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疾患解説

フリガナ カンセンゴシキュウタイジンエン
別名 感染後4球体疾患
レンサ球菌感染後糸球体腎炎
臓器区分 腎・泌尿器疾患
英疾患名 Postinfectious Glomerulonephritis(PIGN)
ICD10 N05.9
疾患の概念 感染症が先行して発症する糸球体腎炎で、80~90%は、A群β溶血連鎖球菌(12型、49型)感染後に発症する溶連菌感染後糸球体腎炎であり、5~15歳の小児の最も一般的な糸球体疾患である。その他の感染症によるものは、非溶連菌感染後糸球体腎炎と呼ばれる。レンサ球菌咽頭炎患者の約5~10%、また膿痂疹患者の約25%がPIGNを発症する。感染から発症までの潜伏期は、6~21日間であるが、潜伏期は最長6週間まで延びる場合がある。
診断の手掛 5~15歳の小児で咽頭炎、扁桃腺炎、膿痂疹などの先行感染後、1~3週の潜伏期を経て、血尿、蛋白尿、乏尿、高血圧、眼瞼周囲の浮腫などが見られたら本症を疑う。主要な症状としては、無症候性血尿(約50%)、顕微鏡的血尿、肉眼的血尿、蛋白尿、乏尿、浮腫、高血圧、腎機能不全を伴う末期腎炎などが挙げられる。レンサ球菌以外を起因菌とするPIGNの臨床像は、結節性多発動脈炎、腎塞栓、抗菌薬による急性間質性腎炎に類似することがあるので注意する。
主訴 喀血|Hemoptysis
血尿|Hematuria
高血圧|Hypertension
蛋白尿|Proteinuria
浮腫|Edema/Dropsy
乏尿|Oliguria
無尿|Anuria
鑑別疾患 IgA腎症|IgA Nephropathy
悪性黒色腫|Malignant Melanoma
腎癌
大腸癌|Cancer of Colon
肺癌|Lung Cancer
アミロイドーシス|Amyloidosis
鎌状赤血球症|Sickle Cell Disease
肝炎
強皮症
グッドパスチャー症候群|Goodpasture's Syndrome
細菌性心内膜炎
ヘノッホ-シェーンライン性腎炎
住血吸虫症|Schistosomiasis
心内膜炎
水痘/帯状疱疹ウイルス感染症|Herpes Zoster Infection
全身性エリテマトーデス|Systemic Lupus Erythematosus(SLE)
トキソプラズマ症|Toxoplasmosis
肺炎|Pneumonia
梅毒|Syphilis
ハンセン病|Leprosy
膜性増殖性糸球体腎炎|Membranoproliferative Glomerulonephritis
麻疹|Measles
マラリア|Malaria
ループス腎炎|Lupus Nephritis
スクリーニング検査 Albumin|アルブミン [/S]
Anti-Streptolysin O|抗ストレプトリジンO価/抗ストレプトリジン抗体 [/S]
Calcium|カルシウム [/S]
Chloride|クロール [/S]
Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S]
Creatinine|クレアチニン [/S]
Eosinophils|好酸球 [/B]
Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Leukocytes|白血球数 [/B]
Magnesium|マグネシウム [/S]
Neutrophils|好中球 [/B]
Phosphate|無機リン [/S]
Potassium|カリウム [/S]
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/S]
Sodium|ナトリウム [/S]
Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S]
異常値を示す検査 Anti-Deoxyribonuclease-B Antibody|抗デオキシリボヌクレアーゼB抗体/抗DNase-B抗体 [/S]
Anti-Hyaluronidase Antibody|抗ヒアルロニダーゼ抗体 [/S]
Complement C3|補体第3成分/β1C・β1Aグロブリン/C3 [/S]
Complement CH50|補体価/CH50 [/S]
CD45 Leukocytes|CD45 [/Tissue]
Nonocyte Chemotactic Protein-1 [/S,/S]
Protein|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/U]
Solble Intercellular Adhesion Molecule-1 [/U]
関連する検査の読み方 【ASO】
直近のレンサ球菌感染症を示す検査。咽頭炎患者の約75%、膿痂疹患者の約50%で数ヶ月間高値であるが特異的検査ではない。ASOは溶血性連鎖球菌A・C・G群が産生する溶血毒ストレプトリジンOに対する中和抗体で、溶連菌感染のスクリーニング検査として頻用されている。臨床的には溶連菌感染のスクリーニング検査や診断の目的で用いる。ASOは通常、溶連菌感染後2週目ごろより上昇し、4~5週でピークとなる。このため、測定に際しては感染時期を考慮し、ペア血清で行うことが重要で、単一血清での判定は避けるべきである。陽性率は溶連菌感染症44~76%、リウマチ熱70~90%、急性糸球体腎炎50~71%とされている。
【抗ヒアルロニダーゼ抗体】
抗ヒアルロニダーゼは溶血性連鎖球菌の産生する酵素(ヒアルロニダーゼ)に対する抗体で、主としてA群溶血性連鎖球菌の感染診断に用いる。ASOよりもより特異度の高い検査とされている。
【抗デオキシリボヌクレアーゼB抗体】
DNase-BはStreptolysin Oと同じ溶血性連鎖球菌が産生する菌体外毒素の一つで、A群溶連菌の殆どの菌株が産生し、C群、G群では一部しか産生しないことから、A群溶血性連鎖球菌に特異性が高い。異常値を認めたらASO、ASK、急性相反応蛋白を測定する。臨床的にはスクリーニング検査としてASOが陽性を示した場合にA群溶血性連鎖球菌の感染をより確実にするために行う。
【C3】【CH50】
90%の患者で発症2週間以内に低下が見られ、6~8週以内に正常化する。C4は正常である。
【UN】【クレアチニン】
患者の50%以上に著明な高窒素血症がみられ、UN80mg/dL以上、クレアチニン10mg/dL以上になる。Ccrは低値である。
【蛋白:クレアチニン比】
スポット尿で2未満のことがある、正常は0.2未満である。
【β2-マイクログロブリン】
GFRが低下するので血中濃度は増加する。
【クリオグロブリン】
大半の症例では一過性に高γグロブリン血症と混合性クリオグロブリン血症が見られる。
【電解質】
中等度以上に進行するとK、無機リンの増加やCa低下を認める。
【尿一般検査】
しばしば肉眼的血尿がみられ、コーラ色と表現される。顕微鏡的血尿が2~12ヶ月続く場合もある。蛋白は通常は2g/日以下だが、時には6~8g/日のこともある。
【尿沈渣】
白血球と白血球円柱の存在は腎病変が炎症性の証拠である。赤血球円柱がみられたら、血尿の起源が糸球体である証拠である。脂肪円柱・脂肪滴が発病数週後にみられる。その他、異型赤血球、尿細管細胞、顆粒状円柱がみられる。
【尿量】
乏尿で400mL/日以下である。
【尿中NAG活性】
尿細管障害合併の指標となり、急性期に増加する。
【生検】
確定診断に有効である。光顕と電顕で内皮下のハンプ(hump)を確認する。また、蛍光抗体法の染色(IgG,C3)に一致して沈着物が見られる。
検体検査以外の検査計画 腹部X線検査、腎超音波検査
疾患

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