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疾患解説

フリガナ ジンサイボウガン
別名 悪性腫瘍(腎細胞)
悪性腫瘍(腎)
臓器区分 腎・泌尿器疾患
英疾患名 Renal Cell Carcinoma(RCC)
ICD10 C64
疾患の概念 腎から生じる悪性新生物の90~95%を占める、腎尿細管細胞が悪性化した腫瘍で1.淡明型(60%)、2.乳頭型(5~15%)、3.嫌色素型(5~10%)、4.集合管癌(1%未満)の4種に分けられる。リスク因子は、喫煙、肥満、フェナセチンの過剰使用、透析患者の後天性嚢胞性腎疾患、放射線造影剤、アスベスト、カドミウム、皮革なめしおよび石油製品への曝露などである。RCCは、腎静脈で血栓形成を誘発することがあり、ときに大静脈に進展する。腫瘍の静脈壁浸潤は、稀である。RCCは、殆どの場合リンパ節、肺、副腎、肝、脳、骨に転移する。50歳代が好発年齢で、男女比は2:1である。
診断の手掛 多彩な症状から「内科医の腫瘍」と言われているが、症状は後期になるまで現れないため、CTにより偶然見つかることが多いが、その時点で腫瘍はすでに拡大し転移している可能性がある。肉眼的または顕微鏡的血尿、側腹部痛、触知可能な腫瘤、原因不明熱を訴える患者を診たら本症を疑うが、肉眼的または顕微鏡的血尿が最も頻度の高い症候である。また、高血圧、エリスロポエチン増加による赤血球増加症、高Ca血症、非転移性肝機能障害(Stauffer症候群)の症状などの腫瘍随伴症状で偶然見つかることも多い。血尿、腹痛、側腹部腫瘤の古典的な3徴は10~20%の患者に見られるに過ぎないことに注意する。
主訴 血尿|Hematuria
原因不明熱|Fever of unknown origin/FUO
高血圧|Hypertension
腎腫瘤|Renal tumor
全身倦怠感|General malaise/Fatigue
側腹部腫瘤|Lateroabdominal swelling
側腹部痛|Lateroabdominal pain
体重減少|Weight loss
発熱|Pyrexia/Fervescence/Fever
貧血症状|Anemic symptom
腹痛|Abdominal pain
やせ|Weight loss
鑑別疾患 オンコサイトーマ
高Ca血症|Hypercalcemia
腎血管筋脂肪腫
腎嚢胞
貧血
Wilms腫瘍
腎盂癌/尿管癌
スクリーニング検査 Albumin|アルブミン [/U]
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S, /U]
Calcium|カルシウム [/U, /S, /U]
CEA|癌胎児性抗原 [/AsF, /S]
Creatinine|クレアチニン [/S]
C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S]
Erythrocytes|赤血球数 [/AsF, /B, /U]
Erythrocyte Sedimentation Rate|赤血球沈降速度 [/B]
Ferritin|フェリチン [/S]
Fibrinogen|フィブリノゲン/凝固第I因子 [/P]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B, /B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B, /B]
Iron|鉄/血清鉄 [/S]
Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [/AsF, /S, /U]
Leukocytes|白血球数 [/B]
MCH|平均赤血球ヘモグロビン量 [/B]
MCHC|平均赤血球ヘモグロビン濃度 [/B]
MCV|平均赤血球容積 [/B]
Prothrombin Time|プロトロンビン時間 [/P]
TIBC|総鉄結合能 [/S, /S]
Transferrin|トランスフェリン [/S]
Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S]
α2-Globulin|α2-グロブリン [/S]
γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/U, /S]
異常値を示す検査 Adenosine Deaminase|アデノシンデアミナーゼ [/Lymphocytes]
Aldolase|アルドラーゼ/アルドラーゼアイソザイム [/S]
Alkaline Phosphatase Isoenzymes|アルカリホスファターゼアイソザイム/ALPアイソザイム [/S]
Basic Fibroblast Growth Factor|塩基性線維芽細胞成長因子 [/S]
CA 125|CA125 [/S]
CA 15-3|CA15-3 [/S]
CA 19-9|CA19-9 [/S]
CA 50|CA50 [/S]
Ceruloplasmin|セルロプラスミン/フェロオキシダーゼ [/S]
Creatine Kinase BB-Isoenzyme|CK-BB [/S]
Eosinophil Cationic Protein|好酸球塩基性蛋白/好酸球顆粒蛋白/好酸球陽イオン蛋白/好酸球陽性荷電蛋白 [/S]
Eosinophil Peroxidase|好酸球ペルオキシダーゼ [/S]
Eosinophil Protein X [/S]
Erythropoietin|エリスロポエチン [/S]
Fibrin and Fibrinogen Degradation Products|フィブリン・フィブリノゲン分解産物/線維素分解産物 [/AsF]
Gonadotropin, Pituitary|黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン/性腺刺激ホルモン [/P]
Haptoglobin|ハプトグロビン [/S]
Hexokinase|ヘキソキナーゼ(赤血球) [/S]
Hyaluronic Acid|ヒアルロン酸 [/S]
Immunosuppressive Acidic Protein|免疫抑制酸性蛋白 [/S]
Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S]
Iron Saturation|鉄飽和度 [/S]
Lactate|乳酸/ラクテート [/B]
Macrophage Colony Stimulating Factor|マクロファージコロニー刺激因子 [/S]
Malate Dehydrogenase|リンゴ酸脱水素酵素 [/U]
Neopterin|ネオプテリン [/U]
Neuron-specific Enolase|神経特異エノラーゼ [/S]
Parathyroid Hormone|副甲状腺ホルモン [/P, /P]
Parathyroid Hormone-related Peptide|副甲状腺ホルモン関連蛋白 [/P]
pH|尿pH [/B]
Prolactin|プロラクチン/乳汁分泌ホルモン [/P]
Putrescine|ポリアミン/プトレッシン [/S]
Pyruvate [/B]
Plasma Renin Activity|活性型レニン/血漿レニン活性/総レニン [/P]
Sialyltransferase [/S]
Soluble CD44 Splice Variant 5 [/S]
Soluble CD44 Splice Variant 6 [/S]
Soluble CD44 Standard [/S]
Soluble Interleukin-2 Receptor|可溶性 IL-2レセプター/IL-2レセプター/可溶性 IL-2受容体 [/S]
Tissue Plasminogen Activator|組織プラスミノゲンアクチベータ [/P]
Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/S]
Tumor-associated Trypsin Inhibitor [/S]
Urokinase Plasminogen Activator|ウロキナーゼプラスミノゲンプロアクチベータ [/P, /Tissue]
Vascular Endothelial Growth Factor|血管内皮増殖因子 [/S]
Volume [/RBC, /U]
α1-Acid Glycoprotein|α1-酸性糖蛋白/オロソムコイド/α1アシドグリコプロテイン [/S]
α1-Antitrypsin|α1-アンチトリプシン [/S]
β-Chorionic Gonadotropin|ヒト絨毛性ゴナドトロピンβサブユニット [/P]
β-Glucuronidase|β-グルクロニダーゼ [/U]
関連する検査の読み方 【CBC】
多くの場合治療に抵抗し貧血になるが、多血になる場合もある。白血球では類白血病反応を認める。
【インターロイキン-6】
IL-6が55pg/mL以上である。IL-6はTリンパ球、Bリンパ球、マクロファージ、線維芽細胞、血管内皮細胞、腎メザンギウム細胞などで産生される糖蛋白で多彩な生理作用を持つ。その生理作用はBリンパ球の抗体産生促進、Tリンパ球の分化や活性化促進、肝細胞によるCRP産生誘導、巨核球や血小板の産生促進、体温上昇、神経細胞の分化などである。
【肝機能検査】
転移が無くとも患者の40%はALP増加、PT延長、アルブミンの低下などの異常を認める。
【Ca】
約10%の患者に高Ca血症を認める。
【尿LD】
増加する。
【フェリチン】
腫瘍内への出血で増加する。
【免疫グロブリン】
α2-グロブリンが増加する。
【免疫抑制酸性蛋白】
500μg/mL以上に増加する。IAPは肝細胞とマクロファージで産生されるα1-酸性糖蛋白の一種で免疫低下作用を持ち、悪性腫瘍による免疫能低下の原因物質のひとつである。臨床的には悪性腫瘍や慢性炎症性疾患で増加するため、治療効果判定や再発モニタリングに用いる。臓器特異性はないが、食道癌、神経芽細胞腫、膵癌、胆嚢癌、肺癌、白血病、卵巣癌で高値となり、80%以上の頻度で異常値を示す。
【尿細胞診】
尿中に剥離した腫瘍細胞を認める。
検体検査以外の検査計画 腹部超音波断層法、造影腹部CT検査、MRI検査、CT血管造影検査、3次元CT検査

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