疾患解説
フリガナ | オウモンキンユウカイショウ |
別名 | 挫滅症候群 |
臓器区分 | 救急疾患 |
英疾患名 | Rhabdomyolysis |
ICD10 | M62.89 |
疾患の概念 | 骨格筋細胞の破壊により、細胞成分が血液中に流入する病態で、外傷性の挫滅症候群と薬物による非外傷性に分けられる。血中に流入した筋肉成分の一つであるミオグロビンは、急性腎不全を引き起こす。 |
診断の手掛 | 尿が赤色あるいは褐色を呈し、しかも尿中に赤血球が殆ど、あるいは全く存在せず、ベンチジンやオルトルイジン反応が陽性の場合は本症を疑う。長期臥床者やスタチン系薬服用者にも注意する。急性発症した筋力低下を訴える患者を診たら血清K値、尿中ミオグロビンを測定すると診断の一助になる。 |
主訴 |
意識障害|Memory impaiment 褐色尿|Brown urine 感覚麻痺|Sensory paralysis 筋肉痛|Myalgia 筋力低下|Weakness ショック|Shock 水疱|Bulla/Blister 赤色尿|Rubruria 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 着色尿|Chromaturia 点状出血|Petechiae 浮腫|Edema/Dropsy 発赤|Flare/Rubor 乏尿|Oliguria 無尿|Anuria |
鑑別疾患 |
アルコール依存症|Alcoholism 挫滅症候群 多発性筋炎/皮膚筋炎|Polymyositis/Dermatomyositis 糖尿病性ケトアシドーシス|Diabetic Ketoacidosis(DKA) 薬物副作用 低リン血症|Hypophosphatemia |
スクリーニング検査 |
Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S] Amylase|アミラーゼ [/S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Calcium|カルシウム [/S] Creatine Kinase|クレアチンキナーゼ/クレアチンホスホキナーゼ [/S] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/U] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S] Phosphate|無機リン [/S] Platelets|血小板 [/B] Potassium|カリウム [/S] Uric Acid|尿酸 [/S] |
異常値を示す検査 |
17-Hydroxycorticosteroids|17-ヒドロキシコルチコステロイド [/U] 17-Ketogenic Steroids|17-ケトジェニックステロイド [/U] Carbonic Anhydrase III [/S] Catecholamines|カテコールアミン総 [/U] Creatine Kinase Isoenzyme|CKアイソザイム/CPKアイソザイム [/S] Creatine Kinase MB-Isoenzyme|CK-MB [/S] Lipase|リパーゼ/膵リパーゼ [/S] Myoglobin|ミオグロビン [/S, /U] Myosin Heavy-chain Fragments [/S] Troponin I|心筋トロポニンI/トロポニンI [/S] α1-Acid Glycoprotein|α1-酸性糖蛋白/オロソムコイド/α1アシドグリコプロテイン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【CK】 高値になる。 【K」 高値になる。 【Ca】 急性期に軽度に低下する事がある。 【CK】 増加しアイソザイムはCK-MBが優位である。CK-MBは主として心筋と骨格筋に多く含まれ、これら筋肉の障害時に血中に流出する。 【ALT】【LD】 肝疾患や溶血がないのに高値なら必ずCKを測定する。 【尿一般検査】 尿の色調は赤色、褐色で赤血球を殆どあるいは全く含まないがベンチジンやオルト-トルイジン試験は陽性である。赤血球が見られないのが特徴である。 【尿沈渣】 尿細管上皮細胞を認める。 【尿酸】 広範囲の組織破壊で増加する事がある。 【ミオグロビン】 尿中のミオグロビンが陽性になる。Mbは筋肉内に存在し酸素供給に関与しているヘム蛋白である。ヘモグロビンよりも酸素親和性が大きいため、多量の酸素が必要な筋肉、特に心筋に多量に存在している。 【無機リン】 中等度に増加する。 【診断】 CK高値、K高値、ミオグロビン高値なら本症の可能性は極めて高い。 |
検体検査以外の検査計画 | |