疾患解説
フリガナ | ケッカクセイズイマクエン |
別名 | |
臓器区分 | 感染性疾患 |
英疾患名 | Tuberculos Meningitis |
ICD10 | A17.0 |
疾患の概念 | 原発巣から結核菌が血行性に中枢神経に入ることにより発症する。亜急性に経過し、脳底部の髄膜に強い滲出性炎症を起こす。小児に多いが成人にも見られ、特にHIV感染者は注意が必要である。 |
診断の手掛 | 結核の既往患者、免疫抑制剤投与者、AIDSなどの免疫不全患者が亜急性の発熱、頭痛を訴えたら本症を疑う。結核性髄膜炎は通常、過去の感染症の再活性化が原因である。髄膜炎症状は、数日から数週間かけて発症するが、これより急速なこともあれば緩徐なこともある。結核菌は脳底部髄膜炎を引き起こし、3つの合併症を伴う。1.ルシュカおよびマジャンディ孔またはシルビウス水道の閉塞による水頭症 2.血管炎、これが原因の動脈・静脈閉塞および脳卒中 3.脳神経の障害、特に第II、第VIIおよび第VIII神経。結核性髄膜炎は急速かつ破壊的に進行し、しかも、診断検査が限られているので、臨床的に疑わしい場合は、躊躇しないで治療を優先すべきである。 |
主訴 |
意識障害|Memory impaiment 嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 片麻痺|Hemiplegia 眼球運動障害|Eye movement disturbance 痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure ケルニッヒ徴候|Kernig sign 項部硬直|Nuchal stiffness/Stiffness of neck/Stiff neck 食欲不振|Anorexia 視力障害|Blurred vision/Visual impairment 髄膜刺激症状|Meningeal irritation sign 頭痛|Headache/Cephalalgia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever ブルジンスキー徴候|Brudzinski sign |
鑑別疾患 |
急性化膿性髄膜炎 クリプトコッカス髄膜炎 髄膜癌腫症 ウイルス性髄膜炎|Viral Meningitis 単純ヘルペスウイルス脳炎|Herpes Simplex Encephalitis 亜急性髄膜炎 リステリア症 |
スクリーニング検査 |
Chloride|クロール [/CSF, /S] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/CSF] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/CSF] Leukocytes|白血球数 [/CSF] Lymphocytes|リンパ球 [/CSF] Magnesium|マグネシウム [/CSF] Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S, /CSF] Rheumatoid Factor|リウマチ因子測定/RAゼラチン凝集反応/リウマチ因子定量 [/S] Sodium|ナトリウム [/S] Uric Acid|尿酸 [/CSF, /S, /U] VDRL|性病研究所梅毒検査法/VDRL法 [Positive/S] γ-Globulin|γ-グロブリン [/S] |
異常値を示す検査 |
Adenosine Deaminase|アデノシンデアミナーゼ [/CSF] Arginine Vasopressin|アルギニンバゾプレッシン/抗利尿ホルモン/バゾプレシン [/P] Cells [/CSF] Interferon-γ|インターフェロン-γ [/CSF] Interleukin-1|インターロイキン-1/インターロイキン-1α/インターロイキン1β [/CSF] Interleukin-10|インターロイキン-10 [/CSF] Interleukin-6|インターロイキン-6 [/CSF] Interleukin-8|インターロイキン-8 [/CSF] Sodium|ナトリウム [/S] Soluble Tumor Necrosis Factor Receptor|可溶性腫瘍壊死因子レセプター-I [/CSF] Soluble Tumor Necrosis Factor Receptor-p55 [/CSF] Soluble Tumor Necrosis Factor Receptor-p75 [/CSF] Tryptophan|トリプトファン [/CSF] Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/CSF] |
関連する検査の読み方 |
【髄液一般検査】 圧上昇、キサントクロミー、細胞数増加(白血球が増加しリンパ球優位である)、蛋白増加(100~800mg/dL)、糖の低値が見られる。特徴的所見として単核球増加、Cl低値、室温放置によるフィブリン析出があげられる。最初の髄液異常が極めて低い糖値である場合があるので、見逃さない。 【抗酸菌塗抹染色】【抗酸菌培養】 CSFの直接塗抹で抗酸菌が見られるのは20%程度である。培養では80%が陽性となる。髄液抗酸菌培養の感度は約70%、最大6週間必要である。 【PCR】 髄液PCRの感度は50~70%である。 【インターフェロンγ】 結核の既往を同定できるが、結核菌が髄膜炎の原因かどうかは、決まられない。 |
検体検査以外の検査計画 | MRI検査、胸部X線検査 |