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疾患解説

フリガナ タイシャセイアシドーシス
別名
臓器区分 救急疾患
英疾患名 Metabolic Acidosis
ICD10 E87.2
疾患の概念 HCO3-の喪失、H+の負荷および産生量の増加、H+排泄障害により、血漿中の一次性のHCO3-の減少とpHの低下をきたす病態で、酸素不足、代謝障害、腎障害によって発症する。アニオンギャップ増加型と正常型に分けられ、増加型は乳酸アシドーシス、ケトアシドーシス、腎不全または中毒で見られる。正常型は主に消化管からのHCO3-の喪失または腎からの酸排泄障害によって引き起こされる。乳酸アシドーシスは、乳酸の過剰形成と利用低下により、乳酸が蓄積することで発症する。乳酸の過剰産生は、嫌気性代謝の状態で起こり、重篤な病型としてショックがある。乳酸の利用低下は、肝血流の低下による肝細胞機能障害か、全身性ショックの一環として発症する。ケトアシドーシスは1型糖尿病の合併症であるが、慢性アルコール中毒、低栄養および絶食でも見られる。腎不全は、酸排泄の減少およびHCO3−再吸収の減少を来し、高アニオンギャップ性アシドーシスを引き起こす。胆汁、膵液、腸液などの消化管分泌液はHCO3−を多量に含んでいるので下痢、チューブドレナージ、瘻孔からの消化液の喪失はアシドーシスを引き起こしうる。尿細管性アシドーシスでは、H+分泌(1型および4型)またはHCO3−吸収(2型)のいずれかが障害される。アニオンギャップが正常な酸排泄障害は、腎不全の初期、尿細管間質性腎疾患およびアセタゾラミなどの炭酸脱水酵素阻害薬の摂取時にも見られる。
診断の手掛 症状は血液中の酸の蓄積によるため悪心、嘔吐、嗜眠、過呼吸である。診断のきっかけは臨床的所見による。早期にショック状態が見られる場合もある。血漿のpHが7.10未満の酸血症になると悪心、嘔吐および全身倦怠感を引き起こすことがある。アシドーシスが急速に発症した場合は、pHがより高値にならなければ症状が発現しないこともある。最も特徴的な徴候は過呼吸で、代償性の肺胞換気亢進を反映する。酸血症が急性でかつ重篤な場合は、低血圧、ショックを伴う心機能障害、心室性不整脈ならびに昏睡が生じやすくなるので注意する。
主訴 嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
過呼吸|Hyperpnea
血圧低下|Blood pressure decreased
昏睡|Coma
昏迷|Stupor
嗜眠|Lethargy
ショック|Shock
全身倦怠感|General malaise/Fatigue
鑑別疾患 一酸化炭素中毒|Toxic Effects of Carbon Monoxide
ケトアシドーシス
ショック|Shock
急性腎不全|Acute Renal Failure
慢性腎不全|Chronic Renal Failure
脱水症|Dehydration
低酸素血症|Hypoxia
糖尿病|Diabetes Mellitus
糖尿病性ケトアシドーシス|Diabetic Ketoacidosis(DKA)
白血病
メープルシロップ尿症|Maple Syrup Urine Disease
メタノール中毒
劇症肝炎|Fulminant Hepatitis
副甲状腺機能亢進症|Hyperparathyroidism
高K血症|Hyperkalemia
コレラ|Cholera
薬剤(サリチル酸)
スクリーニング検査 Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S]
Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S]
Leukocytes|白血球数 [/B]
Phosphate|無機リン [/S]
Potassium|カリウム [/S]
異常値を示す検査 2,3-Diphosphoglycerate|2,3-ジホスホグリセレート/2,3-ジホスホグリセリン/2,3-ビスホスホグリセリン酸 [/RBC]
Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S]
Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B]
Ionized Calcium|イオン化カルシウム/Caイオン [/S]
Lactate|乳酸/ラクテート [/B]
pH|尿pH [/B, /U]
関連する検査の読み方 【Anion Gap】
代謝性アシドーシスはAGが増加するものと正常なものがあるので、最初のステップとして必ずAGを算定する。AGは乳酸やケトン体などの量を間接的に表す指標でAG=(Na)-(Cl-)+(HCO3-)の式で計算され、陰イオン(乳酸、ピルビン酸、リン酸、硫酸)増減の指標となる。臨床的には酸塩基平衡以上を来す疾患に用いる。アニオンギャップが基準範囲内で著明な下痢などの明らかな原因が無い場合は、尿中の電解質を測定し、[Na] + [K]–[Cl]を計算して尿のアニオンギャップを求める。正常な尿のアニオンギャップは30~50mEq/Lで、この値の上昇は腎臓からのHCO3−喪失を示唆する
【浸透圧ギャップ】
サリチル酸、メタノール、エチレングリコールなどの浸透圧物質の存在が歌がれれば、浸透圧ギャップを計算する。浸透圧ギャップは、血清浸透圧の計算値(2[Na]+ [血糖]/18 + BUN/2.8 + 血中アルコール/5)を測定した浸透圧の値から減じて求める。差が10を上回れば浸透圧物質の存在が示唆され、これは高アニオンギャップ性アシドーシスの原因が、メタノールまたはエチレングリコールであることを意味する。
【サイクリックAMP】
副甲状腺機能亢進症による代謝性アシドーシスで低下する。
【グルコース】
糖尿病の有無をを確認する。
【乳酸】
死亡率の高い乳酸アシドーシスの診断に有用である。
【ピルビン酸】
乳酸とともに測定する。
【動脈血ガス分析】
PaCO2は低下する。15mEq/L以下なら呼吸性アルカローシスをほぼ確実に除外できる。HCO3-は24mEq/L未満である。pHは7.3以下に低下する。
【pH】
尿のpHが4.5~5.2の強い酸性なら腎機能は正常である。4型RTAはH+の分泌は正常で、尿pHは5.3以下になる。対照的に1型では尿pH1は5.3を超える。2型では多様である。
【K】
血清K値と尿pHは尿細管性アシドーシスの鑑別に有用である。1型と2型RTAは通常は低K血症、4型RTAは高K血症が特徴である。
検体検査以外の検査計画

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