疾患解説
フリガナ | ヒマンサイボウショウ |
別名 | 色素性蕁麻疹 |
臓器区分 | アレルギー疾患 |
英疾患名 | Mastocytosis |
ICD10 | Q82.2 |
疾患の概念 | 皮膚や他の組織、器官に肥満細胞が増殖または浸潤する疾患で、症状は、ヒスタミン、ヘパリン、ロイコトリエンや炎症性メディエーターの放出による。メディエーターの放出は、物理的刺激、運動、アルコール、NSAIDs、虫刺創、食物などで誘発される。肥満細胞症は、皮膚性と全身性に分けられ、皮膚肥満細胞症は小児に発症し、殆どの患者に色素性蕁麻疹が見られる。病変部は、局所性またはびまん性に分布するサーモンピンクまたは褐色の斑状丘疹状皮疹で、肥満細胞の小さな集まりが多数発生することが原因である。全身性肥満細胞症は成人に見られ、多巣性の骨髄病変を特徴とするが、しばしば皮膚、リンパ節、肝臓、脾臓、消化管を侵す。 |
診断の手掛 | 皮膚にかゆみ、潮紅あるいは胃酸過剰分泌などを訴える患者を診たら本症を疑う。皮膚病変をなでたり擦ったりすると、病変の周囲にじんま疹および紅斑を引き起こすダリエー徴候が見られる。皮膚のかゆみは、温度変化、衣類などとの接触、NSAIDsなどの薬剤の使用、熱い飲み物、香辛料やアルコール摂取、運動により悪化することがあるので見逃さない。全身症状で、最も良く見られるのは紅潮で、最も劇的なものは失神およびショックを伴うアナフィラキシー様反応およびアナフィラキシー反応である。他の症状としては、消化性潰瘍に起因する心窩部痛、悪心、嘔吐、慢性の下痢、関節痛、骨痛、精神神経的変化などである。 |
主訴 |
嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea かゆみ|Itching 関節痛|Arthralgia 結節|Node/Tuber/Tuberdle 下痢|Diarrhea 色素沈着|Pigmentation/Chromatosis 失神|Syncope 消化不良|Dyspepsia ショック|Shock 上腹部痛|Upper abdominal pain ダリエー徴候|Darier sign 潮紅|Flush 胸焼け|Heartbum/Pyrosis 抑うつ状態|Depressive state |
鑑別疾患 |
アナフィラキシー|Anaphylaxis 褐色細胞腫|Pheochromocytoma 骨髄増殖性疾患 骨髄異形成症候群|Myelodysplastic Syndrome 悪性リンパ腫|Malignant Lymphoma 肥満細胞腫 肥満細胞白血病 カルチノイド症候群|Carcinoid Syndrome ゾリンジャー-エリソン症候群|Zollinger-Ellison Syndrome |
スクリーニング検査 |
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/WBC, /S, /WBC] Basophils|好塩基球 [/B] Eosinophils|好酸球 [/B] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Leukocytes|白血球数 [/B] Platelets|血小板 [/B, /B] |
異常値を示す検査 |
5-Hydroxyindoleacetic Acid|5-ヒドロキシインドール酢酸 [/P] Antinuclear Antibodies|抗核抗体 [/S] Calcitonin|カルシトニン [/P] Folate|葉酸/プテロイルモノグルタミル酸/ビタミンM/乳酸菌発育因子 [/S] Granulocyte-Macrophage Colony Stimulating Factor|顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 [/S] Histamine|ヒスタミン [/P, /U] Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S] Mast Cells [/B] Methylimidazoleacetic Acid [/U] N-Methylimidazoleacetic Acid [/U] Neopterin|ネオプテリン [/S] Stem Cell Factor [/S, /S] Tryptase|トリプターゼ [/S] Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/S] Vitamin B12|ビタミンB12/コバラミン/シアノコバラミン [/S] β2-Microglobulin|β2-ミクログロブリン/β2-マイクログロブリン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【骨髄像】 肥満細胞のびまん性浸潤を認める。 【骨髄生検】 診断確定に有用である。多巣性で密な肥満細胞の浸潤がみられる。 【トリプターゼ】 高値になる。肥満細胞が活性化されると血中に放出される物質で、アナフィラキシーのリスク評価、昆虫毒や術後の反応マーカーとして測定される。 【5-HIAA】 尿中の5-HIAAを紅潮を伴う患者でカルチノイド症候群を除外するために測定する。 【ガストリン】 ゾリンジャー・エリソン症候群の除外診断に有用である。ガストリンは胃幽門部や十二指腸粘膜のガストリン分泌細胞(G細胞)から分泌される消化管ホルモンで、胃壁細胞に作用して胃酸の分泌を促進する働きがある。ガストリンの増減は、胃酸の分泌による胃液のpHで調節されているため、胃酸分泌低下をきたす病態をよく反映する。 |
検体検査以外の検査計画 |