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予期せぬ検査値の原因と対処方法

検査項目 略語 検体 現象 原因
具体的な原因 確認対処法
1,5-アンヒドロ-D-グルシトール1,5-AG血清 薬剤:漢方薬、栄養剤
漢方薬「人参養栄湯」「加味帰脾湯」や一部の栄養剤は糖成分のポリガリトール(1,5-AG)を含むので偽高値を示す。Glu・HbA1cとデータ乖離がある。服薬歴を確認する。
5-ヒドロキシインドール酢酸(尿)U-5-HIAA,U-HIAA尿患者の飲食:バナナ、パイナップル、トマト、アボガド
バナナ、パイナップル、トマト、アボガドの通常摂取でも10倍も増加する。最近の食事内容を確認する。
5-ヒドロキシインドール酢酸(尿)U-5-HIAA,U-HIAA尿 蓄尿時:pH
排尿後は時間とともにアンモニア生成が進む。酸性下で蓄尿しないとpHが上昇するため酸化により急速に破壊される。6N塩酸を20~30ml添加してpHを3程度に保ち冷暗所で蓄尿する。直ちに分析できない場合は冷凍保存する。
AST(GOT)AST,GOT,SGOT血清患者の行動:運動後
激しい運動後は筋肉から漏出して高値を示す。CK・LD・Kも上昇する。問診で確認する。
AST(GOT)AST,GOT,SGOT血清採血時:溶血
赤血球には血清の80倍量含まれる。採血が難しい患者、採血管の強振混和、注射器で採血後管底に向け勢い良く注入、などで溶血すると偽高値を示す。LD・Kも上昇する。採血時は注意する。
AST(GOT)AST,GOT,SGOT血清採血後:全血で放置
赤血球には血清の80倍量含まれる。放置により赤血球から漏出し偽高値を示す。冷蔵保存でも同様である。LD・Kも上昇する。採血後は速やかに検査する。全血の冷蔵保存は避ける。
AST(GOT)AST,GOT,SGOT血清アイソザイムアノマリー:AST結合性免疫グロブリン
AST結合性免疫グロブリンが存在すると、複合体形成により異化が遅延するため高値を示す。AST単独高値例の約10%にAST結合性免疫グロブリンが認められる。ASTのみが単独高値で関連酵素は正常、AST/ALT比が不相応に高値である。AST-アイソザイム分析で確定する。症状はなく治療も不要である。
AST(GOT)AST,GOT,SGOT血清先天性:LD先天性Mサブユニット欠損症ホモ接合体
LDの先天性Mサブユニット欠損症のホモ接合体では運動後に高値を示す。CKが異常上昇するがLDは上昇しない。運動後にミオグロビン尿症が出現することがある。アイソザイム分析ではLD₁のみを認める。
CA125NULL血清生理現象:性ホルモンの変化
性ホルモンにより変動する。月経時は上昇する。月経時を避けて採血する。性周期を確認する。
CA125NULL血清採血後:室温放置
室温だけでなく4℃でも糖鎖構造が変化し徐々にエピトープの増加が起こる。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
CA19-9NULL血清血液型:Lewis式血液型
CA19-9のエピトープはLewis(a)血液型抗原にシアル酸が結合したものである。Le(a−b−)血液型の人はLe(a)合成酵素を持たないので癌化しても高値を示さない。日本人のLe(a−b−)血液型の頻度は約10%である。他の腫瘍マーカーを検査する。
CH50CH50血清採血後:室温放置
補体は熱に弱く室温放置では徐々に失活する。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
CH50CH50血清採血後:分離後の血清を冷蔵
血清を低温で保存するとクリオグロブリン様物質により補体活性を招くcold activationが起こるために偽低値を示す。C₃・C₄蛋白量は正常である。C型肝炎患者で頻度が高い。EDTA採血で再検する。
CKCK,CPK血清患者の行動:運動後
激しい運動後は筋肉から漏出して高値を示す。AST・LD・Kも上昇する。問診で確認する。
CKCK,CPK血清採血時:駆血帯、採血所要時間
過度のクレンチング、駆血帯緊縛や長時間の締めつけにより筋肉から静脈中に漏出する。AST・LD・Kも高値を示す。
CKCK,CPK血清採血時:筋肉注射後
筋肉注射後は筋肉から漏出して高値を示す。筋肉注射の有無を確認する。
CKCK,CPK血清アイソザイムアノマリー:マクロCK
免疫グロブリンやミトコンドリアと結合したマクロCKが存在すると、複合体の形成により異化が遅延し高値を示す。関連酵素に異常はなく、免疫阻害法でCK-MB/総CK>0.2である。CK-アイソザイム分析で異常ピークを確認する。一部の悪性腫瘍に認められる。
CKCK,CPK血清先天性:LD先天性Mサブユニット欠損症ホモ接合体
LDの先天性Mサブユニット欠損症のホモ接合体では運動後に異常高値を示す。ASTは上昇するがLDは上昇しない。運動後にミオグロビン尿症が出現することがある。アイソザイム分析ではLD₁のみを認める。
CK-MBアイソザイムCK-MB血清アイソザイムアノマリー:マクロCK
免疫グロブリンやミトコンドリアと結合したマクロCKは、CK-Bサブユニットが多いためMサブユニットを阻害する免疫阻害法を用いると偽高値を示す。他の酵素に異常はなく、免疫阻害法ではCK-MB/総CK>0.2である。電気泳動によるCアイソザイム分析で異常ピークを確認する。一部の悪性腫瘍に認められる。
C-ペプチドCPR尿蓄尿時:細菌繁殖
蓄尿時に細菌が繁殖して酸性に傾くと分解されて偽低値を招く。24時間で90%以上低下することもある。低温下で蓄尿するか、防腐剤を入れる。最近では炭酸ナトリウム添加によるアルカリ下蓄尿がよいとされている。
C-ペプチドCPR血清採血後:全血で放置
放置すると血液中の蛋白分解酵素により分解されて偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
C反応性蛋白CRP血清採血時:病状極初期
病状極初期は陰性である。炎症刺激後6時間ごろから上昇するが、12時間程度を過ぎないと検出できない。時間をおいて採血する。他の炎症マーカーを検査する。
D-アラビヌトールNULL血清 薬剤:キシリトール点滴
キシリトールの点滴時は偽陽性を示す。キシリトール点滴の有無を確認する。
FDPFDP血清採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ヘパリンロックラインからの採血でヘパリンが混入するとフィブリンへの変換が不完全で偽高値を示す。ラインからの採血を避ける。
FDPFDP血清先天性:異常Fbg血症
Fbg分子異常である異常Fbg血症では、凝固が不完全でFbgが残存し異常高値を示す。Fbg値を確認する。免疫化学的測定によるFbg抗原量は低下?増加を示す。家系調査を行う。
HDL-コレステロールHDL-C血清先天性:脂質関連
CETP欠損症、肝性TGリパーゼ欠損症などの遺伝性疾患では高値を示す。HDL-C・HTGL・CETPの値から総合的に判断し、家系調査を行う。
HDL-コレステロールHDL-C血清先天性:脂質関連
α-アポリポ蛋白欠損症(Tangier病)、アポA-I欠損・異常症、魚眼症、家族性低HDL血症、家族性LCAT欠損症、家族性LPL欠損症などの遺伝性疾患では低値を示す。TG・TC・E/T比・HDL-C・LPL・LCAT・アポA-Iの値から総合的に判断し、家系調査を行う。
IgAIgA血清先天性:Louis-Bar症候群
IgGとIgAが欠損するLouis-Bar症候群では異常低値を示す。しばしばIgMが高値を示す。免疫電気泳動で確認する。
IgAIgA血清先天性:選択的IgA欠損症
免疫グロブリンのうち、IgAのみが単独に欠損している選択的IgA欠損症では異常低値を示す。反復性感染罹患傾向、下痢などの症状がある。γ分画は低下しないので免疫電気泳動で確認する。輸血やグロブリン製剤投与により抗IgA抗体が産生される。
IgGIgG血清先天性:Louis-Bar症候群
IgGとIgAが欠損するLouis-Bar症候群では異常低値を示す。しばしばIgMが高値を示す。免疫電気泳動で確認する。
LD,LDHLD,LDH血清患者の行動:運動後
激しい運動後は筋肉から漏出して高値を示す。AST・CK・Kも上昇する。問診で確認する。
LD,LDHLD,LDH血清採血時:溶血
赤血球には血清の200倍量含まれる。採血が難しい患者、採血管の強振混和、注射器で採血後管底に向け勢い良く注入、などで溶血すると偽高値を示す。AST・Kも上昇する。採血時は注意する。
LD,LDHLD,LDH血清採血後:全血で放置
赤血球には血清の200倍量含まれる。放置により赤血球から漏出し偽高値を示す。冷蔵保存でも同様である。AST・Kも上昇する。採血後は速やかに検査する。全血の冷蔵保存は避ける。
LD,LDHLD,LDH血清アイソザイムアノマリー:LD結合性免疫グロブリン
LD結合性免疫グロブリンが存在すると、複合体形成により異化が遅延するため高値を示す。肝疾患、悪性腫瘍、自己免疫疾患で頻度が高い。一般患者でも0.2~0.3%に認められる。アイソザイム分析で異常ピークを確認する。自己免疫疾患ではIgG結合型が多い。
LD,LDHLD,LDH血清先天性:LD先天性Mサブユニット欠損症ホモ接合体
先天性Mサブユニット欠損症のホモ接合体では運動後にCKの異常高値、ASTの高値を認めるがLDは相応に上昇しない。ミオグロビン尿症が出現することがある。アイソザイム分析ではLD₁のみを認める。
LD,LDHLD,LDH血清先天性:先天性Hサブユニット欠損症ホモ接合体
先天性Hサブユニット欠損症のホモ接合体では著しい低値を示す。症状はなく、アイソザイム分析ではLD₅のみを認める。
LDL-コレステロールLDL-C血清先天性:脂質関連
家族性高コレステロール血症(IIa型)、家族性複合型高脂血症(IIb型)、broad-β病、LPL欠損症などの遺伝性疾患では高値を示す。TG・TC・LDL-C・VLDLの値から総合的に判断し、家系調査を行う。
LDL-コレステロールLDL-C血清先天性:脂質関連
家族性低コレステロール血症、先天性無β-リポ蛋白血症などの遺伝性疾患では低値を示す。TG・TC・E/T比・LDL-C・β-LP・LCATの値から総合的に判断し、家系調査を行う。
LE細胞血液 検査時:検査のタイミング
LE細胞は体外で人為的に細胞を傷害することで出現する。採血直後と長時間放置検体や20℃以下では出現率が低い。採血後から人為的な細胞傷害までは37℃に放置する。細胞傷害後1~2時間放置で出現率が最も高い。
N-アセチルβ-D-グルコサミニダーゼNAG尿薬剤:アミノ配糖体系抗生物質
アミノ配糖体系抗生物質投与時は2~3日で上昇し、3~10日で極値を示す。アミノ配糖体系抗生物質投与使用を確認する。投与中止で速やかに低下する。
PIVKA-IINULL血清薬剤:ワーファリン、抗生物質、抗結核剤
ワーファリン、セフェム系抗生物質、抗結核剤の服用があると、ビタミンKの欠乏を招き異常高値を示す。服薬歴を確認する。
PIVKA-IINULL血清採血後:室温放置
放置により凝固系の活性が起こると偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
PSPPSP尿採尿時:排尿が一部のみ
排尿全部を採取しないと偽低値を招く。尿コップ容量が200mL程度だと入りきらないことがある。PSP検査の意義と説明を十分に行い、患者の理解を得る。特に15分値が重要である。尿コップは400mL用を渡す。
α₁-アンチトリプシンα₁-AT血清薬剤:ステロイド、避妊薬
エストロゲン治療、経口避妊薬服用で偽高値を示す。服薬歴を確認する。
α₁-酸性糖蛋白α₁-AG,α₁-AGP血清薬剤:ステロイド、避妊薬
エストロゲン治療、経口避妊薬服用で偽高値を示す。服薬歴を確認する。
β₂-マイクログロブリンβ₂-m,β₂-MG,BGM尿採尿時:pH5.5以下の酸性尿
pH5.5以下の酸性尿では不安定で、尿中の酵素により数時間単位で分解する。膀胱内でも起こっている。α₁-m・NAGの値を確認する。尿に緩衝液のトリスや重曹を投与してアルカリ性を保つ。採尿後は速やかに検査するか凍結保存する。
アデノシンデアミナーゼAD,ADA血清採血時:溶血
赤血球にも多量に含まれるため、採血が難しい患者、採血管の強振混和、注射器で採血後管底に向け勢い良く注入、などで溶血すると偽高値を示す。AST・LD・Kも上昇する。採血時に注意する。
アニオンギャップAG動脈血他項目の影響:Alb・IgG量
陰イオンであるALBが1g/dL減少すると2.5mEq/L低下、陽イオンであるIgGが1g/dL増加すると0.9mEq/L低下する。ALB・IgGの値をチェックし、低ALB血症や多発性骨髄腫の有無を確認する。
アニオンギャップAG動脈血薬剤:ブロムワレリル尿素
鎮痛解熱剤のブロムワレリル尿素投与中にイオン選択電極法で測定するとハロゲン化合物を測り込んでClが上昇するため偽低値を示す。服薬歴を確認する。NaとCl値の差が30以下を示す。電量滴定法でClを測定する。最近のイオン選択電極法は改善されている。
アミノ酸分析血漿変動採血後:全血で放置
全血中では不安定で増減する。血漿を−20℃保存してもグルタミン酸、アスパラギン酸は増加、グリシン、アスパラギンは低下の傾向がある。採血後速やかに除蛋白し測定する。後日測定する場合は除蛋白せず血漿を−80℃で保存すると安定である。
アミラーゼAMY血清アイソザイムアノマリー:マクロAMY
免疫グロブリンや多糖体と結合したマクロAMYが存在すると、高分子体形成により尿に排泄されず持続的高値を示す。尿のAMYが低値で、他の膵酵素は正常であることを確認する。AMYアイソザイム分析で異常バンドを検出する。共通の臨床症状はない。
アミラーゼAMY血清患者の行動:受診時期
AMYの半減期は2~4時間なので、発症から受診までの時間が長いと早期に正常化することがある。発症時期と、関連する検査項目を確認する。AMY値と膵炎の重症度は比例しない。
アルカリホスファターゼALP血清疾患:一過性高ALP血症
小児は成人の3~4倍を示すが、3歳未満に好発する一過性高ALP血症では基準値上限の30倍以上のこともある。一過性であり1~2ヶ月後には正常に戻る。他の検査データは正常である。アイソザイム分析では二峰性を示す。
アルカリホスファターゼALP血清先天性:遺伝性高ALP血症
遺伝性高ALP血症では小腸型のALP₅が著明に増加する。該当する疾患がなく、血液型がBかO型の分泌型で脂肪食後でないことを確認する。アイソザイム分析と家系調査を行う。
アルカリホスファターゼALP血清アイソザイムアノマリー:ALP結合性免疫グロブリン
ALP結合性免疫グロブリン(ALP₆)が存在すると、複合体形成により異化が遅延するため高値を示す。潰瘍性大腸炎に多く、基準上限の2~3倍程度の上昇である。電気泳動によるALP-アイソザイム分析でALP₆を確認する。
アルカリホスファターゼALP血清先天性:遺伝性低ALP血症
遺伝性低ALP血症では著しい低下が認められる。重症例ではビタミンD抵抗性くる病で新生児期までに死亡することもある。極めて稀であるが、軽症で無症状が多い。アイソザイム分析ではALP₂、ALP₃の欠損が認められ、家系調査で確認する。
アルドラーゼALD血清採血時:溶血
赤血球には血清の約150倍量含まれる。採血が難しい患者、採血管の強振混和、注射器で採血後管底に向け勢い良く注入、などで溶血すると偽高値を示す。AST・LD・Kも上昇する。採血時に注意する。
アルドラーゼALD血清採血後:全血で放置
赤血球には血清の約150倍量含まれる。放置により赤血球から漏出し偽高値を示す。冷蔵保存で著しい。AST・LD・Kも上昇する。血清保存でも4℃24時間で14%、冷凍2週間で10%低下する。SH剤を添加すると室温でも安定である。
アルドラーゼALD血清採血後:分離後の血清を冷蔵
血清保存でも4℃24時間で14%、冷凍2週間で10%低下する。採血後速やかに血清分離し測定する。SH剤を添加すると室温でも安定である。
アルブミンALB,Alb血清採血時:体位
採血時の体位による変動する。臥位に比べ立位では重力の作用で血漿が血管内から血管外へ漏出するため約15%高値を示す。採血時の体位を考慮してデータを見る。経過観察では体位、採血部位、時刻を一定にする。
アルブミンALB,Alb血清採血時:駆血帯、採血所要時間
駆血帯緊縛や長時間の締めつけは、血中の水分を組織中に移動させる。3分以上の圧迫で約10%増加する。採血時の状態を確認する。駆血帯緊縛時間に注意する。
アルブミンALB,Alb血清採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ラインまたは輸液中の末梢部位から採血すると希釈されて偽低値を示す。電解質の不均衡・Glu・Hbの値を確認する。反対側の腕から採血しても影響があり得る。
アンモニアNH₃血漿採血後:全血で放置
赤血球には血漿の約3倍量含まれる。放置により赤血球から漏出と血漿蛋白由来のアンモニアで急激に増加する。採血後は速やかに検査する。氷冷でも20分以内に遠心分離し測定する。
インスリンIRI血清採血時:溶血
採血が難しい患者、採血管の強振混和、注射器で採血後管底に向け勢い良く注入、などで溶血すると赤血球中の分解酵素により偽低値を示す。AST・LD・Kも上昇する。採血時は注意する。RIA法では逆に高値を示す場合がある。
インスリンIRI血清採血後:全血で放置
放置すると血液中の蛋白分解酵素により分解されて偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
インスリンIRI血清自己抗体:インスリン自己抗体
インスリン自己抗体が存在すると測定系に干渉し、本来の濃度を示さない。抗インスリン抗体を検索する。
インスリンIRI血清変動自己抗体:インスリン自己免疫症候群
インスリン自己免疫症候群では、インスリン注射の既往がなくても抗インスリン抗体が産生される。それがインスリンに結合後、解離されることで極度の高インスリン血症に陥る。Gluが低値でありインスリン注射歴がない。抗インスリン抗体の存在を確認する。日本人患者の96%が、HLA-DR4(DRB1*0406)を持つのでHLAタイピングを行う。
エステラーゼ染色NULL血液・骨髄採血後:室温放置
放置により酵素活性が失活し偽低値を招く。採血後は早めに標本を作成し、3日以内には染色検査する。
エステル型コレステロールEC,Echo血清採血後:室温放置
放置するとコレステロールエステラーゼによりエステル化が進み高値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査する。
エラスターゼ 1EL-1血清自己抗体:エラスターゼ1自己抗体
エラスターゼ1に対する自己抗体が存在すると偽高値を示す。高値患者の20%にIgG型自己抗体が検出される。他の膵疾患関項目を検査する。
ガストリン放出ペプチド前駆体ProGRP血清採血後:室温放置
放置すると血液中の蛋白分解酵素により急速に分解されて偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し、凍結保存する。
カテコールアミンCA血漿採血後:室温放置
放置すると酸化物質やモノアミン酸化酵素などにより酸化されベンゼン環が開裂分解し、急速に低下する。EDTA採血後は氷冷して1時間以内に冷却遠心分離後、速やかに検査するか冷凍保存する。
カリウムK尿採尿時:消毒薬
塩化ベンザルコニウム・塩化ベンゼトニウムなどの消毒薬が混入すると著しい高値を示す。異常高値の場合は消毒薬混入を疑う。
カリウムK尿患者の行動:意図的
尿に水を加えたり、水のみを提出する患者もいる。15mEq/L以下の場合は強く疑う。尿のCr・UN・電解質が異常低値で、他のデータとの乖離がある。尿コップの体感温度、色調、臭いに注意する。病歴聴取・問診で確認する。
カリウムK血清採血時:駆血帯、採血所要時間
過度のクレンチング、駆血帯緊縛や長時間の締めつけにより筋肉から静脈中に漏出する。10回クレンチングで0.62mEq/L上昇する。AST・CK・LDも上昇するが、UN・Cr・ECGは正常である。最大2mEq/Lにおよぶこともある
カリウムK血清採血時:溶血
赤血球には血清の23倍量含まれる。採血が難しい患者、採血管の強振混和、注射器で採血後管底に向け勢い良く注入、などで溶血すると偽高値を示す。AST・LDも上昇するが、UN・Cr・ECGは正常である。採血時は注意する。
カリウムK血清採血後:全血で放置
赤血球には血清の23倍量含まれる。放置により赤血球から漏出し偽高値を示す。冷蔵保存で著しい。AST・LDも上昇するが、UN・Cr・ECGは正常である。全血の冷蔵保存は避ける。
カリウムK血清他項目の影響:白血球・血小板増加
著しい白血球や血小板増多では血球の破壊や遊出により増加する。WBC・PLTを確認する。WBC5万/μL、Plt50万/μL以上で著明である。LD・ASTも上昇する。血漿より血清が影響が大きい。
カリウムK血清採血時:輸血後
赤血球濃厚液中のKは採血後1mEq/L/日で増加し、21日目には20mEq/L以上に達するため、多量赤血球輸血では急激に上昇する。輸血歴を確認する。腎不全、新生児ではK排泄能低下のため上昇しやすい。
カリウムK血清患者の行動:ループ利尿剤濫用
ループ利尿剤濫用による偽性バーター症候群ではKが腎から過剰に喪失し低値を招く。医療従事者、特に看護師に多いので病歴の聴取・問診を確実に行い、関連する検査を慎重に確認する。
カリウムK血清薬剤:甘草、利尿剤
甘草(グリチルリチン)や利尿薬投与により偽性アルドステロン症が起こると、尿ヘのK喪失が増大し低K血症を招く。服薬歴を確認する。尿電解質はK>20mEq/L、Na/K<2であることが多い。動脈血液ガス検査ではアルカローシスを示す。
カリウムK血清変動採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ラインまたは輸液中の末梢部位から採血すると輸液に含まれるKにより影響を受ける。電解質組成により増減する。電解質の不均衡・Glu・TP・ALB・Hbの値を確認する。反対側の腕から採血しても影響があり得る。
カルシウムCa尿蓄尿時:pH
酸性下で蓄尿しないとCa塩の沈殿が起こり上清を測定すると偽低値を示す。6N塩酸を添加してpHを3程度に保ち冷暗所で蓄尿する。蓄尿容器を十分撹拌してから検査用に採取する。
カルシウムCa血清採血時:輸液中の採血、ラインから採血
高カロリー輸液中のラインから採血するとCaが混入し偽高値を示す。高カロリー輸液製剤は15?20mg/dLのCaを含む。電解質・Glu・TP・ALBの値を確認する。反対側の腕から採血しても影響があり得る。
カルシウムCa血清先天性:先天性低ホスファターゼ血症
先天性低ホスファターゼ血症では、ホスファターゼの活性が低下するため、化骨障害が起こりCaの上昇を招く。ALP値を確認する。優性遺伝と劣性遺伝があるが極めて稀である。
カルシウムCa血清疾患:多発性骨髄腫
多発性骨髄腫で広範囲で急激な骨破壊が起こると、骨からCaが遊離し高値を示す。骨髄像・蛋白分画検査を行い、免疫電気泳動で確認する。
カルシウムCa血清採血時:輸血後
短時間の多量輸血・血漿交換などでは輸血血液製剤中のクエン酸がCaとキレートして低値を示す。輸血歴、血漿交換歴を確認する。
カルシウムCa血清他項目の影響:ALB量
血清Caの半分はALBなどの蛋白と結合している(ALB 1gに0.8mgのCaが結合)ので、ALBの増減に影響される。ALBが4g/dL以下の場合は「血清Ca(mg/dL)− 血清ALB(g/dL)+ 4」による補正Ca値で評価する。イオン化Caを測定する。
カルシウムCa血清変動薬剤:ビタミンD、Ca製剤
ビタミンDやCa製剤投与時は高値を示す。特に骨粗鬆症治療の高齢者に多い。IP値の確認とPTHを測定する。Ca×IPが30~40の範囲を著しく逸脱していたら服薬を疑う。
クリオグロブリンCryo血清採血後:37℃以下に放置
37℃以下でクリオグロブリンは凝固・ゲル化する。遠心分離後は血餅と一緒に沈殿してしまうため陰性化する。採血後は遠心分離まで37℃に保持する。
グリコアルブミンGA血清・血漿患者の飲食:ビタミンC大量摂取
ジュースやドリンク剤に多量に含まれるアスコルビン酸(ビタミンC)は強い還元作用があるため、大量摂取すると偽高値を示す。摂取したビタミンCはほとんど尿に排泄される。含有食物や服薬歴を確認する。検査前日に多量に摂取すると影響が大きい。
グルカゴンIRG血漿採血後:全血で放置
放置すると血液中の蛋白分解酵素により分解されて偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
グルコース,血糖Glu血清・血漿採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ラインまたは輸液中の末梢部位から採血すると輸液に含まれるGluにより影響を受ける。電解質の不均衡・TP・ALB・Hbの値を確認する。反対側の腕から採血しても影響があり得る。
グルコース,血糖Glu血清・血漿疾患:感染症、急性心筋梗塞、脳血管障害、ストレス
感染症、急性心筋梗塞、脳血管障害、ストレスにより突然に高血糖を招くことがある。突然上昇した場合は、感染、急性心筋梗塞、脳血管障害、ストレスなどを疑う。
グルコース,血糖Glu血清・血漿採血後:全血で放置
放置により血球がGluを消費するため、8mg/dL/時で減少する。著しい白血球増多・血小板増多で顕著である。採血後は速やかに遠心分離し検査する。
グルコース,血糖Glu血漿採血後:全血で放置
NaF採血でも完全に解糖阻止できない。採血後3時間で約10mg減少する。採血後1時間以内には検査する。
グルコース,血糖Glu血清・血漿薬剤:抗生物質、NSAIDs、降圧剤
ニューキノロン系抗生物質、NSAIDs、降圧剤などの服用は低血糖を招くことがある。服薬歴を確認する。
グルコース,血糖Glu血清・血漿疾患:ショック、敗血症
ショック、敗血症により突然に低血糖を招くことがある。突然低下した場合はショック、敗血症が原因のことがある。
グルコース,血糖Glu血清・血漿自己抗体:インスリン自己免疫症候群
インスリン自己免疫症候群では、インスリン注射の既往がなくても抗インスリン抗体が産生される。それがインスリンに結合後、解離されることで極度の高インスリン血症に陥る。インスリンが高値であるがインスリン注射歴はない。抗インスリン抗体の存在を確認する。日本人患者の96%が、HLA-DR4(DRB1*0406)を持つのでHLAタイピングを行う。
クレアチニンNULL尿採尿時:おむつ
綿やレーヨンスポンジ素材のおむつはCrを選択的に吸収するため偽低値を示す。他の結果と乖離する。異なる尿採取法を用いる。
クレアチニンCr,Cre血清薬剤:抗生物質、NSAIDs、造影剤
セフェム系・アミノ配糖体などの抗生物質、NSAIDs、造影剤は薬剤性腎障害を起こし得る。服薬歴と急性腎不全の有無を確認する。造影剤では2~4日後にピーク値に達し、7~10日後には下がる。
クレアチニンクリアランスCcr尿蓄尿時:不完全な蓄尿
排尿の全部を蓄尿しないと偽低値を招く。特に男性は排便時の採尿を忘れることが多い。尿のCr・UNを確認する。24時間蓄尿の意義と説明を十分に行い、患者の理解を得る。
クロールCl尿患者の行動:意図的
尿に水を加えたり、水のみを提出する患者もいる。異常低値の場合は強く疑う。尿のCr・UN・電解質が異常低値で、他のデータとの乖離がある。尿コップの体感温度、色調、臭いに注意する。病歴聴取・問診で確認する。
クロールCl血清薬剤:ブロムワレリル尿素
鎮痛解熱剤のブロムワレリル尿素投与中にイオン選択電極法で測定するとハロゲン化合物を測り込んで偽高値を示す。服薬歴を確認する。NaとCl値の差が30以下を示す。電量滴定法でClを測定する。最近のイオン選択電極法は改善されている。
クロールCl血清採血時:駆血帯、採血所要時間
駆血帯緊縛や長時間の締めつけは、血中の水分を組織中に移動させる。2分以上の圧迫で低下する。採血時の状態を確認する。駆血帯緊縛時間に注意する。
クロールCl血清変動採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ラインまたは輸液中の末梢部位から採血すると輸液に含まれるClにより影響を受ける。電解質組成により増減する。電解質の不均衡・Glu・TP・ALB・Hbの値を確認する。反対側の腕から採血しても影響があり得る。
コリンエステラーゼChE血清先天性:先天性偽ChE異常症
先天性偽ChE異常症では、生合成に関する遺伝子異常により定型でないChEが産生されるため低値を示す。肝機能は正常である。非定型ChEの確認と家系調査を行う。手術時のサクシニルコリン投与は無呼吸が長時間持続するので注意する。
コリンエステラーゼChE血清変動薬剤:サクシン
筋弛緩剤(サクシン)使用直後は急激に低下するが、血清中では徐々にサクシンが分解され、室温1時間で10%以上、一晩で50%以上復活する。手術、サクシン使用の有無を確認する。保存した血清の測定値は信用しない。
コレステロールTC,T-ch,T-cho血清疾患:多発性骨髄腫
抗リポ蛋白活性をもつM蛋白が産生されると、カイロマイクロンやVLDLと結合しLPLの作用を抑制するため高値を示す。TGも高値である。骨髄像・蛋白分画検査を行い、免疫電気泳動で確認する。
コレステロールTC,T-ch,T-cho血清先天性:脂質関連
α-アポリポ蛋白欠損症(Tangier病)、魚眼症、無・低β-リポ蛋白血症、LCAT欠損症などの遺伝性疾患では低値を示す。TG・TC・E/T比・HDL-C・LDLC・LCATの値から総合的に判断し、家系調査を行う。
コレステロールTC,T-ch,T-cho血清先天性:脂質関連
家族性高コレステロール血症(IIa型)、家族性複合型高脂血症(IIb型)、broad-β病、LPL欠損症などの遺伝性疾患では高値を示す。TC・TG・LDL-C・VLDL・LPL・HTGLの値から総合的に判断し、家系調査を行う。
コレステロールTC,T-ch,T-cho血清疾患:甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症ではLPL活性低下により高値を示す。TSH・FT₃・FT₄を検査して甲状腺機能を確認する。
コレステロールTC,T-ch,T-cho血清疾患:甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症ではLPL活性増加により低値を示す。TSH・FT₃・FT₄を検査して甲状腺機能を確認する。
コレステロール/エステル比E/T血清採血後:室温放置
放置するとコレステロールエステラーゼによりエステル化が進み高値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査する。
サイトカインNULL血清・血漿変動検査時:抗マウス抗体の存在
患者血清中に抗マウス抗体が存在すると、アッセイ系の抗体と反応し偽高値を示す。異常値を示す原因疾患の根拠がない場合は抗マウス抗体(HAMA)の存在を疑う。
サイトカインNULL血清・血漿自己抗体:RFなど
ELISA法ではリウマトイド因子などの自己抗体が存在すると偽高値を示すことがある。異常値を示す原因疾患の根拠がない場合はリウマトイド因子などの自己抗体を検索する。
サイトカインNULL血清・血漿採血後:室温放置
放置により経時的に失活する。採血後は速やかに遠心分離し検査する。
シスタチンCCys C血清疾患:転移性メラノーマ、直腸癌
転移性メラノーマ、直腸癌では高値を示す。Crを確認する。該当する疾患を検索する。
シスタチンCCys C血清疾患:HIV感染症
HIV感染症では低値を示す。Crを確認する。HIV検査を実施し確認する。
シスタチンCCys C血清変動薬剤、疾患:ステロイド、シクロスポリン、甲状腺疾患
ステロイド服用で高値、シクロスポリン服用で低値、甲状腺疾患では異常値を示すことがある。Crを確認する。服薬歴と甲状腺疾患を確認する。
セロトニン,5-ヒドロキシトリプタミン5-HT血清採血時:溶血
採血が難しい患者、採血管の強振混和、注射器で採血後管底に向け勢い良く注入、などで溶血したHbにより分解されて偽低値を示す。AST・LD・Kも上昇する。注意してEDTA採血後、冷却遠心分離して速やかに検査するか冷凍保存する。
ソマトスタチン,ソマトトロピン放出抑制因子SRIF血漿採血後:全血で放置
放置すると血液中の蛋白分解酵素により分解されて偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
チモール混濁試験TTT血清採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ヘパリンロックラインからの採血でヘパリンが混入すると偽低値を示す。ラインからの採血を避ける。
デヒドロエピアンドロステロン,デヒドロイソアンドロステロンDHEA血清薬剤:ステロイド、避妊薬
ステロイドや経口避妊薬服用時は低値を示す。服薬歴を確認する。
ドーパ,3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンDOPA尿蓄尿時:pH
排尿後は時間とともにアンモニア生成が進む。酸性下で蓄尿しないとpHが上昇するため酸化により急速に破壊される。6N塩酸を20~30ml添加してpHを3程度に保ち冷暗所で蓄尿する。直ちに分析できない場合は冷凍保存する。
ドナース・ランドスタイナー試験DL試験血液採血後:37℃以下に放置
20℃以下で放置すると、DL抗体が自己赤血球に結合して偽陰性を招く。採血後は血清分離まで37℃に保持する。
トリグリセリド,中性脂肪TG血清先天性:脂質関連
家族性高トリグリセリド血症(IV型)、家族性複合型高脂血症(IIb型)、家族性V型高リポ蛋白血症、アポC-II欠損症、原発性I型高脂血症、家族性LPL欠損症、高カイロマイクロン血症、肝性トリグリセリドリパーゼ欠損症、broad-β病などの遺伝性疾患では高値を示す。TG・T-cho・HDL-C・LDL-C・VLDL・LPL・HTGL・アポC-IIなどの値から総合的に判断し、家系調査を行う。
トリグリセリド,中性脂肪TG血清疾患:多発性骨髄腫
抗リポ蛋白活性をもつM蛋白が産生されると、カイロマイクロンやVLDLと結合しLPLの作用を抑制するため高値を示す。TCも高値である。骨髄像・蛋白分画検査を行い、免疫電気泳動で確認する。
トリグリセリド,中性脂肪TG血清先天性:脂質関連
無β-LP血症、低β-LP血症などの遺伝性疾患では低値を示す。TG・TC・LDL-Cの値から総合的に判断し、家系調査を行う。
トリグリセリド,中性脂肪TG血清疾患:甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症ではLPL活性低下により高値を示す。TSH・FT₃・FT₄を検査して甲状腺機能を確認する。
トリグリセリド,中性脂肪TG血清疾患:甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症ではLPLの活性化増加により低値を示す。TSH・FT₃・FT₄を検査して甲状腺機能を確認する。
トリコモナスNULL該当検体採取後:そのまま放置、低温で保存
低温では運動を停止したり死滅する。動いていないと白血球との判別が難しい。採取後は速やかに検査する。低温保存はしない。
トロンビン時間NULL血漿延長採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ヘパリンロックラインからの採血でヘパリンが混入するとフィブリンへの変換が不完全で結果が延長する。ラインからの採血を避ける。
ナトリウムNa尿採尿時:消毒薬
塩化ベンザルコニウム・塩化ベンゼトニウムなどの消毒薬が混入すると著しい高値を示す。300mEq/Lを超える時は消毒薬混入を疑う。
ナトリウムNa尿患者の行動:意図的
尿に水を加えたり、水のみを提出する患者もいる。異常低値の場合は強く疑う。尿のCr・UN・電解質が異常低値で、他のデータとの乖離がある。尿コップの体感温度、色調、臭いに注意する。病歴聴取・問診で確認する。
ナトリウムNa血清他項目の影響:UN・Glu増加
UNやGluが増加すると浸透圧保持のため代償的にNaが血漿外に押し出される。UNが5mg/dL、Gluが35mg/dLの増加で1mEq/L低下する。UN・Gluの値を確認する。浸透圧を測定する。
ナトリウムNa血清採血時:経尿道的前立腺切除術時(TUR-P)
経尿道的前立腺切除術(TUR-P)は電気メス使用のため電解質非含有のソルビトール潅流液を膀胱内に満たす。潅流液が血中に混入するとTUR反応により低Na血症を招く。TUR-P実施の有無、電解質の不均衡・Glu・TP・ALB・Hbの値を確認する。
ナトリウムNa血清採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ラインまたは輸液中の末梢部位から採血すると輸液に含まれるNaにより影響を受ける。電解質組成により増減する。電解質の不均衡・Glu・TP・ALB・Hbの値を確認する。反対側の腕から採血しても影響があり得る。
ナトリウムNa血清変動薬剤:メイロン
メイロン(NaHCO₃)投与時は、Naが混入し高値を示す。血液ガス分析でHCO₃も高値を示す。Cl/Naが0.65以下であることを確認する。
バゾアクティブ腸管ペプチドVIP血漿採血後:全血で放置
放置すると血液中の蛋白分解酵素により分解されて偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
バニリルマンデル酸(尿)U-VMA尿患者の飲食:バナナ、バニラ、柑橘類
バナナ、バニラ、柑橘類の摂取で増加する。最近の食事内容を確認する。
バニリルマンデル酸(尿)U-VMA尿蓄尿時:pH
排尿後は時間とともにアンモニア生成が進む。酸性下で蓄尿しないとpHが上昇するため酸化により急速に破壊される。6N塩酸を20~30ml添加してpHを3程度に保ち冷暗所で蓄尿する。直ちに分析できない場合は冷凍保存する。
ヒト心臓型脂肪酸結合蛋白H-FABP血清自己抗体:RFなど
ELISA法ではリウマトイド因子などの自己抗体が存在すると偽高値を示すことがある。異常値を示す原因疾患の根拠がない場合はリウマトイド因子などの自己抗体を検索する。
ピルビン酸NULL血液採血時:駆血帯、採血所要時間
駆血帯緊縛や長時間の締めつけにより静脈血がうっ滞して低下する。2分以上の圧迫で約20%低下する。AST・LD・Kも高値を示す。乳酸の変化は少ない。
フィブリノゲンFbg血漿採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ヘパリンロックラインからの採血でヘパリンが混入するとフィブリンへの変換が不完全で偽低値を示す。ラインからの採血を避ける。
フィブリノゲンFbg血漿採血時:量不足、混和不足
採血量が少なく抗凝固剤との混合比が正確でないと相対的に血液が希釈されて偽低値を示す。クエン酸Na:血液=1:9の混合比を正確に守って採血する。
フィブリノゲンFbg血漿先天性:異常Fbg血症
Fbg分子異常である異常Fbg血症では、凝固活性を測定するトロンビン法で低値を示す。免疫化学的測定による抗原量は低下または増加を示す。血清でFDPを測定すると、凝固が不完全なため異常高値を示す。家系調査を行う。
プロスタグランジンD₂PGD₂血漿疾患:化粧品によるアレルギー性皮膚炎
化粧品に含まれる安息香酸やソルビン酸が原因のアレルギー性皮膚炎では数百倍の異常高値を示す。化粧品の使用、皮膚炎を確認する。
プロスタグランジンE₂U-PGE₂尿患者の行動:射精後
精液には多量に含まれるため射精後の尿は異常高値を示す。尿沈渣で精子を確認する。問診により確認する。
プロトロンビン時間PT血漿延長採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ヘパリンロックラインからの採血でヘパリンが混入するとフィブリンへの変換が不完全で結果が延長する。ラインからの採血を避ける。
プロトロンビン時間PT血漿延長採血時:量不足、混和不足
採血量が少なく抗凝固剤との混合比が正確でないと相対的に血液が希釈されて延長する。クエン酸Na:血液=1:9の混合比を正確に守って採血する。
プロトロンビン時間PT血漿短縮採血時:駆血帯、採血所要時間
長い採血時間や強引な吸引採血では接触因子活性と組織液混入により内因系・外因系ともに活性化し結果が短縮する。穿刺時の組織片混入を避けるため、真空採血管では2番目以降に短時間で採血する。
プロトロンビン時間PT血漿短縮採血時:量不足、混和不足
採血後の混和が不十分であると、Caイオンが残存するため短縮する。採血後は十分に転倒混和する。
プロラクチンPRL血清疾患:マクロプロラクチン血症
マクロプロラクチン血症では、凝集した大分子プロラクチンにより著しく高値を示す。検査値は高値であるが活性は低いので症状はなく、治療も不要である。
ヘマトクリットHt血液他項目の影響:白血球増加
自動分析機は白血球を含めて赤血球として計測しているため、赤血球より大きい白血球の著しい増加があると偽高値を示す。MCVは高値、MCHCは低値を示す。血液像検査で確認する。
ヘマトクリットHt血液採血後:37℃以下に放置
寒冷凝集や赤血球自己抗体が存在すると、低温・冷蔵で赤血球が凝集・溶血により偽低値を示す。Hbは正常、RBCが減少、WBC・MCV・MCH・MCHCは高値を示す。血液像検査で赤血球の凝集を確認する。採血後37℃に保って測定する。
ヘモグロビン,血色素量Hb血液他項目の影響:白血球増加、乳び、ビリルビン増加
著しい白血球増多、乳び、30mg/dL以上のビリルビン増加は測定濁度に影響し偽高値を示す。MCH・MCHCも高値を示す。他項目の値を確認する。
ヘモグロビンA1c,グリコヘモグロビンHbA1c,GHb血液薬剤・疾患:HbF高値、腎不全、アルコール中毒、アスピリン大量服用
HbFが高値を示す疾患や、腎不全、アルコール中毒、アスピリン大量服用などで高値を示す。Gluが不相応でないかを確認する。造血器腫瘍性疾患、再生不良性貧血、悪性貧血、βサラセミアなどを疑って検索する。
ヘモグロビンA1c,グリコヘモグロビンHbA1c,GHb血液疾患:貧血
赤血球寿命が短縮する溶血性貧血、鉄欠乏性貧血、出血などでは、幼弱赤血球増加により低値を示す。Gluが不相応でないかを確認する。CBC検査と貧血の原因を検索する。
ヘモグロビンA1c,グリコヘモグロビンHbA1c,GHb血液変動先天性:異常Hb症
異常Hb症(HbS・C・D・E・不安定Hb症など)では低値を示す。Gluが不相応でないかを確認する。異常Hbの有無を検索する。
ペルオキシダーゼ染色NULL血液・骨髄採血後:室温放置
放置により酵素活性が失活し偽低値を招く。採血後は早めに標本を作成し、12時間から3日以内には染色検査する。
ペルオキシダーゼ染色NULL血液・骨髄疾患:右記の白血病
ペルオキシダーゼ欠損の白血病細胞は常に陰性であるが、未分化な骨髄系の白血病でも陰性のことがある。ALLのみを疑うことなくフローサイトメトリーによりCD13、CD33などの骨髄系マーカーの検索を行う。
ホモバニリン酸HVA尿患者の飲食:バナナ、バニラ、柑橘類
バナナ、バニラ、柑橘類の摂取で増加する。最近の食事内容を確認する。
ホモバニリン酸HVA尿蓄尿時:pH
排尿後は時間とともにアンモニア生成が進む。酸性下で蓄尿しないとpHが上昇するため酸化により急速に破壊される。6N塩酸を20~30ml添加してpHを3程度に保ち冷暗所で蓄尿する。直ちに分析できない場合は冷凍保存する。
ポルフォビリノゲンPBG尿採尿後:室温放置
光や空気中の酸素で酸化されてポルフィリンに変化すると陰性化する。採尿後は速やかに検査する。空気に触れないように保存する。
ホルモン検査全項目NULL血液検査時:抗マウス抗体の存在
患者血清中に抗マウス抗体が存在すると、アッセイ系の抗体と反応し偽高値を示す。異常値を示す原因疾患の根拠がない場合は抗マウス抗体(HAMA)の存在を疑う。
ホルモン検査全項目NULL血液疾患:異所性ホルモン産生腫瘍
異所性ホルモン産生腫瘍では該当ホルモンが上昇する。該当する疾患がなく異常値を示す場合は異所性ホルモン産生腫瘍を疑って検索する。
マイコプラズマ抗原NULL該当検体採取後:そのまま放置、低温で保存
4℃保存では急速に死滅する。細胞壁が無いので熱や乾燥にも弱く死滅しやすい。採取後は速やかに検査するか、凍結保存する。凍結できない場合は室温に置く。
ミオグロビンMb尿先天・遺伝的:LD先天性Mサブユニット欠損症ホモ接合体
LDの先天性Mサブユニット欠損症のホモ接合体では運動後に高値を示すことがある。CKは異常高値、ASTは高値であるがLDの上昇がない。アイソザイム分析ではLD1のみを認める。
メラトニンNULL血清薬剤:サプリメント
睡眠障害に効果ありとの情報からサプリメントとして摂取していると異常高値を示す。メラトニン含有サプリメントの摂取を確認する。
リポ蛋白リパーゼLPL血清先天性:脂質関連
家族性LPL欠損症、アポC-II欠損症などの遺伝性疾患では低値を示す。アポC-II欠損症では、LPL蛋白量は正常であるが活性がほとんどなくなる。TG・TC・HDL-C・PL・アポC-IIなどの値から総合的に判断し、家系調査を行う。
ロイシンアミノペプチダーゼLAP血清先天性:家族性高LAP血症
家族性高LAP血症ではホモ・ヘテロ接合体ともに基準値上限の20~60倍を示す。LAPのみが高値である。アイソザイム分析で確認し、必要に応じて家系調査を行う。
亜鉛Zn血清・血漿採血時:溶血
赤血球には血清の20倍量含まれる。採血が難しい患者、採血管の強振混和、注射器で採血後管底に向け勢い良く注入、などで溶血すると偽高値を示す。AST・LD・Kも上昇する。採血時は注意する。
亜鉛Zn血清・血漿採血後:全血で放置
炭酸脱水素酵素、脱水素酵素、ペプチターゼなどの酵素はZnを含む。放置により酵素が失活するとZnがはずれ血中に放出される。採血後2時間以内に遠心分離して4℃以下に保存する。
活性化部分トロンボプラスチン時間APTT血漿延長採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ヘパリンロックラインからの採血でヘパリンが混入するとフィブリンへの変換が不完全で結果が延長する。ラインからの採血を避ける。
活性化部分トロンボプラスチン時間APTT血漿延長採血時:量不足、混和不足
採血量が少なく抗凝固剤との混合比が正確でないと相対的に血液が希釈されて延長する。クエン酸Na:血液=1:9の混合比を正確に守って採血する。
活性化部分トロンボプラスチン時間APTT血漿延長採血後:室温放置
5時間程度の室温放置で活性値は約10%延長する。PT、Fibの変化は小さい。採血後は速やかに遠心分離し検査する。
活性化部分トロンボプラスチン時間APTT血漿延長自己抗体:抗リン脂質抗体症候群
ループスアンチコアグラント、抗リン脂質抗体などの自己抗体を産生する抗リン脂質抗体症候群では延長する。梅毒STS法陽性、TPHA陰性の生物学的偽陽性(BFP)を確認する。PTは正常でPltの減少、習慣性流産、血栓症などが認められる。
活性化部分トロンボプラスチン時間APTT血漿延長採血時:駆血帯、採血所要時間
長い採血時間や強引な吸引採血では接触因子活性と組織液混入により内因系・外因系ともに活性化し結果が短縮する。穿刺時の組織片混入を避けるため、真空採血管では2番目以降に短時間で採血する。
活性化部分トロンボプラスチン時間APTT血漿短縮採血時:量不足、混和不足
採血後の混和が不十分であると、Caイオンが残存するため短縮する。採血後は十分に転倒混和する。
活性化部分トロンボプラスチン時間APTT血漿短縮先天性:接触因子欠乏症
接触因子(第XI因子、第XII因子、プレカリクレイン、高分子キニノゲン)先天性欠乏症では異常に延長する。Plt・PT・Fibは正常で、APTTのみ異常に延長する。第XI因子欠乏症では出血傾向を示すが、他は無症状である。内因系凝固因子の測定と家系調査で確認する。
間接ビリルビンI-Bil血清変動他項目の影響:δ-ビリルビンの増加
ALBと結合したδ-ビリルビンが増加すると直接ビリルビンが偽高値を示すため変動する。臨床症状に合致しない場合には、ビリルビン分画検査で確認する。
関節液ピロリン酸カルシウムNULL関節液採取時:EDTA添加採取
EDTAを使用して採取すると、カルシウム塩とEDTAが反応して可溶性の錯体を生じて結晶が溶解する。抗凝固剤はEDTAでなくヘパリンを使用する。
凝固因子検査全項目NULL血漿採血時:駆血帯、採血所要時間
長い採血時間や強引な吸引採血では接触因子活性と組織液混入により内因系・外因系ともに活性化し結果が短縮する。穿刺時の組織片混入を避けるため、真空採血管では2番目以降に短時間で採血する。
凝固検査全項目NULL血漿延長採血容器:血液ガス用シリンジ使用
血液ガス用シリンジで採血した検体を使用すると、含まれているヘパリンの影響で延長する。凝固検査全部が異常値を示す。凝固検査専用の採血管を使用する。
凝固検査全項目NULL血漿延長採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ヘパリンロックラインからの採血でヘパリンが混入するとフィブリンへの変換が不完全で結果が延長する。ラインからの採血を避ける。
凝固検査全項目NULL血漿延長薬剤:ヘパリン
ヘパリン投与中はフィブリン形成が阻害されるため結果が著しく延長する。凝固検査ではヘパリン投与時の検体は不適切である。
凝固検査全項目NULL血漿延長採血時:駆血帯、採血所要時間
長い採血時間や強引な吸引採血では接触因子活性と組織液混入により内因系・外因系ともに活性化し結果が短縮する。穿刺時の組織片混入を避けるため、真空採血管では2番目以降に短時間で採血する。
凝固検査全項目血漿短縮採血後:室温放置
採血後は経過ともに凝固活性が低下するので結果が延長する。採血後は速やかに遠心分離し検査する。-20℃では14日以内、-70℃では6ヶ月以内に測定する。
凝固第VIII因子血漿変動採血後:室温放置
不安定な凝固因子である。採血後に軽度な凝固が起こると増加を示し、凝固が進展すると低下する。採血後は速やかに遠心分離し検査する。-20℃で2週間・-70℃で1年間は安定である。
凝固第V因子血漿変動採血後:室温放置
不安定な凝固因子である。採血後に軽度な凝固が起こると増加を示し、凝固が進展すると低下する。採血後は速やかに遠心分離し検査する。-20℃で2週間、-70℃で1年間は安定である。
血液学的検査全項目NULL血液変動採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ラインまたは輸液中の末梢部位から採血すると希釈や輸液成分の影響を受ける。輸液の含有成分により測定値は変動する。電解質の不均衡・Glu・TP・ALB・Hbの値を確認する。反対側の腕から採血しても影響があり得る。
血液培養NULL血液採血時:消毒
皮膚のアルコール消毒だけで採血すると、殺菌されない皮膚常在菌が混入し偽陽性を招く。アルコール→10%ポビドンヨード→十分乾燥→ハイポアルコールの手順を厳守する。
血液比重NULL血液採血時:駆血帯、採血所要時間
駆血帯緊縛や長時間の締めつけは、血中の水分を組織中に移動させる。2分以上の圧迫で上昇する。採血時の状態を確認する。駆血帯緊縛時間に注意する。
血小板数Plt血液疾患:白血病
白血病細胞の断片をカウントすると偽高値を示す。MPVは低値である。血液像検査で確認する。
血小板数Plt血液疾患:重症火傷
重症火傷時は赤血球の著しい奇形(断片化、小球化、有棘化)が起こり、小型赤血球が血小板として測定されると偽高値を示す。MPVが高値である。血小板と赤血球のヒストグラム、血液像で確認する。
血小板数Plt血液疾患:クリオグロブリン
クリオグロブリン血症でグロブリンの結晶をカウントすると偽高値を示す。血液像検査でグロブリン結晶を確認する。採血後37℃に保って検査する。
血小板数Plt血液疾患:菌血症
菌血症で菌をカウントすると偽高値を示す。血液像検査で細菌を確認する。血液培養を実施する。
血小板数Plt血液採血容器:EDTA採血
EDTAによる非特異的血小板凝集や衛星現象による好中球への付着が起きると偽低値を示す。血液像検査で血小板凝集を確認する。指頭からの血液像は正常である。ヘパリンまたはクエン酸Naで採血して再度測定する。
血小板数Plt血液採血時:量不足、混和不足
採血後の混和が不十分であるとフィブリンが析出して血小板が凝集するため偽低値を示す。赤血球、白血球も低値である。血液像検査で確認する。
血小板数Plt血液採血後:37℃以下に放置
寒冷凝集の存在、クリオフィブリノゲン血症では、低温・冷蔵により血小板が凝集し偽低値を示す。血液像検査で血小板の凝集を確認する。採血後37℃に保って検査する。指頭からの血液像は正常である。
血小板数Plt血液薬剤:造影剤
造影剤投与の数時間~2日以内に末梢での血小板破壊が急激に亢進することがある。造影剤投与を確認する。一過性で2週間以内に回復する。
血小板数Plt血液疾患:ヘパリン起因性血小板減少症
ヘパリン起因性血小板減少症では低値を示す。非免疫学的機序で起こるI型とヘパリン依存性抗体によるII型がある。I型はヘパリン投与後2~3日で発症し自然回復する。II型は1~2週間後に血小板数が半分以下に減少し、投与を続けると血栓症、DICを招く。
血小板第4因子PF-4血液採血時:駆血帯、採血針
採血時に血小板活性が起きると著しい高値を示す。駆血帯は緊縛することなく弱く巻き、19G以上の採血針で素早く採血する。
血漿HCO₃⁻濃度HCO₃⁻動脈血薬剤:メイロン
メイロン(NaHCO₃)投与時は、HCO₃が混入し上昇する。Naも高値で、Cl/Naは0.65以下であることを確認する。
血漿レニン活性,レニン活性PRA血漿採血後:全血で放置
放置すると血液中の蛋白分解酵素により分解されて偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
好中球アルカリホスファターゼ染色NAP血液採血容器:抗凝固剤入りで採血
アルカリホスファターゼ活性にはMgイオンが必要であるが、抗凝固剤採血の検体を使用すると、キレートにより酵素反応を妨害する。耳朶血による標本作成を原則とし、3時間以内に固定する。
好中球アルカリホスファターゼ染色NAP血液採血後:室温放置
放置により酵素活性が失活し偽低値を招く。抗凝固剤加採血は低値を示すので耳朶血による標本作成を原則とし、3時間以内に固定する。
抗HIV-1 抗体HIV-Ab血清患者の行動:受診時期
感染初期のウインドウピリオドでは抗体が産生されずに陰性である。時間をおいて採血し検査する。問診により確認する。
抗HIV-2 抗体HIV-Ab血清患者の行動:受診時期
感染初期のウインドウピリオドでは抗体が産生されずに陰性である。時間をおいて採血し検査する。問診により確認する。
抗利尿ホルモン,アルギニンバゾプレッシン,バゾプレシンADH,AVP血漿変動他項目の影響:浸透圧の変化
血漿浸透圧がわずかに変化しただけで測定値が変動する。血漿浸透圧を測定する。浸透圧が272mOsm/KgH2O未満でADHが検出されたら基準値内でも高値と判断する。
甲状腺刺激ホルモンTSH血清変動自己抗体:TSH自己抗体
TSH自己抗体が存在すると測定系に干渉し、本来の濃度を示さない。抗TSH自己抗体を検索する。
酸性ホスファターゼACP血清採血時:溶血
赤血球には血清の70倍量含まれる。採血が難しい患者、採血管の強振混和、注射器で採血後管底に向け勢い良く注入、などで溶血すると偽高値を示す。AST・LD・Kも上昇する。採血時は注意する。
酸性ホスファターゼACP血清変動採血後:全血で放置
赤血球には血清の70倍量含まれる。放置により赤血球から漏出し偽高値を示す。血清分離後は経時的に活性が低下し偽低値を示す。AST・LD・Kも上昇する。採血後は速やかに遠心分離し冷凍保存する。
酸性ホスファターゼ染色NULL血液・骨髄採血後:室温放置
放置により酵素活性が失活し偽低値を招く。採血後は早めに標本を作成し、12時間以内には染色検査する。
酸素飽和度SpO₂指先変動検査時:環境
CO中毒、メトHb、メチレンブルーの静注、マニキュア、強い周囲光などは光吸収に影響を与えるので変動が大きい。パルスオキシメトリーは脈波による動脈血の光吸収変化を捉えているので、正確な脈波が必須条件である。動脈血を採血してガス分析を行う。
酸素飽和度SpO₂指先変動検査時:振動
測定部の振動は入射光が変化して基線のズレやノイズが入る。運動負荷試験時など規則的な基線のズレは脈波と誤認される。パルスオキシメトリーは脈波による動脈血の光吸収変化を捉えているので、正確な脈波が必須条件である。動脈血を採血してガス分析を行う。
腫瘍マーカー検査全項目NULL血清検査時:抗マウス抗体の存在
患者血清中に抗マウス抗体が存在すると、アッセイ系の抗体と反応し偽高値を示す。異常値を示す原因疾患の根拠がない場合は抗マウス抗体(HAMA)の存在を疑う。
心房性Na利尿ペプチドANP血漿採血後:全血で放置
放置すると血液中の蛋白分解酵素により分解されて偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
浸透圧Sosm,Osm血清・血漿採血時:酒精綿のアルコール混入
採血時に酒精綿のアルコールが混入すると、偽高値を示すことがある。浸透圧ギャップが大きくなる。
浸透圧Sosm,Osm血清・血漿他項目の影響:UN増加
UNが2.5mg/dL増加すると1mOsm/L上昇する。UNの増加を確認する。
神経特異エノラーゼNSE血清採血時:溶血
赤血球にも含まれる。採血が難しい患者、採血管の強振混和、注射器で採血後管底に向け勢い良く注入、などで溶血すると偽高値を示す。AST・LD・Kも高値を示す。採血時には注意する。
神経特異エノラーゼNSE血清採血時:輸血後
赤血球内にも含有する。赤血球濃厚液は保存中に徐々に溶血するので輸血後は上昇する。輸血歴を確認する。時間をおいて採血する。
髄液グルコースCSF-Glu髄液採取後:室温放置
遠心せずに放置すると白血球・細菌により糖が消費され陰性化する。採取後は速やかに遠心し検査する。
髄液グルコースCSF-Glu髄液患者の飲食:食後
血糖値に比例する。食後に血糖値が増加すると髄液グルコースも上昇し、5?6時間は減少しない。血糖値の60~70%を示すので、血糖値を確認する。採取前は絶食する。
髄液細胞検査NULL髄液疾患:ギラン・バレー症候群、クモ膜下腔閉塞
ギラン・バレー症候群やクモ膜下腔閉塞では、蛋白が増加しても細胞数増加が目立たない蛋白細胞乖離現象が認められる。髄液の総蛋白値を確認し、関連疾患を検索する。
髄液細胞検査NULL髄液変化採取後:室温放置
採取後1時間で細胞変性が始まり、3時間で50%以上の細胞形態が喪失する。採取後は速やかに検査する。
髄液細胞数検査NULL髄液採取時:ヘパリン添加採取
ヘパリンを添加して採取すると、サムソン液とヘパリンが反応して生じた微粒子により細胞がカウントされない。髄液が凝固することはまずないので抗凝固剤は使用しない。
髄膜炎菌NULL髄液採取後:そのまま放置、低温で保存
低温に弱く人体外で速やかに死滅する。採取後は37℃を保持して搬送し、速やかに検査する。
生化学的検査全項目NULLNULL採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ラインまたは輸液中の末梢部位から採血すると希釈や輸液成分の影響を受ける。輸液の含有成分により測定値は変動する。電解質の不均衡・Glu・TP・ALB・Hbなどの値を確認する。反対側の腕から採血しても影響があり得る。反対の腕でも影響があり得る。
精子運動率NULL精液採取時:コンドーム使用
コンドームを使用して採取すると、塗布されているゼリーにより死滅し著しく低下する。コンドームを使用せず、瓶やシャーレなどに採取する。
赤血球数RBC血液他項目の影響:白血球増加
自動分析機は白血球を含めて赤血球として計測しているため、赤血球より大きい白血球の著しい増加があると偽高値を示す。HbとMCVは高値、MCHCは低値を示す。血液像検査で確認する。
赤血球数RBC血液疾患:クリオグロブリン
クリオグロブリン血症でグロブリンの結晶をカウントすると偽高値を示す。血液像検査でグロブリン結晶を確認する。採血後37℃に保って検査する。
赤血球数RBC血液採血後:37℃以下に放置
寒冷凝集や赤血球自己抗体が存在すると、低温・冷蔵で赤血球が凝集・溶血により偽低値を示す。Hbは正常、Htが減少、WBC・MCV・MCH・MCHCは高値を示す。血液像検査で赤血球の凝集を確認する。採血後37℃に保って測定する。
赤血球数RBC血液疾患:重症火傷
重症火傷時には赤血球の著しい奇形(断片化、小球化、有棘化)が起こるため偽低値を示す。小型赤血球を測定するため、血小板が高値を示す。赤血球と血小板のヒストグラム、血液像で確認する。
赤血球沈降速度ESR血液疾患:貧血
貧血では、Htが1%低下するごとに1mm/hr亢進する。CBCを確認する。
赤血球沈降速度ESR血液疾患:多発性骨髄腫
連銭形成のため著しく亢進する。骨髄像・蛋白分画検査を行い、免疫電気泳動で確認する。
赤血球沈降速度ESR血液採血時:量不足、混和不足
採血量が少ないと相対的に血液が希釈されて遅延する。クエン酸Na:血液=1:4の混合比を5%以内に守って採血する。
赤血球沈降速度ESR血液採血後:室温放置
長時間放置すると遅延する。保存時間は室温で2時間、4℃で6時間と定められている。
赤血球沈降速度ESR血液他項目の影響:白血球増加
著しい白血球増多では遅延する。CBCを確認する。
赤血球沈降速度ESR血液先天性:無γ-グロブリン血症
無γ-グロブリン血症では遅延することがある。免疫グロブリンと蛋白分画検査を実施する。
赤血球沈降速度ESR血液疾患:多血症
多血症では、Htが1.5%増加するごとに1mm/hr遅延する。CBCを確認する。
赤血球沈降速度ESR血液疾患:奇形赤血球
鎌状赤血球、球状赤血球、有棘赤血球などの奇形赤血球が出現すると遅延する。CBCを確認し血液像検査を行う。
赤血球沈降速度ESR血液疾患:無Fbg血症、線溶亢進、DIC
無Fbg血症、線溶亢進、DICではFbgの減少によって遅延する。Fbg値を確認し、関連する疾患を検索する。
赤血球沈降速度ESR血液検査時:血沈管の傾き
血沈管がわずかでも傾いていると亢進する。血沈管の傾きを90±1度に守って検査する。
赤痢アメーバNULL便採取後:そのまま放置、低温で保存
栄養型は人体外に出るとすぐ死滅する。採取後は30℃前後を保持して搬送し、速やかに検査する。
線溶検査全項目NULL血液変動採血時:駆血帯、採血所要時間
長い採血時間や強引な吸引採血では接触因子活性と組織液混入により内因系・外因系ともに活性化し結果が変動する。穿刺時の組織片混入を避けるため、真空採血管では2番目以降に短時間で採血する。
線溶検査全項目NULL血液変動薬剤:ウロキナーゼ
ウロキナーゼ投与時は、プラスミン生成が促進され線溶系に影響を与える。線溶検査ではウロキナーゼ投与時の検体は不適切である。
前立腺特異抗原PSA血清患者の行動:射精後
射精後は血中にPSAが混入するため増加する。尿沈渣で精子を確認する。問診により確認する。
前立腺特異抗原PSA血清採血時:直腸内診後
直腸内診後は一過性に高値を示すことがある。直腸内診前に採血する。
全感染症抗体価検査NULL血清薬剤:免疫グロブリン製剤
免疫グロブリン製剤の投与があると、製剤中の抗体と反応して偽陽性を招くことがある。免疫グロブリン製剤の使用、治療歴を確認する。製剤中の抗体価を測定する。
全感染症抗体価検査NULL血清薬剤:免疫抑制剤
免疫抑制剤服用中は免疫能が低下しているため、抗体が産生されにくい。免疫抑制剤の投与を確認する。
全細菌NULL該当検体薬剤:抗生物質
抗生物質投与中は、細菌増殖が抑制されているので感染症があっても検出できないことがある。抗生物質の投与を確認し、服用があったら3日程度中止して再検査する。
全細菌・嫌気性菌NULL該当検体採取時:部位、容器
採取部位が不適切だと病原菌が採取されず検出できない。嫌気性菌の検出目的にスピッツなど不適切な容器を使用すると検出不能である。適切な部位から適切な検体容器を用いて採取する。
総ビリルビンT-Bil,TB血清採血後:室温放置
光の下に放置すると紫外線でフォトビリルビンやビリベルジンに変化し偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査する。血清分離後も光の下に長時間放置しない。
総蛋白TP血清採血時:体位
採血時の体位により変動する。臥位に比べ立位では重力の作用で血漿が血管内から血管外へ漏出するため約15%高値を示す。採血時の体位を考慮してデータを見る。経過観察では体位、採血部位、時刻を一定にする。
総蛋白TP血清採血時:駆血帯、採血所要時間
駆血帯緊縛や長時間の締めつけは、血中の水分を組織中に移動させる。3分以上の圧迫で約10%増加する。採血時の状態を確認する。駆血帯緊縛時間に注意する。
総蛋白TP血清採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ラインまたは輸液中の末梢部位から採血すると希釈されて偽低値を示す。電解質の不均衡・Glu・Hbの値を確認する。反対側の腕から採血しても影響があり得る。
蛋白分画NULL血清変動採血時:溶血
採血が難しい患者、採血管の強振混和、注射器で採血後管底に向け勢い良く注入、などで多量に溶血するとHbによりM蛋白様パターンを示す。AST・LD・Kも上昇する。採血時は注意する。
蛋白分画:γ分画血清疾患:多発性骨髄腫
BJP型や非定型骨髄腫ではγ分画は低値でMピークも認められない。骨髄像検査で形質細胞の増加、BJP型は新鮮尿を用いて免疫電気泳動で確認する。非定型骨髄腫の頻度は骨髄腫の2~3%である。
蓄尿の全検査項目NULL尿蓄尿時:不完全な蓄尿
排尿の全部を蓄尿しないと偽低値を招く。特に男性は排便時の採尿を忘れることが多い。尿のCr・UNを確認する。24時間蓄尿の意義と説明を十分に行い、患者の理解を得る。
直接クームス試験,直接抗グロブリン試験D-AGT,DAT血液薬剤:αメチルドーパ、ペニシリン
α-methyl-dopa、ペニシリンなどの投与により、IgGなどの血漿蛋白と薬物が赤血球表面に吸着すると陽性反応を示す。服薬歴を確認する。症状はない。
直接クームス試験,直接抗グロブリン試験D-AGT,DAT血液自己抗体:寒冷凝集素
寒冷凝集素が生体内で補体活性を起こしてC₃d・C₄が赤血球に結合すると、多特異的クームス血清で陽性を示す。IgGクームス血清を使用し陰性であることを確認する。採血後、血清分離まで37℃を保持する。
直接ビリルビンD-Bil,DB血清他項目の影響:δ-ビリルビンの増加
ALBと結合したδ-ビリルビンが増加すると偽高値を示す。病態回復期なのに減少しない場合には、ビリルビン分画検査で確認する。
直接ビリルビンD-Bil,DB血清採血後:室温放置
光の下に放置すると紫外線でフォトビリルビンやビリベルジンに変化し偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査する。血清分離後も光の下に長時間放置しない。
Fe血清変動生理現象:日内変動
40~80μg/dL程度の日内変動があり、早朝は高く就寝中がもっとも低下する。日内変動を考慮して採血する。経過観察では採血時刻を一定にする。
動脈血CO₂分圧Paco₂,Pco₂動脈血採血後:室温放置
採血後は血球の代謝により0.6Torr/10分で上昇する。白血球増多では著しい。pH、Po₂は低下する。採血後速やかに検査するか氷冷する。室温2分は氷冷60分保存に相当する。
動脈血CO₂分圧Paco₂,Pco₂動脈血他項目の影響:白血球増多
著しい白血球増多では白血球の代謝による影響を受けて偽高値を招く。pH、Po₂は低下する。採血後速やかに検査するか氷冷する。白血球数を確認する。
動脈血CO₂分圧Paco₂,Pco₂動脈血採血時:治療用ヘパリン使用
シリンジ先端には死腔があり、治療用ヘパリンを使用するとヘパリン過多により検体が希釈されて偽低値を示す。血液が少ないほど誤差が大きい。HCO₃⁻は低値、AGが高値であることを確認する。2mlシリンジで6.5%、5mlで3.6%の誤差がある。希釈誤差を意識してデータを見る。
動脈血O₂分圧Pao₂,Po₂動脈血採血時:シリンジ内の気泡
シリンジに微量の気泡でも混入すると偽高値を示す。特に血液が少量の場合は影響が大きい。Po₂ + Pco₂が140Rorr以上を示す場合は気泡の混入を疑う。採血後は針側を上にして気泡を追い出してから封をする。
動脈血O₂分圧Pao₂,Po₂動脈血採血時:静脈血混入
採血時に静脈血が混入すると低下する。小児で駆血帯を使用すると著しい。pH・Pco₂は大きくは変化しない。穿刺時に注意する。小児では駆血帯使用を避ける。
動脈血O₂分圧Pao₂,Po₂動脈血採血後:室温放置
採血後は血球の代謝により4Torr/10分、250Torr以上では20Torr/10分で減少する。白血球増多では著しい。pHは低下、Pco₂は上昇する。採血後速やかに検査するか氷冷する。室温2分は氷冷60分保存に相当する。
動脈血O₂分圧Pao₂,Po₂動脈血他項目の影響:白血球増多
著しい白血球増多では白血球の代謝による影響を受けて低値を招く。pHは低下、Pco₂は上昇する。採血後速やかに検査するか氷冷する。白血球数を確認し、パルスオキシメトリーでSpO₂を測定する。
動脈血O₂分圧Pao₂,Po₂動脈血変動採血容器:プラスチックシリンジ
プラスチックシリンジはガス透過性がある。Po₂高値では徐々に低下するが、低値では大気のO₂が混入し増加する。室温より氷水中で顕著である。採血後は速やかに検査する。血ガス専用アクリルシリンジかガラスシリンジを使用する。
動脈血pHpH動脈血採血後:室温放置
採血後は血球の代謝や解糖作用により0.006/10分で低下する。白血球増多では著しい。Pco₂は増加、Po₂は低下する。採血後速やかに検査するか氷冷する。室温2分は氷冷60分保存に相当する。
Cu血清・血漿生理現象:妊娠
妊娠するとエストロゲンが増加し、肝臓でセルロプラスミン合成が亢進するために増加する。セルロプラスミンを測定する。妊娠を確認する。
Cu血清・血漿薬剤:経口避妊薬
薬剤中のエストロゲンにより肝臓でセルロプラスミン合成が亢進するために増加する。セルロプラスミンを測定する。服薬歴を確認する。
乳酸NULL血液採血後:室温放置
放置すると赤血球内での解糖作用により乳酸が蓄積する。採血後は直ちに検査するか、除蛋白後の上清を凍結保存する。
尿3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸U-DOPAC尿蓄尿時:pH
排尿後は時間とともにアンモニア生成が進む。酸性下で蓄尿しないとpHが上昇するため酸化により急速に破壊される。6N塩酸を20~30ml添加してpHを3程度に保ち冷暗所で蓄尿する。直ちに分析できない場合は冷凍保存する。
尿pHNULL尿採尿後:室温放置
放置により細菌が増殖して尿素を分解してアンモニアの生成が起こりアルカリ化する。採尿後は速やかに検査する。
尿ウロビリノゲンNULL尿変動検査時:照明
照明の種類や強さで色調が変化する。明るすぎると薄く、暗すぎると濃く見える。1,000ルックス程度の昼光色蛍光灯下で判定する。太陽光直下は明るすぎて不可である。
尿カテコールアミンU-CA尿蓄尿時:pH
排尿後は時間とともにアンモニア生成が進む。酸性下で蓄尿しないとpHが上昇するため酸化により急速に破壊される。6N塩酸を20~30ml添加してpHを3程度に保ち冷暗所で蓄尿する。直ちに分析できない場合は冷凍保存する。
尿ケトン体,尿アセトン体NULL尿患者の行動:運動後
アセト酢酸は運動で増加し、運動中は骨格筋で利用されるため正常であるが、運動後の休憩時に利用が減少し一過性に陽性を示す。運動の有無を確認し、時間をおいて採尿する。
尿ケトン体,尿アセトン体NULL尿採尿後:室温放置
放置によりアセトンとアセト酢酸に分解されると揮発して偽陰性を招く。採尿後は速やかに検査する。
尿ケトン体,尿アセトン体NULL尿疾患:老人の糖尿病患者
老人の糖尿病患者で脱水があると著しい血糖上昇のため高浸透圧性昏睡に陥っても尿ケトン体は陰性のことがある。血糖の著しい増加を確認する。浸透圧を測定する。
尿ケトン体,尿アセトン体NULL尿疾患:低血糖発作
インスリン過剰が原因の低血糖発作では陰性の場合が多い。インスリンを測定する。
尿ビリルビン定性NULL尿採尿後:室温放置
光の下に放置すると紫外線でビリベルジンに変化し陰性化する。採尿後は速やかに検査する。
尿亜硝酸塩NULL尿採尿時:膀胱貯留時間
細菌の硝酸還元作用は尿が膀胱貯留中に起こるので、貯留時間が短いと陽性を示さない。特に外来患者は4時間以上の膀胱貯留があることを確認する。尿沈渣や細菌培養検査を行う。
尿亜硝酸塩NULL尿他項目の影響:硝酸還元能のない細菌
グラム陽性球菌などの硝酸還元能を有しない細菌感染症では陽性を示さない。尿沈渣や細菌培養検査で確認する。
尿亜硝酸塩NULL尿薬剤:抗生物質
抗生物質投与中は、細菌増殖が抑制されているので感染があっても検出できないことがある。抗生物質投与歴があったら3日程度中止して再検査する。検査室ではグラム染色で確認する。
尿亜硝酸塩NULL尿変動採尿後:室温放置
採尿直後は細菌の硝酸還元作用でやや増加するが、放置により分解されると陰性化する。採尿後は速やかに検査する。尿沈渣で確認する。
尿検査全項目NULL尿患者の行動:意図的
患者が虚偽に病状を作り出すミュンヒハウゼン症候群では、意図的に卵白、砂糖、血液、唾液などを混入させることがある。他のデータや症状と乖離がある。病歴聴取・問診を確実に行い、関連する検査を慎重に確認する。患者は医学的知識を持つ場合が多い。
尿検査全項目NULL尿患者の行動:意図的
尿に水を加えたり、水のみを提出する患者もいる。尿のCr・UN・電解質が異常低値で、他のデータとの乖離がある。尿コップの体感温度、色調、臭いに注意する。病歴聴取・問診で確認する。
尿細胞診NULL尿採尿時:少量
尿量が少ないと異型細胞の検出率が低下する。50mL以上は必要である。
尿細胞診尿採尿時:pH、低張尿
尿のpHが7.5以上や、浸透圧が300mOsm/kg以下の低張尿では細胞が急速に破壊する。細胞が少ないときは、尿のpH・比重・浸透圧を確認する。採尿後は速やかに検査する。
尿試験紙法NULL尿患者の行動:意図的
患者が虚偽に病状を作り出すミュンヒハウゼン症候群では、意図的に卵白、砂糖、血液、唾液などを混入させることがある。他のデータや症状と乖離がある。病歴聴取・問診を確実に行い、関連する検査を慎重に確認する。患者は医学的知識を持つ場合が多い。
尿試験紙法NULL尿検査時:試験紙の浸し方
試験紙を尿に浸す時間が長いと、試験紙から試薬が流れ出し判定が不正確である。さっと尿に浸し、尿コップの縁で余分な尿を取り除く。
尿試験紙法尿変動患者の飲食:ジュース、ドリンク剤
ジュースやドリンク剤に多量に含まれるアスコルビン酸(ビタミンC)は強い還元作用で酸化反応を妨害する。ブドウ糖、潜血、ビリルビン、亜硝酸塩は影響を受け偽陰性を示す。摂取したビタミンCはほとんど尿に排泄される。含有食物や服薬歴を確認する。検査前日に多量に摂取すると影響が大きい。
尿試験紙法白血球NULL尿他項目の影響:尿蛋白、尿糖、高比重尿
500mg/dL以上の蛋白・3g/dL以上のブドウ糖・高比重尿などでは反応が阻害され偽陰性のことがある。尿蛋白・尿糖・比重をチェックし、尿沈渣で確認する。
尿試験紙法白血球NULL尿他項目の影響:好酸球増多尿、リンパ球増多尿、トリプシンインヒビターの存在
好酸球増多尿(間質性腎炎、アレルギー性膀胱炎)、リンパ球増多尿(腎結核、腎移植後の拒絶反応、乳び尿)、トリプシンインヒビター存在では陰性を示す。尿沈渣で白血球が認められる。関連疾患の検索を行う。
尿試験紙法白血球NULL尿変動採尿後:室温放置
放置により白血球が破壊されるとエステラーゼが活性化し増加を示すが、その後はエステラーゼが変性し陰性化する。採尿後は速やかに検査する。尿沈渣で確認する。
尿色調、混濁NULL尿増強採尿後:室温放置
放置によりウロビリンが増加し濃色化したり細菌繁殖・塩類析出で混濁する。採尿後は速やかに検査する。
尿潜血反応NULL尿他項目の影響:ミオグロビン尿
Hbと同様にミオグロビンも偽ペルオキシダーゼ活性を持つためミオグロビン尿でも陽性を示す。尿沈渣で赤血球との乖離がある。血中ミオグロビンを測定する。
尿潜血反応NULL尿変動採尿後:室温放置
採尿後は徐々に赤血球が溶血するため陽性に傾くが、放置によりペルオキシダーゼ活性が低下すると偽陰性を示す。採尿後は速やかに検査する。赤血球は点状、溶血したHbは全体に発色する。
尿蛋白定性NULL尿変動採尿時:pH、保存剤
尿蛋白試験紙はpH指示薬による蛋白誤差を利用しているので、pH9以上では偽陽性を、塩酸などの保存剤添加では偽陰性を示す。pHや保存剤添加を確認する。高pHの場合は酢酸などで酸性化してから再度検査する。
尿蛋白定性NULL尿変動検査時:照明
照明の種類や強さで色調が変化する。明るすぎると薄く、暗すぎると濃く見える。1,000ルックス程度の昼光色蛍光灯下で判定する。太陽光直下は明るすぎて不可である。
尿沈渣NULL尿変動採尿時:初尿
初尿には混入物が含まれる。特に女性は膣分泌物が混入すると誤判定を招く。中間尿を採取する。女性は排尿前に尿道口を清拭してから陰唇を開いて採尿する。
尿沈渣NULL尿変動採尿後:室温放置
放置や蓄尿により細菌の増殖し、アルカリに傾くため血球・細胞・円柱などは崩壊する。採尿後は速やかに検査する。蓄尿は尿沈渣に不可である。
尿糖定性NULL尿採尿後:室温放置
放置により細菌が増殖してブドウ糖を消費し偽陰性を招く。採尿後は速やかに検査する。
脳性Na利尿ペプチドBNP血漿採血後:全血で放置
放置すると血液中の蛋白分解酵素により分解されて偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。NT-proBNPは放置の影響が少ない。
梅毒STS法STS血清自己抗体:抗リン脂質抗体症候群
生物学的偽陽性(BFP)では梅毒感染既往がなくても陽性を示す。自己免疫疾患の抗リン脂質抗体症候群で見られる。TPHAやFTA-ABSは陰性である。抗リン脂質抗体症候群ではPTは正常でAPTTが延長し、Pltの減少、習慣性流産、血栓症などが認められる。
白血球数WBC血液採血容器:EDTA採血
EDTAによる非特異的血小板凝集が起こると凝集塊をカウントするため偽高値を示す。Pltは低値を示す。血液像検査で確認する。ヘパリンまたはクエン酸Naで採血して再検する。
白血球数WBC血液他項目の影響:赤芽球出現
赤芽球は核があるので、自動分析機は白血球と区別できないため赤芽球の出現は偽高値を招く。血液像検査で赤芽球の確認と関連疾患を検索する。
白血球数WBC血液他項目の影響:血小板凝集
血小板の凝集が起こると凝集塊をカウントするため偽高値を示す。Pltは低値を示す。血液像検査で確認する。ヘパリンまたはクエン酸Naで採血して再検する。
白血球数WBC血液先天性:異常Hb症
異常Hb症で不完全溶血の赤血球が白血球として測定されると偽高値を示す。異常Hbの検索を行う。重篤な肝疾患でも起こり得る。
白血球数WBC血液疾患:クリオグロブリン
クリオグロブリン血症でグロブリンの結晶をカウントすると偽高値を示す。血液像検査でグロブリン結晶を確認する。採血後37℃に保って検査する。
白血球数WBC血液採血後:37℃以下に放置
寒冷凝集の存在、クリオフィブリノゲン血症では、低温・冷蔵により白血球が凝集し偽低値を示す。血液像検査で赤血球の凝集を確認する。採血後37℃に保って検査する。
白血球数WBC血液薬剤:免疫抑制剤、抗悪性腫瘍薬
免疫抑制剤や抗悪性腫瘍薬の服用時は、白血球が脆弱化して破壊されると偽低値を示す。服薬歴を確認する。血液像検査で白血球の形態をチェックする。
副甲状腺ホルモン関連蛋白PTHrP血漿採血後:全血で放置
放置すると血液中の蛋白分解酵素により分解されて偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
副腎皮質刺激ホルモン,コルチコトロピンACTH血漿採血後:全血で放置
放置すると血液中の蛋白分解酵素により分解されて偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
平均赤血球ヘモグロビン濃度MCHC血液採血後:37℃以下に放置
寒冷凝集や赤血球自己抗体が存在すると、低温・冷蔵で赤血球の凝集・溶血によりHtが減少して偽高値を示す。Hbは正常、RBC・Htが減少、WBC・MCV・MCHは高値を示す。血液像検査で赤血球の凝集を確認する。採血後37℃に保って測定する。
平均赤血球ヘモグロビン量MCH血液他項目の影響:白血球増加、乳び、ビリルビン増加
著しい白血球増多、乳び、30mg/dL以上のビリルビン増加はHbが高く測定されるため偽高値を示す。不相応なHb増加がある。MCH・MCHCも高値を示す。他項目の値を確認する。
平均赤血球容積MCV血液採血後:室温放置
24時間以上放置すると偽高値を示す。採血後は速やかに検査する。室温での安定性は6時間以内である。
平均赤血球容積MCV血液採血後:37℃以下に放置
寒冷凝集や赤血球自己抗体が存在すると、低温・冷蔵で赤血球が凝集・溶血して減少し偽高値を示す。Hbは正常、RBC・Htが減少、WBC・MCH・MCHCは高値を示す。血液像検査で赤血球の凝集を確認する。採血後37℃に保って測定する。
平均赤血球容積MCV血液他項目の影響:白血球増加
自動分析機は白血球を含めて赤血球として計測しているため、赤血球より大きい白血球の著しい増加があると偽高値を示す。HbとHtは高値、MCHCは低値を示す。血液像検査で確認する。
平均赤血球容積MCV血液他項目の影響:血糖高値
血糖が600mg/dL以上では偽高値を示す。血糖を確認し、低値の時に採血する。
平均赤血球容積MCV血液疾患:網赤血球増多症
網赤血球増多症では高値を示す。網赤血球が50%以上で影響が大きい。Htは高値、MCHCは低値である。網赤血球数を確認する。
便ヘモグロビンNULL便採便時:便器に排便
便器に排便してから採取すると、水により便表面の血液が洗い流されるため陰性化する。便器に触れないよう、トイレットペーパーや専用用紙に排便する。
便ヘモグロビンNULL便採便時:洗浄剤
採便時に便器に付いた界面活性剤を含むトイレ洗浄剤が混入するとHbの抗原性が失われて偽陰性を示す。便器に触れないよう、トイレットペーパーや専用用紙に排便する。
便ヘモグロビンNULL便採便後:室温放置
放置によりHbが腸内細菌由来のプロテアーゼにより分解され陰性化する。専用採便容器に採取し、冷蔵保存する。
便ヘモグロビン便疾患:上部消化管出血
免疫学的方法はヒトHbに対し特異性が高いが、上部消化管出血では排便までにHbが変性し陰性のことがある。免疫学的方法と化学的方法の原理を理解して使い分ける。
便寄生虫培養検査NULL便採取後:そのまま放置、低温で保存
鉤虫、糞線虫、東洋毛様線虫、ヒト桿線虫、住血吸虫の虫卵と虫体は低温に弱く人体外で速やかに死滅する。採取後は速やかに検査する。低温保存はしない。
便潜血反応NULL便採便時:消毒薬
採便時に便器に付いたトイレ消毒剤が混入するとグアヤック法などの化学的方法で偽陽性を示す。便器に触れないよう、トイレットペーパーや専用用紙に排便する。
補体第1成分 インアクチベーターC1INA血漿採血後:分離後の血清を冷蔵
血清を低温で保存するとクリオグロブリン様物質により補体活性を招くcold activationが起こるために偽低値を示す。C₃・C₄蛋白量は正常である。C型肝炎患者で頻度が高い。EDTA採血で再検する。
末梢血液一般検査CBC血液採血時:輸液中の採血、ラインから採血
ラインまたは輸液中の末梢部位から採血すると希釈されて偽低値を示す。電解質の不均衡・Glu・TP・ALBの値を確認する。反対側の腕から採血しても影響があり得る。
末梢血液一般検査CBC血液変動採血時:量不足、混和不足
採血後の混和が不十分であるとフィブリンが析出して血球を巻き込んで凝集するため偽低値を示す。特に血小板が著しい低値を示す。血液像検査で確認する。
末梢血液一般検査CBC血液変動採血時:体位、部位、時刻
体位、採血部位、時刻により変動する。臥位は立位より5~9%低値、耳朶血は静脈・指頭血より5~10%高値を示す。採血時の体位を考慮してデータを見る。経過観察では体位、採血部位、時刻を一定にする。
末梢血液像NULL血液変動採血時:溶血
採血が難しい患者、採血管の強振混和、注射器で採血後管底に向け勢い良く注入、などで溶血すると細胞形態が変化する。AST・LD・Kも上昇する。採血時は注意する。
末梢血液像CBC血液変動採血後:室温放置
放置により血球の変性・破壊や形態変化が起きる。白血球で影響が大きい。室温放置1時間以内では問題ないが、3時間以降に変化が進む。採血後は速やかに検査する。
無機リンIP,P尿蓄尿時:pH
酸性下で蓄尿しないと塩類の沈殿が起こり上清を測定すると偽低値を示す。6N塩酸を添加してpHを3程度に保ち冷暗所で蓄尿する。蓄尿容器を十分撹拌してから検査用に採取する。
無機リンIP,P血清採血後:全血で放置
放置により赤血球から漏出し偽高値を示す。室温24時間放置で34%増加する。血清分離後も有機リンが分解され上昇する。AST・LD・Kも上昇するが、UN・Cr・ECGは正常である。冷蔵保存では安定であるが採血後は速やかに検査する。
無機リンIP,P血清薬剤:ビタミンD、Ca製剤
ビタミンDやCa製剤の服用により高値を示す。Ca値の確認とPTHを測定する。Ca×IPが30~40の範囲を著しく逸脱していたら服薬を疑う。
無機リンIP,P血清変動生理現象:日内変動
0.5~1.0mg/L程度の日内変動があり、午前は低く午後は上昇する。日内変動を考慮して採血する。経過観察では採血時刻を一定にする。
免疫グロブリンIg血清疾患:多発性骨髄腫
BJP型骨髄腫では、異常産生されるBJPが低分子の免疫グロブリン軽鎖であるのでほとんど尿に排泄され、血清γ-グロブリンは低値を示す。X線検査による骨破壊像、骨髄像検査による形質細胞の確認を行う。濃縮尿を用いた免疫電気泳動でBJPを証明する。γ-グロブリンは尿試験紙法には反応しない。
免疫グロブリンIg血清疾患:多発性骨髄腫
BJP型や非定型骨髄腫ではγ-グロブリンは低値で蛋白分画検査でもMピークが認められない。骨髄像検査で形質細胞の増加、BJP型は新鮮尿を用いて免疫電気泳動で確認する。非定型骨髄腫の頻度は骨髄腫の2~3%である。
網赤血球数RET血液疾患:ジョリー小体
ジョリー小体の増加があると、核酸染色による自動分析機では偽高値を示す。血液像検査で確認する。
網赤血球数RET血液疾患:マラリア
重症なマラリア感染では、マラリア感染赤血球をカウントして偽高値を示す。血液像検査で確認する。
遊離コレステロールF-Chol血清採血後:室温放置
放置するとコレステロールエステラーゼによりエステル化が進み低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査する。
遊離サイロキシンFT₄血清変動自己抗体:FT₄自己抗体
FT₄自己抗体が存在すると測定系に干渉し、本来の濃度を示さない。抗T₄自己抗体を検索する。
遊離トリヨードサイロニンFT₃血清変動自己抗体:FT₃自己抗体
FT₃自己抗体が存在すると測定系に干渉し、本来の濃度を示さない。抗T₃自己抗体を検索する。
遊離脂肪酸FFA,NEFA血清採血後:全血で放置
放置するとリポ蛋白リパーゼによるTGの水解で徐々に増加し、24時間放置では1.5倍上昇する。血清の冷蔵保存でも経時的に上昇する。採血後は速やかに検査する。4℃でも24時間が限度である。
淋菌NULL該当検体採取後:そのまま放置、低温で保存
低温に弱く人体外で速やかに死滅する。採取後は37℃を保持して搬送し、速やかに検査する。
膵臓ポリペプチドPP血漿採血後:全血で放置
放置すると血液中の蛋白分解酵素により分解されて偽低値を示す。採血後は速やかに遠心分離し検査するか、凍結保存する。
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