疾患解説
フリガナ | ノウセイマヒ |
別名 | 脳性麻痺症候群 |
臓器区分 | 神経・筋疾患 |
英疾患名 | Cerebral Palsy |
ICD10 | G80.9 |
疾患の概念 | 出生前の発達異常、または周産期もしくは出生後の中枢神経系損傷が原因の運動や姿勢の異常で、症状は2歳までに出現する。脳性麻痺は、非進行性の痙縮、運動失調、または不随意運動を引き起こす症候群の一つのグループである。病因には複数の因子が関与しており、単一の原因を確定することは困難であるが、未熟性、子宮内障害、新生児脳症、核黄疸などが一因である。脳性麻痺の病型は、未熟児分娩後に生じる痙性両麻痺、周産期仮死後に生じる痙性四肢不全麻痺、周産期仮死または核黄疸の後に生じるアテトーゼ型とジストニア型などが挙げられる。 |
診断の手掛 | 2歳までの乳幼児に姿勢の異常、筋緊張の異常、反射の異常、運動の異常などが認められたら本症を疑う。中枢神経系の損傷部位により、痙性、アテトーゼ型、失調型、混合型に分けられる。痙性症候群は、症例の70%以上に発症し、上位運動ニューロンの障害により軽度または重度の運動機能障害を引き起こす。アテトーゼまたはジスキネジア症候群は、症例の約20%に発症し、基底核障害の結果として四肢近位部および体幹のアテトーゼ運動が特徴である。失調症候群は、症例の5%未満であり、小脳またはその伝導路の障害によって発症し、筋力低下、協調運動障害、企図振戦により、不安定感と開脚歩行により迅速または微細運動が困難になる。混合型症候群は、痙縮とアテトーゼの混合が最も多い。知的障害、斜視、難聴は、本症候群の一部ではなく、本症候群の原因によって発症したものである。 |
主訴 |
アテトーゼ|Athetosis 異常運動|Abnormal movement/Hyperkinesia 異常姿勢|Abnormal posture 運動障害|Dyskinesia 言語障害|Language disorder/Allophasis 構音障害|Dysarthria ジストニア|Dystonia 聴力障害|Hypoacusis 認知障害|Cognitive impaorment/Dementia 舞踏病様運動|Choreic movement 歩行障害|Gait disturbance |
鑑別疾患 |
先天性代謝異常症 神経変性疾患 脳形成異常 脊髄腫瘍 筋ジストロフィー|Muscular Dystrophy Lesch-Nyhan症候群 ムコ多糖症|Mucopolysaccharidosis 異染性白質ジストロフィー Tay-Sachs病 ウィルソン病/肝レンズ核変性症|Wilson's disease/Hepatolenticular Degeneration |
スクリーニング検査 |
Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S] Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [/S] Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [/S] Thyroid Stimulating Hormone|甲状腺刺激ホルモン [/S] |
異常値を示す検査 |
Calcitonin Gene-related Peptide [/S] Complement C1|補体第1成分/C1 [/S] Complement C2|補体第2成分/C2 [/S] Complement C3|補体第3成分/β1C・β1Aグロブリン/C3 [/S] Complement C3b Inhibitor [/S] Complement C4|補体第4成分/β1Eグロブリン/C4 [/S] Complement C8|補体第8成分/C8 [/S] Complement C9|補体第9成分/C9 [/S] Granulocyte Colony Stimulating Factor|顆粒球コロニー刺激因子 [/S] Granulocyte-Macrophage Colony Stimulating Factor|顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 [/S] Interleukin-1|インターロイキン-1/インターロイキン-1α/インターロイキン1β [/S] Interleukin-11|インターロイキン-11 [/S] Interleukin-12|インターロイキン-12 [/S] Interleukin-13|インターロイキン-13 [/S] Interleukin-2|インターロイキン-2 [/S] Interleukin-3|インターロイキン-3 [/S] Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S] Interleukin-7|インターロイキン-7 [/S] Interleukin-8|インターロイキン-8 [/S] Interleukin-9 [/S] Macrophage Colony Stimulating Factor|マクロファージコロニー刺激因子 [/S] Macrophage Inflammatory Protein-1α [/S] Macrophage Inflammatory Protein-1β [/S] Macrophage Inflammatory Protein-2 [/S] Monocyte Chemotactic Protein-1 [/S] Monocyte Chemotactic Protein-2 [/S] Properdin|プロパジン [/P] Protein C|プロテインC/プロテインC抗原量 [/P] Protein S|プロテインS/プロテインS抗原量 [/P] RANTES [/S] Serotonin|セロトニン/5-ヒドロキシトリプタミン [/P] Substance P|サブスタンスP/ニューロキニンA [/P] Transforming Growth Factor-β|形質転換成長因子-β/トランスフォーミング増殖因子-β [/S] Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/S] Vasoactive Intestinal Polypeptide|バゾアクティブ腸管ペプチド/血管作動性腸管ポリペプチド [/S] |
関連する検査の読み方 |
【セロトニン】 230ng/mL以上の高値になることがある。5-HTは約90%が消化管に、残りが脳と血小板に分布し血管や気管支の平滑筋収縮、消化管運動・分泌調節、知覚・睡眠などへの関与、血小板凝集促進などの作用がある。血中5-HTの大部分は5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)として尿中に排泄されるので両者の同時測定が望ましい。 【鑑別のための検査】 運動系を傷害する進行性の蓄積疾患(テイ-サックス病、異染性白質ジストロフィ、ムコ多糖症)を除外する検査が必要である。また、アミノ酸や他の代謝異常の検査も必要である。 |
検体検査以外の検査計画 | 頭部CT検査、頭部MRI検査、脳波検査、聴覚誘発電位検査 |