疾患解説
フリガナ | トウゲンビョウⅠガタ |
別名 |
Ⅰ型糖原病 グルコース-6-ホスファターゼ欠損症 トランスロカーゼ欠損症 von Gierke病 |
臓器区分 | 代謝性疾患 |
英疾患名 | Glycogen Storage Disease I |
ICD10 | E74.0 |
疾患の概念 | グリコーゲンが生体組織に異常沈着する疾患で、I型は10万~30万の出生に一人の頻度で発症する。常染色体劣性に遺伝し、わが国では最も頻度が高い。G6Pase欠損症はIa型、G6Pトランスロカーゼ欠損症はIb型(フォン・ギールケ型)、Piトランスロカーゼ欠損症はIc型と呼ばれている。 |
診断の手掛 | 乳児期から続く肝腫大、乳酸アシドーシス、年長になると改善する低血糖、ほほの膨らんだ人形様顔貌の患者を診たら本症を考える。四肢は比較的細く、重度の肝腫大のため尖腹を呈する。I型からIX型まであるが、わが国ではI型が最も頻度が高い。 |
主訴 |
肝腫大|Hepatomegaly 低身長|Short stature 人形様顔貌|Doll-like face 発育障害|Developmental disability/Disorder of growth and development 鼻出血|Nosebleed/Nasal hemorrhage/Epistaxis |
鑑別疾患 |
高脂血症 高尿酸血症 心不全|Heart Failure 痛風|Gout 糖原病Ⅴ型 糖原病Ⅶ型 肢帯型筋ジストロフィー Becker型筋ジストロフィー 肩甲腓骨型筋症候群 重症筋無力症|Myasthenia Gravis 脊髄性筋萎縮症 多発性筋炎/皮膚筋炎|Polymyositis/Dermatomyositis Donon病 ミトコンドリアミオパチー |
スクリーニング検査 |
Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S] Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S] Chloride|クロール [/S] Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S] C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S] Fibrinogen|フィブリノゲン/凝固第I因子 [/P] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S, /U] Phosphate|無機リン [/S] Potassium|カリウム [/S] Transferrin|トランスフェリン [/S] Triglycerides|トリグリセリド/中性脂肪/トリグリセライド/トリアシルグリセロール [/S] Uric Acid|尿酸 [/S, /S, /U] γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/S] |
異常値を示す検査 |
Ammonium Ions|アンモニウムイオン [/U] Anion Gap|アニオンギャップ [/U] Bicarbonate|血漿HCO3-濃度/重炭酸イオン [/S] Bleeding Time|出血時間 [/Patient] Chylomicrons [/S] Free Fatty Acids|遊離脂肪酸/非エステル型脂肪酸/FFA [/S] Glucose Tolerance|ブドウ糖負荷試験/グルコース負荷試験 [/S] Glucose-6-Phosphatase [/Liver] Glycerol|グリセロール/グリセリン/遊離グリセロール [/S] Haptoglobin|ハプトグロビン [/S] Insulin|インスリン [/P] Insulin Tolerance [/P] Ketones|ケトン体定性 [/S, /U] Lactate|乳酸/ラクテート [/B] Lipids|総脂質 [/S] Osmolal Gap|浸透圧ギャップ [/U] pH|尿pH [/B, /U, /B] Phospholipids|リン脂質 [/S] Pyruvate [/B] Retinol-binding Protein|レチノール結合蛋白 [/S] α2-Macroglobulin|α2-マクログロブリン [/S] |
関連する検査の読み方 |
【中性脂肪】 高値になり、血漿がミルク様に見えることがある。 【脂質】 Ⅳ型高脂血症に類似している。VLDL、LDL、アポリポ蛋白B,C,Eが高値になる。 【アデノシン三リン酸】 血小板ATP含量の減少で低値を示す。ATPは生体のエネルギー保存と利用に関与し、全ての細胞が高エネルギー源として利用している。また、神経伝達物質、末梢組織血流調節、痛覚伝達、男性機能への関与なども明らかにされている。 【アデノシン二リン酸】 血小板ADP含量、放出量の減少で低値を示す。血小板は濃染顆粒とα-顆粒の二種類の特殊顆粒を持ち血小板活性化により内容物を放出する。濃染顆粒はATP、ADP、セロトニンを、α-顆粒はフィブリノゲン、第VIII因子、血小板由来成長因子などを貯蔵している。臨床的にADPは濃染細胞の欠乏や欠如、また放出機能の異常や含有量の減少が疑われる場合に測定する。 【グルコース】 空腹時に低血糖である。 【グルコース負荷試験】 糖尿病型を示す。 【グルカゴン負荷試験】 c-ペプチドは増加しない。 【肝生検】 Ia型はグルコース-6-ホスファターゼ、Ib型はG6Pトランスロカーゼ、Ic型はPiトランスロカーゼが欠損している。 |
検体検査以外の検査計画 |