylcarnitine, Free [/U]
Acylcarnitine, Short Chain [/S, /U]
Adenosine Deaminase|アデノシンデアミナーゼ [/S]
Amino Acids|アミノ酸分析/アミノ酸41分画 [/U]
Ammonium Ions|アンモニウムイオン [/U]
Anion Gap|アニオンギャップ [/U]
Anti-Gliadin IgG Antibodies|抗グリアジン抗体 [/S]
Anti-Mitochondrial Antibodies|抗ミトコンドリア抗体 [/S]
Anti-Mitochondrial M2 Antibodies [/S]
Anti-Mitochondrial M4 Antibodies [/S]
Anti-Mitochondrial M8 Antibodies [/S]
Anti-Mitochondrial M9 Antibodies [/S]
Anti-Smooth Muscle Antibodies|抗平滑筋抗体 [/S]
Antibody Titer [/S]
Antinuclear Antibodies|抗核抗体 [/S]
Apolipoprotein A-I|アポリポ蛋白A-I [/S]
Apolipoprotein A-II|アポリポ蛋白A-II [/S]
Apolipoprotein E|アポリポ蛋白E [/S]
Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S]
Bile Acids|総胆汁酸 [/S]
CA 19-9|CA19-9 [/S]
Carbohydrate-deficient Transferrin|糖鎖欠損トランスフェリン [/S]
Carcinoembryonic Antigen|癌胎児性抗原 [/S]
Carnitine, Free|カルニチン分画/ビタミンBT [/S]
CD8+ Lymphocytes [/B]
Ceruloplasmin|セルロプラスミン/フェロオキシダーゼ [/S]
Chenodeoxycholic Acid|ケノデオキシコール酸 [/S]
Cholesterol, Free:Cholesterol Ratio [/S]
Cholic Acid [/S]
Citrate|クエン酸/クエン酸塩 [/U]
Copper|銅 [/Liver, /U]
Cryoglobulins|クリオグロブリン [/S]
Enzyme Inhibitory Antibody to Pyruvate Dehydrogenase [/S]
Fibronectin|フィブロネクチン [/P]
Galactose Tolerance|ガラクトース負荷 [/Patient]
Granulocyte-Macrophage Colony Stimulating Factor|顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 [/S]
Hyaluronic Acid|ヒアルロン酸 [/S]
Interferon-γ|インターフェロン-γ [/S]
Interleukin-1β|インターロイキン-1β [/S]
Interleukin-2|インターロイキン-2 [/S]
Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S, /Monocytes, /S]
Interleukin-8|インターロイキン-8 [/S]
Iron Saturation|鉄飽和度 [/S]
Laminin|ラミニン [/S]
Lipids|総脂質 [/S]
Lipoprotein Lp (a)|リポ蛋白(a)/リポプロテイン(a) [/S]
Lipoprotein X|リポ蛋白X定性/リポプロテインX [/S]
Metallothionein|メタロチオネイン [/S]
Neopterin|ネオプテリン [/S]
Net Acid Excretion|総酸排泄量 [/U]
Osmolal Gap|浸透圧ギャップ [/U]
Osteocalcin|オステオカルシン [/S]
pH|尿pH [/U]
Phospholipids|リン脂質 [/S, /S]
Procollagen Type III Peptide|プロコラーゲンIIIペプチド [/S]
Proline Hydroxylase|プロリンヒドロキシラーゼ/プロリン水酸化酵素 [/S]
Superoxide Dismutase|スーパーオキサイドディスムターゼ/スーパーオキサイドジスムターゼ [/S]
Thromboplastin Time [/P]
Thyroxine Binding Globulin|サイロキシン結合グロブリン/チロキシン結合グロブリン [/S]
Tumor Necrosis FaUric Acid [/S]
Urobilinogen|ウロビリノゲン定性(尿) [/U]
Vitamin E|ビタミンE/トコフェロール/α-トコフェロール [/S]
Vitamin K|ビタミンK/ビタミンK分画 [/S]
β-Glucuronidase|β-グルクロニダーゼ [/S]
β-Hexosaminidase|β-ヘキソサミニダーゼ [/S]
関連する検査の読み方 【抗核抗体】
中等度に陽性である。
【抗セントロメア抗体】
陽性のことがある。
【抗平滑筋抗体】
低値である。
【抗平滑筋抗体】
多くの症例で陽性になる。
【抗ミトコンドリアM2抗体】
本症の診断に用いる。
【抗ミトコンドリア抗体】
患者の90~95%で強陽性(40~80倍)であり、本症の診断に有用で病状を反映する。力価が40倍以上なら本症を強く疑う。慢性肝炎の5%は同様の力価を示す。AMAはミトコンドリア内膜抗原に対する自己抗体で原発性胆汁性肝硬変に特異的に検出され、陽性率は90~95%とされている。臨床的には原発性胆汁性肝硬変の診断、薬剤性・自己免疫性胆管炎と原発性胆汁性肝硬変の鑑別に用いる。
【自己抗体】
PBC患者で認められる自己抗体は、RA66%、抗平滑筋抗体66%、抗甲状腺抗体40%、抗核抗体40%である。
【ALP】【γ-GT】
ALPは著増。早期に平坦になり以後20%以内の変動。γ-GTはALPに平行して動く。原因不明のALPおよびγ-GTの上昇を認めたら、PBCを疑い検査を進める。
【ALT】【AST】
ALTの上昇がみられることがあるが、殆どの場合ASTとALTは基準値上限程度の上昇である。
【コレステロール】【トリグリセリド】
総コレステロールとリン脂質は著明に増加。トリグリセリドは基準範囲内であるが病期の後期には増加する。
【5'-ヌクレオチダーゼ】
上昇する。5'-NDはヌクレオチドを加水分解する酵素でMgとMnで活性化される。下垂体後葉に最も多く存在するが、甲状腺、精巣、肝、腎、大動脈等にも分布している。ALP、γ-GT、LAPと共に胆道系酵素と呼ばれている。臨床的には肝の毛細胆管に結合している酵素が胆管閉塞が起こると血中に逸脱するので、閉塞性肝疾患の診断に有用である。閉塞性黄疸、肝内胆汁うっ滞のマーカーである。測定は同じ胆道系酵素であるALP、γ-GT、LAPと共に行い値を比較することが望ましい。
【ESR】
患者の80%で基準範囲の1~5倍に亢進する。
【ビリルビン】
急性期は正常。進行に伴い60%の患者で増加し、予後の指標である。直接ビリルビンが増加する。進行性に上昇し末期には30mg/dL以上になる。
【プロリンヒドロキシラーゼ】
著しく増加することがある。PHはプロリンを水酸化してヒドロキシプロリンにする水酸化酵素で3種の異性体を持つ。この酵素は肺や皮膚などコラーゲンの多い組織で活性が高く、多くは細胞のミクロソームに存在する。臨床的にはコラーゲン生成に関与していることから、線維増殖性疾患で組織活性が亢進するので、血中に逸脱する酵素活性測定は組織増殖性疾患の存在確認、経過観察に有用である。臨床的には線維増殖性疾患の病態把握に生検の代わりに利用される。
【免疫グロブリン】
患者の75%でIgMが増加し、基準範囲の4~5倍である。
【リンパ球サブセット】
CD4:CD8比は低下する。
【肝生検】
病期分類に肝生検は必須である。肝生検では確定診断が得られ、早期であっても、特徴的な胆管病変を検出できることがある。組織学的進行度の判定は1期:炎症、異常な結合組織、またはその両方が門脈域に限局して認められる。2期:炎症、線維化またはその両方が門脈域および門脈周囲領域に限局して認められる。3期:架橋線維化が認められる。4期:肝硬変である。
検体検査以外の検査計画 腹部超音波検査、CT検査、MRI検査、上部消化管内視鏡検査、磁気共鳴胆管膵管造影検査

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