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疾患解説

フリガナ ショウカセイカイヨウ
別名
臓器区分 消化器疾患
英疾患名 Peptic Ulcer
ICD10 K27
疾患の概念 胃酸やペプシンの消化作用で、胃や十二指腸の最初の数cmの部分に潰瘍を生じたびらんの総称で、ほぼ全ての潰瘍が、Helicobacter pylori感染とNSAIDs使用が原因である。この両者は正常な粘膜防御と修復を妨げるため、粘膜が酸の影響を受け易くなる。H. pylori感染は、十二指腸潰瘍患者の50~70%、胃潰瘍患者の30~50%で認められる。消化性潰瘍の再発率は、胃酸分泌抑制薬単独治療の患者では70%であるが、H. pylori除菌患者では10%である。また、NSAIDsは、消化性潰瘍の原因として50%を超える。最大のリスクファクターは喫煙で、潰瘍治癒を妨げ、再発率を上昇させる。リスクは1日当たりの喫煙本数と相関する。アルコールは胃酸分泌の強力な促進因子であるが、中等量のアルコールと潰瘍発生または潰瘍治癒の遅延を関連づけるデータはない。
診断の手掛 食後あるいは空腹時に上腹部痛(心窩部痛)を訴えたり、背部痛、腹部膨満感、悪心、嘔吐、胸焼けなどの消化器症状を訴える患者を診たら本症を考える。腹部触診で上腹部に圧痛を訴え、疼痛は食事により軽減する特徴がある。また、NSAIDs服用者にも注意する。ゾリンジャー-エリソン症候群も有力な原因疾患であるので、忘れてなならない。胃潰瘍の症状は、多くの場合一貫したパターンをとらないが、幽門部潰瘍では食事により疼痛を増悪させることがある。また、腹部膨満、悪心、嘔吐、浮腫、瘢痕に起因する閉塞の症状がしばしば見られる。十二指腸潰瘍は、一定した疼痛が起こる傾向があり、この疼痛は患者が目覚めたときにはないが、午前中に出現し、食事により軽減するが、食後2~3時間で再発する。また、夜間の疼痛がよくみられ、これによる中途覚醒を訴えるが、これは十二指腸潰瘍の特徴である。
主訴 嘔吐|Vomiting
悪心|Nausea
空腹時腹痛|Hunger pain
下血|Melena
食欲不振|Anorexia
心窩部痛|Epigastralgia/Epigastric pain/Upper abdominal pein
上腹部痛|Upper abdominal pain
上腹部不快感|Upper abdominal discomfort
体重減少|Weight loss
吐血|Hematemesis
背痛|Back pain/Backache
背部痛|Backache
腹痛|Abdominal pain
腹部膨満感|Sense of Abdominal fullness
胸焼け|Heartbum/Pyrosis
やせ|Weight loss
鑑別疾患 十二指腸炎
胃炎|Gastritis
胃潰瘍/十二指腸潰瘍|Gastric/Duodenal Ulcer
胃食道逆流症|Gastroesophageal Reflux
ガストリノーマ
肝硬変|Cirrhosis of Liver
急性膵炎|Acute Pancreatitis
食道裂孔ヘルニア
ストレス
ゾリンジャー-エリソン症候群|Zollinger-Ellison Syndrome
胆嚢炎
熱傷
多発性内分泌腫瘍症
高Ca血症|Hypercalcemia
スクリーニング検査 Amylase|アミラーゼ [/PeF, /S]
Calcium|カルシウム [/S]
CEA|癌胎児性抗原 [/S]
Chloride|クロール [/S]
Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B]
Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Iron|鉄/血清鉄 [/S]
Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/Gastric Material]
Leukocytes|白血球数 [/B]
MCH|平均赤血球ヘモグロビン量 [/B]
MCHC|平均赤血球ヘモグロビン濃度 [/B]
MCV|平均赤血球容積 [/B]
Potassium|カリウム [/S]
Sodium|ナトリウム [/S]
TIBC|総鉄結合能 [/S]
Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S]
α1-Globulin|α1-グロブリン [/S]
α2-Globulin|α2-グロブリン [/S]
異常値を示す検査 Angiotensin-converting Enzyme|アンギオテンシン変換酵素 [/S]
Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/Duodenal Contents, /S]
Bleeding Time|出血時間 [/Patient]
Cytokeratin 19 Fragment|サイトケラチン19フラグメント/シフラ/シフラ21-1/CYFRA [/S]
Endothelin-1|エンドセリン [/P]
Gastrin|ガストリン [/S]
Glucose Tolerance|ブドウ糖負荷試験/グルコース負荷試験 [/S]
Iron Saturation|鉄飽和度 [/S]
Lipase|リパーゼ/膵リパーゼ [/S]
Lysolecithin|リゾレシチン [/Gastric Material]
Occult Blood|潜血反応(便)/グアヤック法/o-トリジン法/ラテックス凝集法 [/F]
Pepsinogen|ペプシノゲン [/S]
Pepsinogen I|ペプシノゲンI/血清ペプシノゲンI [/S]
Pepsinogen II|ペプシノゲンII/血清ペプシノゲンII [/S]
pH|尿pH [/Gastric Material, /B, /Gastric Material]
Urea Nitrogen:Creatinine Ratio|尿素窒素:クレアチニン比 [/S]
Rapid Urease Test|迅速ウレアーゼ試験/ヘリコチェック/ピロリテック [Positive/Tissue]
Urea Breath Test|尿素呼気試験/ユービット [Positive/Breath]
von Willebrand Factor|フォンウィルブランド因子活性/リストセチン・コファクター活性 [/P]
関連する検査の読み方 【アミラーゼ】
潰瘍が穿孔すると高値を示す。
【ガストリン】
ガストリン産生腫瘍による難治性の消化性潰瘍の鑑別に用いる。ガストリンは胃幽門部や十二指腸粘膜のガストリン分泌細胞(G細胞)から分泌される消化管ホルモンで、胃壁細胞に作用して胃酸の分泌を促進する働きがある。ガストリンの増減は、胃酸の分泌による胃液のpHで調節されているため、胃酸分泌低下をきたす病態をよく反映する。臨床的には胃酸低下をきたす疾患とガストリン産生腫瘍の診断に用いられる。また、ガストリンはヘリコバクターピロリの感染があると増加し、除菌により正常化する。
【ペプシノゲンI】【ペプシノゲンII】
高値になる。ペプシノゲンIは100ng/dL以上、IIは40ng/dL以上である。PG Iは胃底腺で産生され胃癌に対する陽性反応的中率(陽性者で胃癌が発見された率)は1.5%とされPG I≦70ng/dLかつPG I/PG II≦3の患者は胃癌のハイリスクとして定期的な上部消化管内視鏡検査を行うのが原則である。PG IIは胃粘膜で産生され胃癌に対する陽性反応的中率(陽性者で胃癌が発見された率)は1.5%とされPG I≦70ng/dLかつPG I/PG II≦3の患者は胃癌のハイリスクとして定期的な上部消化管内視鏡検査を行うのが原則である。
【血清ペプシノゲンI:II比】
PGはペプシンの前駆物質で99%は胃内に、1%が血中に放出される。ペプシノゲンIは胃底腺で、IIは胃粘膜で産生される。胃癌に対する陽性反応的中率(陽性者で胃癌が発見された率)は1.5%とされPG I≦70ng/dlかつPG I:PG II比≦3の患者は胃癌のハイリスクとして定期的な上部消化管内視鏡検査を行うのが原則である。
【ヘリコバクター・ピロリ】
ほぼ全例で陽性である。抗体検査は感度85%、特異度79%である。抗体は除菌成功後も18ヶ月は陽性なので、除菌成功の目安にはならない。便中抗原検査は感度91%、特異度93%である。
【迅速ウレアーゼ試験】
ピロリ菌は強いウレアーゼ活性をもつため尿素を水、アンモニア、二酸化炭素に分解する。生検組織を試薬である尿素液に入れると、ピロリ菌がいればアンモニアが発生し試薬中のフェノールレッドが黄色から赤に変色する。これにより組織中のピロリ菌の存在が確認できる。臨床的には内視鏡検査で病変が認められたら、生検を行いピロリ菌感染を確認するために行う。
【尿素呼気試験】
最も正確な非侵襲性の検査で、除菌が成功したか否かの判定に用いる。感度・特異度ともに95%である。UBTはヘリコバクター・ピロリ菌の持つ強力なウレアーゼ活性を利用して胃粘膜内のピロリ菌を間接的に検出する方法で、非観血的方法であること、点の検査でなく胃粘膜全体の面の検査であることからピロリ菌診断の最も信頼出来る方法である。臨床的には胃潰瘍、十二指腸潰瘍が既に明らかな場合、非観血的なピロリ菌の証明や除菌治療の治療効果判定に有用である。除菌療法の成否判定は除菌後8週以降が望ましい。
【胃液一般検査】
過酸になる。
【胃細胞診】
単純性潰瘍と潰瘍形成型胃癌の鑑別に必要である。
検体検査以外の検査計画 内視鏡検査、上部消化管X線検査

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