疾患解説
フリガナ | トウゴウシッチョウショウ |
別名 | |
臓器区分 | 精神疾患 |
英疾患名 | Schizophrenia |
ICD10 | F20.9 |
疾患の概念 | 幻覚、妄想、まとまりのない会話、ひどくまとまりのないまたは緊張性の行動、感情の平板化、仕事や社会的機能の低下などに特徴づけられる原因不明の疾患で、青年期または成人早期に発症する。統合失調症の有病率は約1%で、男女差はない。発症時の平均年齢は女性は、20代前半から半ば、男性ではいくらか若年で、男性患者の約40%は20歳未満で最初の異常を経験する。原因は不明であるが、脳室の拡大、皮質の菲薄化、海馬前部および他の脳領域の縮小とドパミンおよびグルタミン酸の活性変化が見られる。 |
診断の手掛 | 決定的な検査法はない。妄想、幻覚、会話の解体、行動の解体、陰性症状などを示す患者を診たら本症を疑う。家族、友人、教師、同僚などからの情報は極めて有用である。患者は、医療機関を受診する平均12~24カ月前に、精神病症状を発症する傾向があり、症状は機能を果たす能力を損ない、しばしば仕事、社会的関係、セルフケアが著しく妨げられ、失業、孤立、対人関係の悪化、生活の質の低下が、共通する転帰である。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition(DSM-5)によれば、診断には以下の両方に該当する必要がある。1.2つ以上の特徴的症状(妄想、幻覚、まとまりのない発語、まとまりのない行動、陰性症状)が1カ月のうちかなりの割合で存在すること(最初の3つの症状のうち、少なくとも1つが含まれていなければならない) 2.社会的、職業的もしくはセルフケアの障害を伴った前駆期または残遺期の徴候が、6カ月間にわたって明らかに存在し、そのうち1カ月間は活動期の症状が含まれている。 |
主訴 |
易疲労感|Fatigue 過敏|Irritation/Hypersensitivity 寡黙|Reticent 記憶障害|Memory impairment 幻覚|Hallucination 思考力低下|Decline in thinking power/Diminished ability to think 食欲不振|Anorexia 頭痛|Headache/Cephalalgia 全身倦怠感|General malaise/Fatigue 認知障害|Cognitive impaorment/Dementia 不安|Anxiety 不眠|Insomnia 無関心|Indifference 妄想|Delusion 抑うつ状態|Depressive state |
鑑別疾患 |
基質性精神病 症状性精神病 てんかん精神病 薬物依存症 気分障害 統合失調感情障害 神経症性障害 全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE) せん妄 |
スクリーニング検査 |
Calcium|カルシウム [/Hair, /Nails] Fibrinogen|フィブリノゲン/凝固第I因子 [/P] Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [/S] Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S] Iron|鉄/血清鉄 [/Hair, /Nails] Magnesium|マグネシウム [/CSF, /Hair, /Nails] |
異常値を示す検査 |
3,4-Dihydroxyphenylacetic Acid, Conjugated [/CSF] Angiotensin-converting Enzyme|アンギオテンシン変換酵素 [/CSF] Clala Cell Protein [/S] Complement C3|補体第3成分/β1C・β1Aグロブリン/C3 [/S] Complement C4|補体第4成分/β1Eグロブリン/C4 [/S] Copper|銅 [/Hair] Cortisol|コルチゾール [/P] Cyclo(His-Pro) [/CSF] Dopamine|ドーパミン [/P] Glutamic Acid|グルタミン酸 [/P, /CSF] Glycine|グリシン [/P] Growth Hormone|成長ホルモン [/P] Haptoglobin|ハプトグロビン [/S] Hemopexin|ヘモペキシン [/S] Homovanillic Acid|ホモバニリン酸 [/P, /CSF, /P] Homovanillic Acid, Conjugated|ホモバニリン酸 [/P] Homovanillic Acid, Free|ホモバニリン酸 [/P] Inosine Monophosphate|イノシン酸 [/RBC] Interleukin-1 Receptor Antagonist [/S] Interleukin-1β|インターロイキン-1β [/S] Interleukin-2|インターロイキン-2 [/Lymphocytes, /S] Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S] Melatonin|メラトニン [/P] Norepinephrine|カテコールアミン総 [/CSF] Phenylethylamine [/U] Phosphatidylinositol Biphosphate [/Platelets] Phospholipase A2 [/Platelets] Prolactin|プロラクチン/乳汁分泌ホルモン [/P, /P] Properdin Factor B [/P] Serine|セリン [/P] Serotonin|セロトニン/5-ヒドロキシトリプタミン [/Platelets] Soluble Interleukin-2 Receptor|可溶性 IL-2レセプター/IL-2レセプター/可溶性 IL-2受容体 [/Lymphocytes, /S] Soluble Interleukin-2 Receptor-α [/S] Soluble Interleukin-6 Receptor [/S] Soluble Transferrin Receptor [/S] tele-Methylhistamine [/CSF] Transforming Growth Factor-β1, Free [/CSF] Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/S] Tyrosine|チロシン [/P] Volume [/U] Zinc|亜鉛 [/Hair] α1,3-Fucosyltransferase [/S] α1-Acid Glycoprotein|α1-酸性糖蛋白/オロソムコイド/α1アシドグリコプロテイン [/S] α1-Antichymotrypsin|α1-アンチキモトリプシン [/S] α1-Antitrypsin|α1-アンチトリプシン [/S] β-Endorphin|β-エンドルフィン [/P] β-Lipotropin [/P] |
関連する検査の読み方 |
【ペントシジン】 一部の統合失調症で高度に増加する。ペントシジンはグルコースのカルボニル基と蛋白が非酵素的糖化反応により生成される物質で、腎疾患患者血清や末期腎不全患者の皮膚コラーゲン中に増加する。臨床的には非糖尿病性の早期腎症の発見では、尿中アルブミンや血清クレアチニンよりも感度が高いため、当該疾患の早期診断に用いる。ペントシジンは糖化より参加の影響を強く受けるが血糖値の影響を強く受ける。 【ホモバニリン酸】 一部の統合失調症で6.7mg/日以上の高値になる。HVAはドーパおよびドパミンの最終代謝産物でカテコールアミン産生腫瘍である神経芽細胞腫、褐色細胞腫やメラニンを産生する悪性黒色腫では多量に産生される。臨床的にはこれら腫瘍の診断と治療効果判定に血中・尿中のHVA測定が有用である。また、髄液中のHAVはドパミンニューロンの活性を推定する場合に測定する。 |
検体検査以外の検査計画 | 脳波検査、脳形態画像検査、脳機能検査 |