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疾患解説

フリガナ ノウホウセイセンイショウ
別名
臓器区分 小児疾患
英疾患名 Cystic Fibrosis(CF)
ICD10 E84.9
疾患の概念 主として消化器系と呼吸器系の外分泌線が侵される常染色体劣性遺伝の多臓器疾患で、7番染色体上のCFTRの突然変異により生じる。慢性閉塞性肺疾患、膵外分泌機能障害、腸閉塞、肝硬変、不妊症、汗のNa濃度異常など、多くの臓器に病変を引き起こす。責任遺伝子は、7番染色体長腕にあり嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)と呼ばれる膜関連蛋白をコードし、最も頻度の高い遺伝子変異である F508delは、CFアレルの約70%に発生する。この疾患の重症度は多様で、ほぼ全ての外分泌腺が障害され、膵臓、腸腺、肝内胆管、胆嚢、顎下腺の管腔は、粘稠または固形の好酸性物質によって、閉塞することがある。気管気管支腺とBrunner腺は、組織学的に異常な構造を呈し、過剰の分泌物を産生することがある。汗腺、耳下腺、小唾液腺は、組織学的に正常な構造であるが、過剰のNaおよびClを分泌することがある。
診断の手掛 胎便性イレウス、肺の慢性感染症、膵機能不全、異常な発汗、小児に発症する糖尿病を診たら本症を疑う。膵機能不全、再発性膵炎、慢性肝疾患、栄養障害、男性泌尿生殖器異常の合併に注意する。新生児スクリーニングで見つからなかった患者の50%は、乳児期に始まる肺症状を示し、反復性または慢性の感染症が咳嗽、喀痰、喘鳴を訴える場合が多い。消化管では、粘稠な胎便で回腸が閉塞される胎便性イレウスが初期症状で、CF罹患新生児の15~20%にみられる。典型的な症状は、腹部膨隆、嘔吐および胎便排泄がないことである。膵機能不全は、生後早期から始まり、悪臭を伴う脂ぎった大量の便の頻繁な排出や腹部膨隆などが見られる。また、大量発汗により、低Naと低Cl血症を伴う脱水と循環不全が生じることがある。皮膚に塩の結晶が見られたり、肌が塩辛い場合はCFが強く疑われる。
主訴 咳|Cough
喘鳴|Wheeze/Stridor
痰|Sputum
排便障害|Excretory disorder
発汗異常|Dyshidrosis/Paridrosis
頻回便|Increase of stool frequency
腹痛|Abdominal pain
慢性咳|Chronic cough
鑑別疾患 気管支拡張症|Bronchiectasis
1型糖尿病
門脈圧亢進症
原発性胆汁性肝硬変|Primary Biliary Cirrhosis(PBC)
腸重積症
消化性潰瘍|Peptic Ulcer
虫垂周囲膿瘍
膵炎
胃食道逆流症|Gastroesophageal Reflux
食道炎|Esophagitis
胆嚢疾患
関節炎
骨粗鬆症|Osteoporosis
スクリーニング検査 Albumin|アルブミン [/S, /Duodenal Contents]
Alkaline Phosphatase|アルカリホスファターゼ/アルカリ性ホスファターゼ [/S]
Alanine Aminotransferase|アラニンアミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ [/S]
Amylase|アミラーゼ [/Saliva]
Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [/S]
Bilirubin-Direct|直接ビリルビン/抱合型ビリルビン [/S]
Bilirubin-Total|総ビリルビン/ビリルビン [/S]
Calcium|カルシウム [/S, /Saliva]
Chloride|クロール [/Saliva, /Sweat]
Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [/S]
C-reactive Protein|C反応性蛋白 [/S]
Erythrocytes|赤血球数 [/B]
Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [/S, /U]
Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [/B]
Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [/B]
Immunoglobulin A|免疫グロブリンA [/S]
Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [/S]
Iron|鉄/血清鉄 [/S]
Leukocytes|白血球数 [/B]
Neutrophils|好中球 [/B]
Phosphate|無機リン [/Saliva]
Potassium|カリウム [/Sweat]
Protein-Total|総蛋白/血清総蛋白/血清蛋白定量 [/Duodenal Contents, /F, /Saliva, /Sputum]
Prothrombin Time|プロトロンビン時間 [/P]
Sodium|ナトリウム [/S, /Saliva, /Sweat]
Urea Nitrogen|尿素窒素 [/S, /Saliva]
Uric Acid|尿酸 [/Saliva]
γ-Globulin|γ-グロブリン [/S]
γ-Glutamyltranspeptidase|γ-グルタミルトランスペプチダーゼ/γ-グルタミルトランスフェラーゼ [/S]
異常値を示す検査 2,3-Diphosphoglycerate|2,3-ジホスホグリセレート/2,3-ジホスホグリセリン/2,3-ビスホスホグリセリン酸 [/RBC]
25-Hydroxy Vitamin D|25-ヒドロキシビタミンD/25OHビタミンD [/S]
25-Hydroxy Vitamin D3|25-ヒドロキシビタミンD3 [/S]
3,4-Dihydroxyphenylalanine, Free [/P]
Alkaline Phosphatase Isoenzymes|アルカリホスファターゼアイソザイム/ALPアイソザイム [/S]
Benzoylcholinesterase [/S]
Bile Acids|総胆汁酸 [/S]
Bleeding Time|出血時間 [/Patient]
Butyrylcholinesterase [/S]
CA 19-9|CA19-9 [/S]
CA 195 [/S]
Carbon Dioxide Partial Pressure|動脈血CO2分圧/炭酸ガス分圧/CO2分圧/PCO2/PaCO2 [/B]
Carotenoids|カロチン/プロビタミンA/カロチノイド [/S]
Chenodeoxycholic Acid|ケノデオキシコール酸 [/S]
Cholic Acid [/S]
Chymotrypsin|キモトリプシン(便) [/F]
Complement C3|補体第3成分/β1C・β1Aグロブリン/C3 [/S]
Disialo-Transferrin [/S]
DOPA|ドーパ/ジヒドロキシフェニルアラニン [/P]
Elastase|エラスターゼ [/Sputum]
Fat|脂肪(糞便) [/F]
Free Fatty Acids|遊離脂肪酸/非エステル型脂肪酸/FFA [/S]
Glucagon|グルカゴン/膵グルカゴン [/P]
Glucose Tolerance|ブドウ糖負荷試験/グルコース負荷試験 [/S]
Growth Hormone|成長ホルモン [/P, /P]
Insulin|インスリン [/P]
Insulin-like Growth Factor Binding Protein-3|インスリン様成長因子結合蛋白-3型/IGF結合蛋白-3 [/S]
Insulin-like Growth Factor-I|インスリン様成長因子-1/ソマトメジンC [/S]
Interleukin-6|インターロイキン-6 [/S, /Sputum]
Interleukin-8|インターロイキン-8 [/F]
Lipase, Pancreatic|リパーゼ/膵リパーゼ [/S, /S]
Lipids|総脂質 [/F]
Malondialdehyde [/S]
Mucin [/S]
Mucin-associated Antigen|ムチン様癌関連抗原 [/S]
Neutrophil Elastase-α1-Antiproteinase Complex [/S]
Nitrate plus Nitrite [/Sputum]
Nitric Oxide|一酸化窒素 [/Breath]
Oxygen Partial Pressure|動脈血O2分圧/酸素分圧/O2分圧/PO2 [/B]
Oxygen Saturation|酸素飽和度/O2飽和度 [/B]
Pentasialo-Transferrin [/S]
pH|尿pH [/B]
Retinol|ビタミンA/レチノール [/S]
Retinol-binding Protein|レチノール結合蛋白 [/S]
Selenium|セレン/セレニウム [/S]
Sulfate [/Sweat]
Trisialo-Transferrin [/S]
Trypsin|トリプシン [/S, /S]
Tumor Necrosis Factor-α|腫瘍壊死因子-α [/F, /S, /Sputum]
Vitamin A|ビタミンA/レチノール [/S]
Vitamin E|ビタミンE/トコフェロール/α-トコフェロール [/S]
Vitamin K|ビタミンK/ビタミンK分画 [/S]
Xylose Tolerance Test [Abnormal/B]
Zinc|亜鉛 [/S]
α-Glucosidase|α-グルコシダーゼ [/S]
α1-Antichymotrypsin|α1-アンチキモトリプシン [/S]
β-Carotene|β-カロチン [/S]
関連する検査の読み方 【Cl】
汗のCl濃度が異常に高く、2回の検査で60mEq/Lを超えれば診断が確定できる。ただし、1~2%の患者は基準範囲内である。CF診断のゴールドスタンダードである。
【汗試験】
定量的ピロカルピンイオン導入試験が信頼性が高い。Cl濃度が70mEq/Lを超えれば診断が確定する。汗試験で2回以上、汗Cl上昇していれば診断は確定される。
【遺伝子検査】
7番染色体上に1,200以上のCFTR遺伝子変異が検出されている。
【鼻電位差検査】
Naチャネル阻害時・CFTR刺激電位を測定する、検査は間隔を置いて2回行う。
【動脈血ガス分析】
しばしば低酸素血症を示し、進行した場合は、慢性の代償された呼吸性アシドーシスとなる。
【脂肪】【エラスターゼ】
72時間糞便中脂肪排泄量又は糞便中膵エラスターゼ濃度測定を行う。
検体検査以外の検査計画 胸部X線検査、胸部高解像度CT検査、呼吸機能検査、鼻腔上皮電位差試験

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