疾患解説
| フリガナ | シキュウタイガン |
| 別名 |
悪性腫瘍(子宮体部) 子宮内膜癌 |
| 臓器区分 | 女性性器疾患 |
| 英疾患名 | Cancer of Uterus |
| ICD10 | C54.9 |
| 疾患の概念 | 子宮内膜腺細胞から発生する悪性腫瘍で、大部分は類内膜腺癌である。閉経期以後(50~70歳台)の発症頻度が高い。エストロゲンが発症要因の一つと考えられている。肥満、高血圧、月経不順、閉経年齢が高齢、無排卵、閉経後出血、未出産、糖尿病、多嚢胞性卵巣、エストロゲンへの暴露などがリスク因子である。子宮内膜癌は、通常、子宮内膜増殖症が先行し、腺癌が80%を超える。類内膜腺癌はⅠ型とⅡ型の2つの型に分類される。I型は頻度が高く、エストロゲンに反応し、通常は若年、肥満または閉経期の女性に発症する。この腫瘍は、悪性度が低く、最も頻度の高い組織型は類内膜癌で、PTEN、PIK3CA、KRAS、CTNNBIに変異を有することがある。II型は通常、悪性度が高く、高齢女性に発生する傾向があり、約10~30%にp53変異がみられる。 |
| 診断の手掛 | 90%以上の患者で、閉経後出血や閉経前の反復性子宮出血などの不正子宮出血が見られる。閉経後の出血、閉経前の反復する出血を訴える患者を診たら本症を疑い子宮内膜生検を行う。また、閉経後出血の数週間前または数カ月前に帯下が生じることがあるので、腟分泌物の異常、白帯下などを訴える患者も積極的に検査を進める。乳癌の治療のためにtamoxifenを服用している女性ではリスクが2倍になっているので注意する。 |
| 主訴 |
下腹部痛|Hypogastric pain 月経過多|Menorragia 帯下|Vaginal discharge 腹痛|Abdominal pain 不正出血|Abnormal bleeding |
| 鑑別疾患 |
遺伝性非ポリポーシス大腸癌 外陰炎 子宮筋腫 子宮頸癌|Cancer of Cervix 子宮内膜増殖症 子宮肉腫 絨毛性疾患 膣炎 多嚢胞性卵巣症候群|Polycystic Ovary Syndrome(PCOS) 糖尿病|Diabetes Mellitus 乳癌|Breast Cancer 肥満症|Obesity |
| スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [ CEA|癌胎児性抗原 [ Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [ Creatinine|クレアチニン [ Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [ Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [ Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [ Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [ Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [ Monocytes|単球 [ TIBC|総鉄結合能 [ Transferrin|トランスフェリン [ Uric Acid|尿酸 [ |
| 異常値を示す検査 |
Androstenedione|アンドロステンジオン [ CA 125|CA125 [ CA 19-9|CA19-9 [ CA 27-29 [ CA 549 [ CA 72-4|CA72-4 [ Ceruloplasmin|セルロプラスミン/フェロオキシダーゼ [ Cholesterol, Esterified|エステル型コレステロール/コレステロールエステル [ Epidermal Growth Factor|上皮細胞増殖因子/上皮細胞成長因子 [ Estradiol|エストラジオール/E2 [ Estrogens|総エストロゲン(非妊婦)/エストロゲン(非妊婦) [ Estrogen Receptor|エストロゲンレセプター [Positive/Tissue] Estrone|エストロン/E1 [ Gonadotropin Peptide|ゴナドトロピン ペプタイド [ Haptoglobin|ハプトグロビン [ Macrophage Colony Stimulating Factor|マクロファージコロニー刺激因子 [ Procollagen Type III Peptide|プロコラーゲンIIIペプチド [ Progesterone|プロゲステロン/プロジェステロン [ Sialic Acid, Lipid-associated [ Sialyltransferase [ Squamous Cell Carcinoma Antigen|扁平上皮癌関連抗原/SCC抗原 [ Steroid Sulfatase|ステロイドスルファターゼ [ Testosterone|テストステロン/総テストステロン/アンドロゲン [ Tissue Plasminogen Activator|組織プラスミノゲンアクチベータ [ |
| 関連する検査の読み方 |
【エストロゲンレセプター】 陽性である。ERはERαとERβの2種が知られており、エストロゲン標的細胞の核内に存在しエストロゲンはこの標的細胞と結合すると生理作用を発現する。受容体は乳腺、子宮内膜、中枢神経系、血管平滑筋などに広く分布している。ERαは乳癌、子宮体癌、甲状腺癌、髄膜腫などに局在することが知られている. 【膣分泌液中LD】 子宮体部組織中のLD流出で増加する。 【子宮内膜】 内膜の癌を否定するには、内膜の診断的掻把以外にはない。特に40歳以上の女性には子宮内膜採取が推奨される。 【子宮内膜生検】【子宮内膜細胞診】 子宮内膜腔の吸引検体で患者の95%は陽性であるが、陰性でも癌を完全には否定出来ない。細胞診は70%の陽性率である。 【子宮頸部細胞診】 定期的細胞診検査で異型子宮内膜細胞を認める患者は、内膜生検を行う。 【病理】 2っのサブタイプがある。Ⅰ型:比較的若い女性に多い。エストロゲン依存性で増殖は遅い。Ⅱ型:閉経後に多い。エストロゲンには無関係で、増殖が速い。 |
| 検体検査以外の検査計画 | 子宮鏡検査、経膣超音波検査、腹部・骨盤部CT検査、MRI検査 |