疾患解説
フリガナ | テイMgケッショウ |
別名 | |
臓器区分 | 電解質代謝疾患 |
英疾患名 | Hypomagnesemia |
ICD10 | E83.4 |
疾患の概念 | 低Mg血症とは、血中Mgが1.5mEq/L以下のもので、腸管からのMg吸収障害と喪失の亢進、腎尿細管再吸収の障害、細胞外液からのMg移動、妊娠高血圧腎症、授乳などが原因である。また、ループ利尿薬やサイアザイド利尿薬の使用、副甲状腺腫瘍摘出後、糖尿病性ケトアシドーシス、アルドステロン・甲状腺ホルモン・ADHの過剰分泌も低Mg血症の原因となる。高度の低Mg血症(1.0mg/dL以下)は低Ca血症を伴う。 |
診断の手掛 | 食欲不振、悪心、嘔吐、嗜眠、人格変化、Chvostec徴候またはTrousseau徴候が陽性の患者を診たら本症を疑う。また、自発性の手足の攣縮、反射亢進、振戦、筋肉の線維束性収縮も重要な手掛かりになる。患者にテタニーのような神経学的徴候があれば、低Ca血症、低K血症の存在を確認する。原因不明の低Ca血症または難治性の低K血症がみられる患者は、血清Mg濃度が基準範囲内でもMg欠乏症を疑うべきである。原因不明の神経症状、アルコール依存症、慢性下痢、シクロスポリン、シスプラチン、アムホテリシンBもしくはアミノグリコシド系薬剤による治療を受けた患者は、常にMg欠乏症の発症を疑うべきである。 |
主訴 |
嘔吐|Vomiting 悪心|Nausea 筋力低下|Weakness クヴォステク徴候|Chvostek sign 痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure 昏睡|Coma 昏迷|Stupor 嗜眠|Lethargy 食欲不振|Anorexia 振戦|Tremor せん妄|Delirium トルソー徴候|Trousseau sign テタニー|Tetany めまい|Dizziness |
鑑別疾患 |
アルコール依存症|Alcoholism 原発性アルドステロン症|Primary Aldosteronism 高Ca血症|Hypercalcemia 甲状腺機能亢進症|Hyperthyroidism 甲状腺機能低下症|Hypothyroidism 腎不全 糖尿病性ケトアシドーシス|Diabetic Ketoacidosis(DKA) 吸収不良症候群|Malabsorption 下痢症|Diarrhea バーター症候群|Bartter's Syndrome 糖尿病|Diabetes Mellitus 代謝性アシドーシス|Metabolic Acidosis 甲状腺中毒症 リン欠乏症 Gitelman症候群 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群|Inappropriate ADH Syndrome(SIADH) 低リン血症|Hypophosphatemia 薬剤(利尿剤、シスプラチン、シクロスポリン、アミノ配糖体、アムフォテリシンB) |
スクリーニング検査 |
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Calcium|カルシウム [/S] Creatinine|クレアチニン [/S] Magnesium|マグネシウム [/S] Phosphate|無機リン [/S] |
異常値を示す検査 |
1,25-Dihydroxy Vitamin D|1,25-ジヒドロキシビタミンD3/1α,25-ジヒドロキシビタミンD/活性型ビタミンD [/S] Fractional Excreation of Magnesium [/U] Ionized Calcium|イオン化カルシウム/Caイオン [/S] Magnesium, Free|マグネシウム [/RBC] Magnesium:Creatinine Ratio [/S] Parathyroid Hormone|副甲状腺ホルモン [/P] |
関連する検査の読み方 |
【Ca】 PTH分泌抑制により低値を示す。 【Mg】 1.4mg/dL(0.70mmol/L)以下である。重度の低Mg血症は、1.0mEq/L(0.50mmol/L)を下回り、低Ca血症および低Ca尿症が併発する。 【尿中Mg】 排泄が10~30mg/日を超えていれば腎性Mg喪失を考える。 【K】 腎尿細管でのKイオン再吸収が低下し、尿中にKが脱出するので低値を示す。 【副甲状腺ホルモン】 低値になり、Mg濃度が高くなるとPTH値も速やかに上昇する。 【サイクリックAMP】 尿中排泄量は2μmol/日以下に低下する。cAMPは細胞内の情報伝達、細胞分化、増殖、免疫や各種代謝などに関与しており、ATPを基質として産生される。臨床的には高Ca血症あるいは低Ca血症の鑑別診断の際に副甲状腺機能異常が疑われるときや肝予備能検査であるグルカゴン負荷試験のマーカーとして測定される。腎原性cAMPの算定:腎原性cAMP(nmol/dL)=尿cAMP×sCr/uCr-血漿cAMP(基準値:0.8~2.8nmol/dlGF) |
検体検査以外の検査計画 | 心電図検査 |