疾患解説
フリガナ | アクセイコクショクシュ |
別名 |
黒色腫 皮膚悪性黒色腫 |
臓器区分 | 皮膚疾患 |
英疾患名 | Malignant Melanoma |
ICD10 | C43.9 |
疾患の概念 | 色素細胞(メラノサイト系細胞)由来の悪性腫瘍で、皮膚以外にも脈絡膜、鼻腔、口腔、食道などの粘膜にも認められる。悪性黒色腫は、1.悪性黒子型 2.表在拡大型 3.結節型 4.末端黒子型の4型に分けられる。発生頻度は、白人に多く(人口10万当たり年間20人程度発症)、日本人は人口10万当り年間1~2人程度である。 |
診断の手掛 | 多くの黒色腫は、有色素性のほくろから生じるため、ほくろに色、大きさ、表面性状、硬さ、形状、周囲皮膚への浸潤などの変化が見られたら本症を疑う。特に足底や爪部などの四肢末端部が半数を占める。黒色腫の病歴を持つ第1度近親者が、一人以上いる場合は、最大6~8倍リスクが高い。十分な光の下で診察した時に、病変部が赤色、白色、黒色及び青みがかった色調など様々な変化が見られれば、黒色腫の可能性は高い。また、癌化したメラノサイトがメラニン産生能を喪失することがあり、紅色病変(無色素性黒色腫)として見られ、診断が難しいことがある。診察の際には非対称性、境界不明瞭、多色、直径6mm以上の、ほくろを見たならば悪性を疑う。鑑別する疾患として基底細胞癌、有棘細胞癌、脂漏性角化症、異型母斑、青色母斑、皮膚線維腫、ほくろ、手または足に生じた血腫などがある。 |
主訴 |
潰瘍|Ulcer 結節|Node/Tuber/Tuberdle 黒褐色斑|Dark brown spots 色素沈着|Pigmentation/Chromatosis ほくろ|Lentigo/Lenticula |
鑑別疾患 |
異型母斑 脂漏性角化症 青色母斑 そう痒症 皮膚線維腫 日焼け 有棘細胞癌 アジソン病/急性副腎不全|Addison's Disease/Adrenal Crisis ヘモクロマトーシス|Hemochromatosis 色素性母斑 基底細胞癌 皮内血腫 被角血管腫 |
スクリーニング検査 |
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/WBC] Ferritin|フェリチン [/S] Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S, /S] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/S] Lymphocytes|リンパ球 [/B] Phosphate|無機リン [/S] Transferrin|トランスフェリン [/S] Uric Acid|尿酸 [/S] |
異常値を示す検査 |
5-S-Cysteinyldopa|5-S-システィニルドーパ [/S] Aldolase|アルドラーゼ/アルドラーゼアイソザイム [/S] Creatine Kinase BB-Isoenzyme|CK-BB [/S] Dopamine|ドーパミン [/P] Hexokinase|ヘキソキナーゼ(赤血球) [/S] Homovanillic Acid|ホモバニリン酸 [/U] Immunoglobulin D|免疫グロブリンD [/S] Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S] Melanin|メラニン [/U] Melanoma Inhibitory Factor [/S] N2,N2-Dimethylguanosine [/U] Neopterin|ネオプテリン [/U] Neuron-specific Enolase|神経特異エノラーゼ [/S] Pseudouridine|シュードウリジン [/U] Putrescine|ポリアミン/プトレッシン [/S] Ribonuclease|リボヌクレアーゼ/RNアーゼ [/S] S-100 Protein|S100蛋白質 [/S] Sialic Acid, Lipid-associated [/S] Sialyltransferase [/S] Soluble E-Selectin|可溶性E-セレクチン/可溶性CD62E/可溶性ELAM-1 [/S] Soluble Intercellular Adhesion Molecule-1|可溶性ICAM-1/可溶性CD54/細胞接着分子-1 [/S] Soluble Interleukin-2 Receptor|可溶性 IL-2レセプター/IL-2レセプター/可溶性 IL-2受容体 [/S] Soluble Vascular Cell Adhesion Molecule-1|可溶性VCAM-1/可溶性CD106/可溶性血管細胞接着分子-1 [/S] Tissue Factor Pathway Inhibitor [/P] Tissue Polypeptide Antigen|組織ポリペプチド抗原 [/S] |
関連する検査の読み方 |
【ホモバニリン酸】 尿中HVAは高値になる。HVAはドーパおよびドパミンの最終代謝産物で、カテコールアミン産生腫瘍の神経芽細胞腫、褐色細胞腫やメラニンを産生する悪性黒色腫では多量に産生される。臨床的には、これら腫瘍の診断と治療効果判定に血中・尿中のHVA測定が有用である。 【肝機能検査】 肝へ高頻度に転移するので、有用である。 【組織ポリペプチド抗原】 増加する。TPAはサイトケラチンを認識するモノクローナル抗体で検出される、非特異的腫瘍マーカーである。悪性腫瘍で増加し、腫瘍の進行度と関連するとされている。臓器特異性に乏しく、良性疾患でも陽性を示すため早期診断には不適であるが、転移の確認、治療効果判定などに用いられる。 【メラニン】 広範な転移が起こると、尿中にメラニンが排泄される。メラニン尿は尿を空気に触れた状態で数時間放置すると、暗褐色か黒色に変化する。メラニン尿はアジソン病やヘモクロマトーシスでも認められることがある。 【5-S-Cysteinyldopa】 病期Ⅲで10%、Ⅳで80%の陽性率である。5-S-システィニールドーパは、メラニン関連代謝産物で、悪性黒色腫の際に血中、尿中に出現する。臨床的には悪性黒色腫の早期発見、治療効果判定、再発や転移の推定に有用とされている。 【可溶性IL-2レセプター】 多発性転移群(3部位以上)では高率に陽性になる。 【診断】 色素性病変部分の真皮全層を含めて、病変の辺縁をわずかに越える範囲で生検を行い診断を確定する。ステージ分類のためには、センチネルリンパ節生検も行うことが望ましい。 |
検体検査以外の検査計画 | ダーモスコピー、高周波超音波検査、CT検査、MRI検査、FDG-PET検査 |