疾患解説
フリガナ | ヒストプラスマショウ |
別名 | |
臓器区分 | 感染性疾患 |
英疾患名 | Histoplasmosis |
ICD10 | B39.9 |
疾患の概念 | Histplasma capsulatumの胞子を吸引することで発症する、肺および播種性の疾患で、急性感染症は、通常1ヶ月以内に収束し、肺に石灰化した結節を残す。播種性では縦隔の線維化、関節炎、関節痛、肝合併症、結節性紅斑などを発症する。この疾患は、急性一次性ヒストプラスマ症、進行性播種性ヒストプラスマ症、慢性空洞性ヒストプラスマ症の3型がある。疫学的には鳥類の糞とコウモリとの接触に関連している。 |
診断の手掛 | 殆どの場合無症候性、または臨床症状が軽度である。AIDS患者に発症する進行性播種性Histoplasma症は、肝腫大、脾腫、リンパ節腫脹、骨髄病変、口腔内・消化管潰瘍形成を来す。またHIV患者に説明のつかない病状の悪化が見られたら本症を疑う。本症は3つの病型がある。急性原発性ヒストプラスマ症は、発熱、咳嗽、筋肉痛、胸痛、全身倦怠感が生じる症候群で、時に急性肺炎を発症する。慢性空洞性ヒストプラスマ症は、肺尖部に空洞性結核に類似した肺病変が特徴である。症状は、咳嗽と呼吸困難で、最終的には呼吸機能障害に至る。進行性播種性ヒストプラスマ症は、肝・脾腫、リンパ節腫脹、骨髄病変のほか、口腔や消化管の潰瘍形成を伴う網内系の全身性病変が特徴である。亜急性または慢性に経過し、発熱、疲労、体重減少、脱力、全身倦怠感などの非特異的な症状しか見られない。HIV陽性患者では中枢神経系が侵されることがあるので注意する。 |
主訴 |
肝腫大|Hepatomegaly 関節痛|Arthralgia 原因不明熱|Fever of unknown origin/FUO 口腔内潰瘍|Oral cavity ulcer 頭痛|Headache/Cephalalgia 咳|Cough 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 痰|Sputum 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 脾腫|Splenomegaly リンパ節腫脹|Lymphadenopathy |
鑑別疾患 |
肺結核|Pulmonary Tuberculosis 強度近視 加齢黄斑変性症 トキソプラズマ症|Toxoplasmosis アジソン病/急性副腎不全|Addison's Disease/Adrenal Crisis 髄膜炎|Meningitis 肺結核|Pulmonary Tuberculosis |
スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [/S] Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B] Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S] Iron|鉄/血清鉄 [/S] Leucine Aminopeptidase|ロイシンアミノペプチダーゼ [/S] Leukocytes|白血球数 [/B, /B] Lymphocytes|リンパ球 [/B] MCH|平均赤血球ヘモグロビン量 [/B] MCHC|平均赤血球ヘモグロビン濃度 [/B] Platelets|血小板 [/B] γ-Globulin|γ-グロブリン [/S] γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/S] |
異常値を示す検査 |
5'-Nucleotidase|5'-ヌクレオチダーゼ [/S] Agglutination Tests [Positive/S] Angiotensin-converting Enzyme|アンギオテンシン変換酵素 [/S] Antibody Titer [/S] BSP Retention|BSP test/ブロムサルファレイン試験 [/S] Complement Fixation [/S] Histoplasma Capsulatum Antibody|ヒストプラスマ抗体/抗ヒストプラスマ抗体 [Positive/S] Precipitins [/S] Reticulocytes|網赤血球/レチクロサイト/網状赤血球数 [/B] |
関連する検査の読み方 |
【ヒストプラスマ抗原】 血清と尿の同時ヒストプラスマ抗原検査は感度と特異度が高い。しかし、他の真菌(Coccidioides,Blastmyces,Paracoccidioides,Penicillium)との交差反応があるので注意する。尿中抗原陽性なら播種性を疑う。また、治療効果判定や経過観察にも使う。 【ヒストプラスマ抗体】 ヒストプラスマ症は南米・北米・アフリカ大陸の分布するHistplasma capsulatumによる真菌感染症であるが、海外交流の増加により輸入感染症として遭遇する可能性がある。この真菌の吸入により急性肺炎、播種性全身疾患、慢性肺疾患を引き起こすが、播種性全身疾患が最も重症型でAIDSの合併症として注目されている。ただし、全身性の播種感染や重度の免疫抑制状態では陰性になることがある。臨床的には流行地域への旅行者とAIDS患者が原因不明の呼吸器疾患や全身性疾患を訴えた場合に測定する。 【バフィコート真菌培養】 血液検体からの検出頻度が向上する。 【バッフィコート塗抹標本】 感染が広範囲にわたるエイズ患者では、ライトまたはギムザ染色で細胞内酵母を認める。 【エイズ患者】 症状は非特異的であるが、常に発症を疑う必要がある。 |
検体検査以外の検査計画 | 胸部X線検査 |