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疾患解説

フリガナ ニンシンコウケツアツショウコウグン
別名 妊娠高血圧腎症
臓器区分 妊産婦疾患
英疾患名 Pregnancy-induced Hypertension
ICD10 O14.9
疾患の概念 妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧が見られる場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれかで、かつ高血圧と蛋白尿が単なる妊娠の合併症によるもので無い場合を妊娠高血圧症候群と呼ぶ。妊娠という負荷に対する母体の適応不全と考えられている。病因は不明であるが、危険因子としては未経産、慢性高血圧、腎疾患、糖尿病性血管障害、糖尿病、妊娠糖尿病、抗リン脂質抗体症候群、35歳以上または17歳未満の母体、妊娠高血圧症候群の家族歴、以前の妊娠での妊娠高血圧症候群、多胎妊娠、肥満が挙げられる。妊娠高血圧腎症の原因は子宮胎盤のらせん動脈の発達不良、13番染色体の遺伝子異常、免疫異常、胎盤の虚血や梗塞である。
診断の手掛 妊娠20週以降に高血圧、蛋白尿、浮腫のどれか一つでも認めたら本症を疑う。強い頭痛、眼症状、上腹部痛または心窩部痛は子癇の3大切迫症状であるので注意する。妊娠高血圧症候群の所見で、より特異的な所見である指輪が合わなくなる、または顔面の腫脹や反射亢進を調べることが大切である。重症の妊娠高血圧症候群は、臓器障害を引き起こし、頭痛、視覚障害、錯乱、心窩部痛や右上腹部痛、悪心、嘔吐、肺水腫、急性呼吸窮迫症候群および乏尿が見られる。
主訴 嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
顔面むくみ感|Facial edema
高血圧|Hypertension
呼吸困難|Dyspnea
錯乱|Confusion
紫斑|Purpura
出血傾向|Bleeding tendency/Hemorrhagic diathesis
視力障害|Blurred vision/Visual impairment
心窩部痛|Epigastralgia/Epigastric pain/Upper abdominal pein
上腹部痛|Upper abdominal pain
睡眠障害|Sleep disorder
頭痛|Headache/Cephalalgia
蛋白尿|Proteinuria
浮腫|Edema/Dropsy
乏尿|Oliguria
無尿|Anuria
鑑別疾患 高血圧症|Hypertension
甲状腺機能亢進症|Hyperthyroidism
腎炎
腎機能障害
脱水症|Dehydration
てんかん|Epilepsy
糖尿病性昏睡
妊娠悪阻
脳梗塞|Cerebral Infarction
脳出血
脳腫瘍|Cerebral Tumor
破傷風|Tetanus
ヒステリー
胞状奇胎|Hydatidiform Mole
慢性腎不全|Chronic Renal Failure
全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE)
腎実質性高血圧症
腎血管性高血圧症|Renovascular Hypertension
褐色細胞腫|Pheochromocytoma
抗リン脂質抗体症候群
大動脈縮窄症
腎動脈狭窄
クッシング症候群|Cushing's Syndrome
スクリーニング検査 Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S]
Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S]
Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S]
Bilirubin-Direct|直接ビリルビン/抱合型ビリルビン [/S]
Bilirubin-Indirect|間接ビリルビン/非抱合型ビリルビン [/S]
Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S]
Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S]
Creatinine|クレアチニン [/S]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S]
LDL-Cholesterol|LDL-コレステロール/低比重リポ蛋白コレステロール [/S]
Platelets|血小板 [/B]
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/U]
Thyroxine (T4)|総サイロキシン/総T4/サイロキシン/チロキシン [/S]
Thyroxine,Free(fT4)|遊離サイロキシン/遊離T4/フリーT4/遊離チロキシン [/S]
Tri-Iodothyronine (T3)|総トリヨードサイロニン/総T3/トリヨードサイロニン/トリヨードチロニン [/S]
Tri-Iodothyronine, Free (fT3)|遊離トリヨードサイロニン/フリーT3/遊離T3/遊離トリヨードチロニン [/S]
Triglycerides|トリグリセリド/中性脂肪/トリグリセライド/トリアシルグリセロール [/S]
γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/S]
異常値を示す検査 Atrial Natriuretic Peptide|心房性Na利尿ペプチド [/P]
BSP Retention|BSP test/ブロムサルファレイン試験 [/S]
Endothelin-1|エンドセリン [/P]
Fibronectin|フィブロネクチン [/P]
Glutathione S-Transferase Alpha 1-1 [/S]
Glutathione S-Transferase-pi 1-1 [/S]
Lipoprotein Lp (a)|リポ蛋白(a)/リポプロテイン(a) [/S]
N-terminal Pro-Atrial Natriuretic Peptide [/P]
Phospholipase A2 Type II [/S]
β-Chorionic Gonadotropin|ヒト絨毛性ゴナドトロピンβサブユニット [/P]
関連する検査の読み方 【凝固検査】
重症例では凝固異常を認める。微小血管性溶血、血小板減少(HELLP症候群)がみられる。血小板は<100,000/μLになる。
【クレアチニン】
血清クレアチニン は1.1mg/dLを超える。腎疾患のない場合は血清クレアチニンが倍増する。
【AST】【ALT】
基準範囲の2倍を超える。
【クレアチニンクリアランス】
腎機能の経過をみるため毎週測定する。クレアチニンは筋量に比例し、ほぼ一定の割合で産生され、腎糸球体から濾過され、尿細管で再吸収や分泌が殆んどない物質で、そのクリアランスは糸球体濾過量(GFR)とほぼ近似した値となるため、GFRの近似指標として用いられる。臨床的には腎糸球体や尿細管の障害が疑われる糖尿病腎症などの早期発見に用いられる。
【フィッシュバーグ濃縮試験】
基準範囲内である。
【PSP試験】
基準範囲内である。
【尿一般検査】
尿蛋白は痕跡程度から800mg/dLまで様々である。15mg/dL以上あれば早期の妊娠中毒症を疑う。
【尿沈渣】
硝子円柱と顆粒円柱を認めるが、赤血球と赤血球円柱は多くない。
検体検査以外の検査計画 血圧測定、24時間血圧モニタリング、超音波検査、眼底検査

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