疾患解説
フリガナ | キュウセイタンノウエン |
別名 | |
臓器区分 | 消化器疾患 |
英疾患名 | Acute Cholecystitis |
ICD10 | K81.0 |
疾患の概念 | 90~95%は胆石が胆管を閉塞して発症する胆石胆嚢炎で、閉塞後数時間で発症する。起炎菌はグラム陰性桿菌、腸球菌、嫌気性菌などが多い。炎症は1.胆嚢内圧が上昇することで粘膜と壁の虚血による機械的炎症 2.ホスホリパーゼが胆汁中のレシチンに作用して生じるレゾレシチンやその他の局所組織因子による化学的炎症 3.胆嚢炎患者の50~85%に見られる細菌性炎症に分けられる。急性胆嚢炎は胆石症の最も頻度が高い合併症である。また、急性胆嚢炎患者の95%以上に胆石症がみられ胆管に結石が嵌頓して閉塞が生じた結果として、急性炎症を来す。急性無石胆嚢炎は、胆石を伴わない胆嚢炎で、急性胆嚢炎で胆嚢摘出術を施行した患者の5~10%に発症する。 |
診断の手掛 | 本症は胆石仙痛発作を契機に発症し、徐々に悪化する右上腹部痛および圧痛、発熱、悪寒戦慄、悪心、嘔吐を訴える。殆どの患者が過去に胆石疝痛または急性胆嚢炎の既往がある。右上腹部の触診時に深い吸気により疼痛が強くなり、吸気が途絶するMurphy徴候を認める。右上腹部痛、発熱、白血球増加が3徴である。高齢者は、初発または唯一の症状が食欲不振、嘔吐、全身倦怠感、脱力、発熱などの全身性で、非特異的症状の場合もあり、時に発熱が見られないこともある。急性胆嚢炎は、85%の患者では無治療で2~3日中に沈静化し、1週間以内に消失するが、10%の患者では限局性の穿孔やその他の合併症が発症する。 |
主訴 |
黄疸|Jaundice 嘔吐|Vomiting 悪寒戦慄|Chill with shivening 悪心|Nausea 上腹部痛|Upper abdominal pain 発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever 腹痛|Abdominal pain 腹部圧痛|Abdominal tenderness 右肩放散痛|Radiating pain of right shoulder Murphy徴候 |
鑑別疾患 |
肝膿瘍|Liver Abscess 急性胆管炎|Acute Cholangitis 急性虫垂炎|Acute Appendicitis 消化管穿孔 消化性潰瘍|Peptic Ulcer 腎盂腎炎 膵炎 胆石症|Cholecystolithiasis 肺炎|Pneumonia 敗血症|Sepsis 肺塞栓症|Pulmonary Embolism(PE) |
スクリーニング検査 |
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S] Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S] Amylase|アミラーゼ [/S, /S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S, /U] CEA|癌胎児性抗原 [/S] Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S] Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B] Leucine Aminopeptidase|ロイシンアミノペプチダーゼ [/S] LDL-Cholesterol|LDL-コレステロール/低比重リポ蛋白コレステロール [/S] Leukocytes|白血球数 [/B] Neutrophils|好中球 [/B] γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/S, /Saliva] |
異常値を示す検査 |
5'-Nucleotidase|5'-ヌクレオチダーゼ [/S] Alkaline Phosphatase Isoenzymes|アルカリホスファターゼアイソザイム/ALPアイソザイム [/S] BSP Retention|BSP test/ブロムサルファレイン試験 [/S] CA 125|CA125 [/S] CA 19-9|CA19-9 [/S] Lipase|リパーゼ/膵リパーゼ [/S] Ornithine Carbamoyl Transferase|オルニチンカルバミルトランスフェラーゼ [/S] Urobilinogen|ウロビリノゲン定性(尿) [/U] |
関連する検査の読み方 |
【CBC】 白血球は平均12,000/μL程度の増加。15,000/μLなら穿孔か蓄膿の可能性がある。 【ALP】【AST】 ビリルビンが基準範囲内でもALPは増加する。ALPは上行性胆管炎を伴うとより高値となる。患者の75%はASTが増加する。 【γ-GT】 増加することがある。 【ビリルビン】 20%の患者はビリルビンが増加し、4mg/dLを超えれば結石の存在を考える。 【アミラーゼ】 中等度に増加することがある。 【リパーゼ】 合併症がなければ上昇しない。 |
検体検査以外の検査計画 | 腹部超音波検査、CT検査、MRI検査、超音波内視鏡検査、内視鏡的逆行性胆膵管造影検査、経皮経肝的胆管造影検査、胆道シンチグラフィー |