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疾患解説

フリガナ キンイシュクセイソクサクコウカショウ
別名
臓器区分 神経・筋疾患
英疾患名 Amyotrophic Lateral Sclerosis(ALS)
ICD10 G12.2
疾患の概念 ALSは進行性の運動ニューロン疾患の中で、最も高頻度に見られる疾患である。本症は、皮質脊髄路、前角細胞、延髄運動核または、これらの複合的な進行性の変性で、全身の随意運動機能のみが侵される原因不明の疾患である。60歳代後半に多く、男女比は3:2で、約10%の患者は遺伝性である。
診断の手掛 症状は上位運動ニューロンあるいは下位運動ニューロンのいずれがより強く障害されたかで異なる。非対称性の手または足の痙攣、筋力低下、筋萎縮を訴える患者を見たら本症を疑う。感覚症状、外眼筋麻痺、膀胱直腸障害、褥瘡は認められず、これをASLの陰性4徴と云う。
【診断基準:2015年厚労省】
1.主要項目:①成人発症である。 ②経過は進行性である。 ③神経所見・検査所見で、下記のa),b)のいずれかを満たす。a):1つ以上の領域に上位運動ニューロン徴候を認め、かつ2つ以上の領域に下位運動ニューロン症候がある。 b):SOD1遺伝子変異など既知の家族性筋萎縮性側索硬化症に関与する遺伝子異常があり、身体の1領域以上に上位および下位運動ニューロン兆候がある。 ④鑑別診断:脳幹・脊髄疾患、末梢神経疾患、筋疾患、下位運動ニューロン障害のみを示す変性疾患、上位運動ニューロン障害のみを示す変性疾患のいずれでもない。
2.診断基準:①~④の全てを満たすものを、筋萎縮性側索硬化症とする。
主訴 易疲労感|Fatigue
運動障害|Dyskinesia
嚥下障害|Dysphagia
筋萎縮|Muscle atrophy
筋力低下|Weakness
痙攣発作|Seizures/Convulsion/Convulsive seizure
言語障害|Language disorder/Allophasis
構音障害|Dysarthria
呼吸障害|Disturbance of breath
全身倦怠感|General malaise/Fatigue
体重減少|Weight loss
やせ|Weight loss
鑑別疾患 頸椎症性筋萎縮症
神経性疾患
脊髄性筋萎縮症
脊髄性進行性筋萎縮症
多巣性運動ニューロパチー
認知症|Dementia
パーキンソン病|Parkinson's Disease(PD)
平山病
慢性運動性軸索ニューロパチー
ポリオ後筋萎縮症
球脊髄性筋萎縮症
封入体筋炎
頸椎症
脊髄空洞症
脊髄腫瘍
後縦靭帯骨化症
椎間板ヘルニア
多発神経炎
多発性筋炎/皮膚筋炎|Polymyositis/Dermatomyositis
脳血管障害
脳腫瘍|Cerebral Tumor
HAM
スクリーニング検査 Calcium|カルシウム [/U]
Creatinine|クレアチニン [/U, /S]
Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S]
異常値を示す検査 2-5AS|2-5A合成酵素/2-5オリゴアデニレートシンターゼ [/S]
4-Hydroxynonenal [/CSF]
Acetylcholine Receptor Binding Antibodies|抗アセチルコリンレセプター結合型抗体/抗アセチルコリン受容体結合型抗体/Ach-R非阻害型抗体 [/S]
Alanine|アラニン [/P]
Aldolase|アルドラーゼ/アルドラーゼアイソザイム [/S]
Amyloid β-Protein Precursor|アミロイドβ蛋白質前駆体 [/CSF]
Antibody Titer [/S]
Aspartic Acid|アスパラギン酸 [/S]
Creatine|クレアチン [/U]
Creatine Kinase BB-Isoenzyme|CK-BB [/S]
Creatine Kinase MM-Isoenzyme|CK-MM [/S]
Glucose Tolerance|ブドウ糖負荷試験/グルコース負荷試験 [/S]
Glycine|グリシン [/P]
Homovanillic Acid|ホモバニリン酸 [/CSF]
Isoleucine|イソロイシン [/P]
Lactate Dehydrogenase Isoenzyme-5|乳酸デヒドロゲナーゼアイソザイム/LDアイソザイム [/S]
Leucine|ロイシン [/P]
Methionine|メチオニン [/P]
Myelin Basic Protein|ミエリン塩基性蛋白/EAE起炎性蛋白 [/CSF]
Transglutaminase|トランスグルタミナーゼ [/CSF]
Tyrosine|チロシン [/P]
関連する検査の読み方 【CK】
軽度に上昇する。
【2-5A合成酵素】
増加することがある。2-5ASはインターフェロンが細胞膜に結合した際に誘導される酵素で、mRNAを分解し蛋白質合成を低下させる作用があり細胞やウイルスの蛋白合成を阻害する。また、ウイルス感染により免疫担当細胞で産生されるためウイルス感染初期の生体防御機構としても働いている。
【α2-マクログロブリン】
低下することがある。
【ミエリン塩基性蛋白】
髄液中の値は基準範囲上限以上である。MBPは中枢神経のミエリン鞘に特異的に存在する蛋白で、髄液中のMBP量からミエリン鞘の破壊の程度と大きさが推定できる。
【染色体】
家族性では第21染色体上腕上の銅-亜鉛スーパーオキシムジスムターゼ遺伝子の突然変異と関係があり、常染色体優生遺伝とされている。
検体検査以外の検査計画 針筋電図検査、筋電図検査、神経伝導速度、筋CT・MRI検査、脳血流検査

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