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疾患解説

フリガナ コンゴウセイケツゴウソシキビョウ
別名 重複性結合組織病
臓器区分 膠原病・免疫疾患
英疾患名 Mixed Connective Tissue Disease(MCTD)
ICD10 M35.1
疾患の概念 全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、多発性筋炎/皮膚筋炎、関節リウマチのうち少なくとも2つ以上の疾患に見られる症状や所見が混在し、かつ抗U1-RNP抗体が高値を示す疾患で、オーバーラップ症候群と呼ばれている。発症率は、10~20歳代で最大となり、患者の80%は女性である。手のびまん性腫脹、レイノー現象、多発性関節痛、炎症性ミオパチー、食道運動の減弱と肺機能障害が代表的な症状である。手のびまん性の腫脹は一般的であるが、常に存在するわけではない。レイノー現象は、他の症状出現より何年も前に発症することがある。多発性関節痛は、ほぼ全ての患者に見られ、75%の患者では、明らかな関節炎が起こる。75%の患者に肺機能障害が、また、25%の患者で、膜性腎症による腎障害が発症する。神経障害では、三叉神経の感覚神経障害が最も頻度が高い。
診断の手掛 SLE、強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎、関節リウマチのある患者にさらに重複する症状を認めたら本症を疑う。初発症状は、レイノー現象が最多であり、ソーセージ様手指や手背の腫脹と共に本症を特徴づける所見である。
【診断基準:2016年厚労省】
Ⅰ:共通所見1.レイノー現象 2.指ないし手背の腫脹 3.肺高血圧 Ⅱ:免疫学的所見 抗U1-RNP抗体 Ⅲ:混合所見 A.SLE様所見(多発関節炎、リンパ節腫脹、顔面紅斑、心膜炎または胸膜炎、白血球減少(4,000/μL以下)または血小板減少(10万/μL以下))B.強皮症様所見(手指に限局した皮膚硬化、肺線維症・拘束性障害(%VC=80%以下)・拡散能低下(%DLco=70%以下)、食道運動低下・拡張 C.多発筋炎様所見(筋力低下、筋原性酵素上昇、筋電図の筋原性異常所見
*Ⅰの1項目以上が陽性、Ⅱの所見が陽性、ⅢのA.B.Cのうち2項目以上につき、それぞれ1所見異常が陽性、以上の3項目を満たす場合を混合性結合組織病と診断する。
主訴 関節痛|Arthralgia
顔面紅斑|Facial erythema
筋力低下|Weakness
紅斑|Erythema/Rubedo
手指腫脹|Swelling of finger
手指皮膚硬化|Sclerema of finger
手背腫脹|Swelling of dorsum manus
皮膚硬化|Sclerema
リンパ節腫脹|Lymphadenopathy
レイノー現象|Raynaud phenomenon
鑑別疾患 アミロイドーシス|Amyloidosis
Overlap症候群
肝硬変|Cirrhosis of Liver
関節炎
関節リウマチ|Rheumatoid Arthritis
全身性硬化症/強皮症|Systemic Sclerosis/Scleroderma(SSc)
憩室症|Diverticulosis
血管炎症候群|Vasculitic Syndrome
血小板減少症|Thrombocytopenia
光線過敏症
口内炎
口内乾燥症
シェーグレン症候群|Sjogren's Syndrome
腎障害
心膜炎
全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE)
中枢神経障害
特発性間質性肺炎|Idiopathic Interstitial Pneumonia(IIP)
肺高血圧症
肺線維症
橋本甲状腺炎
白血球減少症
無菌性髄膜炎|Aseptic Meningitis
毛細血管拡張症
スクリーニング検査 Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Leukocytes|白血球数 [/B]
Platelets|血小板 [/B]
Rheumatoid Factor|リウマチ因子測定/RAゼラチン凝集反応/リウマチ因子定量 [/S]
γ-Globulin|γ-グロブリン [/S]
異常値を示す検査 Angiotensin-converting Enzyme|アンギオテンシン変換酵素 [/S]
Anti-ds DNA Antibodies|抗ds-DNA抗体 [/S]
Anti-Extractable Nuclear Antigen Antibody|ENA抗体/抗ENA抗体 [/S]
Anti-Ku Antibodies|抗Ku抗体 [/S]
Anti-Smith Antibodies [/S]
Anti-U1RNP Antibodies|抗U1-RNP抗体/抗RNP抗体 [/S]
Antinuclear Antibodies|抗核抗体 [/S]
Brain Natriuretic Peptide|脳性Na利尿ペプチド [/U]
Complement, Total|補体価/CH50 [/S]
Creatine Kinase MB-Isoenzyme|CK-MB [/S]
Creatinine Clearance|クレアチニンクリアランス [/U]
Hyaluronic Acid|ヒアルロン酸 [/S]
Procollagen Type III Peptide|プロコラーゲンIIIペプチド [/S]
Soluble HLA-II [/CSF]
関連する検査の読み方 【関節液一般検査】
炎症性関節液の所見を呈する。
【ENA抗体】
全例陽性である。抗ENA抗体は可溶性自己抗原に対する自己抗体の一つで、混合性結合組織病(MCTD)できわめて高い陽性率を示す。ENA感作血球をRNA分解酵素で処理後、PHA反応を行うと反応する血清と反応しない血清がみられる。前者をRNase抵抗性抗ENA抗体、後者をRnase感受性抗ENA抗体と呼び、MCTD患者では高力価のRnase感受性抗RNase抗体がみられる。
【抗Jo-1抗体】
多発性筋炎/皮膚筋炎の鑑別に用いる。抗Jo-1抗体は多発性筋炎/皮膚筋炎患者の約20~30%に出現し、強皮症重複症候群でも稀に認められるが、他の膠原病では出現しないため、多発性筋炎/皮膚筋炎の疾患標識抗体として有用性が高い。臨床的には筋力低下、筋肉痛が四肢近位筋に認められ、多発性筋炎/皮膚筋炎が疑われる場合や成人発症型筋ジストロフィー症との鑑別の際に測定する。
【抗SS-A/Ro抗体】
Sjogren症候群、SLEで高値を示す。抗SS-A/Ro抗体はシェーグレン症候群と乾燥症状に関連する症状特異的自己抗体で、臨床的には口腔・眼乾燥症状を訴える患者に抗SS-A/Ro抗体と共に測定する。また、この抗体陽性の膠原病患者が妊娠した場合、抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、新生児ループスを発症することがあるので注意する。また、本抗体陽性のSLEでは浸出傾向の強い定型的な紅斑がみられることがある。
【抗ss-DNA抗体】
高値である。抗DNA抗体のうち1本鎖(single stranded)のssDNAに対する抗体で、全身性エリテマトーデスに特異的で、活動期、非活動期にかかわらず約70%程度の陽性率がある。このほか、強皮症、慢性肝炎、伝染性単核球症などで陽性になることがある
【抗U1-RNP抗体】
全例陽性で、抗体価が高い。殆どの患者はこの抗体のみ陽性で診断上重要である。抗U1 RNP抗体は混合性結合組織病の標識抗体で、RNase感受性抗ENA抗体と同一とされ、抗体陽性なら混合性結合組織病と診断できる。臨床的には混合性結合組織病では全例陽性となり、重複症候群では60~80%の高い陽性率を示す。膠原病の重複症状がみられ、本抗体が陰性の場合は抗Ku抗体、抗PM-1抗体、抗Jo-1抗体、抗Ki抗体などの自己抗体検査を行う。
【抗核抗体】
陽性で斑点型である。
【リウマチ因子】
しばしば陽性になる。
【ESR】
亢進する。
検体検査以外の検査計画 胸部X線検査、MRI検査、心電図検査、心超音波検査、呼吸機能検査、筋電図検査

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