疾患解説
フリガナ |
シンケイセイヤセショウ |
別名 |
神経性食欲不振症 神経性無食欲症
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臓器区分 |
精神疾患
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英疾患名 |
Anorexia Nervosa
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ICD10 |
F50.0
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疾患の概念 |
思春期の女子(患者の95%)に見られる疾患で、器質的疾患や精神的疾患が無いのに、肥満に対する恐怖や痩せ願望などの為、摂食制限や嘔吐により痩せ、無月経(3回連続して月経がない)などを引き起こす病態である。病因は不明で、女子であること以外は危険因子も特定されていない。標準体重の15%以上の体重減少がある。やせ願望や体重増加の病的な恐怖も特徴的で、わが国の若年女性の有病率は0.3~1.0%とされる。この疾患は2つのタイプがある。1.摂食制限型:患者は食物摂取量を制限するが、過食または嘔吐を定期的に行うことはなく、一部の患者は過度の運動を行う。2.過食・排出型:患者は定期的に過食し、その後嘔吐を誘発したり、下剤、利尿薬または浣腸を乱用する。性腺ホルモン値の低下、サイロキシン値およびトリヨードサイロニン値の軽度低下、ならびにコルチゾール分泌量の増加などの内分泌異常がみられる。食欲は、患者が著しい悪液質にならない限り維持される場合が多いので、本疾患をanorexia(食欲不振)と呼ぶのは不正確である。
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診断の手掛 |
家族に連れてこられるか、併発症状のために受診した患者が、食欲不振を頑強に否定することが特徴的である。体重減少、筋肉と脂肪の消耗が、外見から判断してわかる場合が多い。顔色が悪い、髪のぱさつき、骨の突出などもチェックすべき所見である。身体所見としては、徐脈、低血圧、低体温、うぶ毛の密生または軽い多毛症や浮腫などがよく見られる。また、肥満への過度の恐怖、身体イメージの障害、正常体重を少しでも上回ることの拒絶などの行動上の特徴を見落とさない。患者は以下のような食物への拘りが認められるので見逃さない。1.食事およびカロリーについて研究する。2.食物をためこみ、隠し、浪費する。3.レシピを収集する。4.他人のために手の込んだ食事を作る。 【診断基準 米国精神医学会 2003年】 1.上旬体重の85%未満の体重 2.体重増加への恐怖 3.体重、体型に大きく影響される自己評価 4.連続3か月(回)の無月経 **(通常、月経が停止するが、現在、月経停止は診断基準ではない) 【診断基準 MDSマニュアル】 低体重および食事制限の深刻さを認識していないことが神経性やせ症の顕著な特徴であり、患者は評価および治療に抵抗する。通常、患者は家族に連れられて受診するか、併存症のために受診する。
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主訴 |
意識障害|Memory impaiment 下腿浮腫|Leg edema/Crus edema 徐脈|Bradycardia 体重減少|Weight loss 脱毛|Alopecia 低血圧|Hypotension/Hypotonia 低体温|Hypothermia 皮膚乾燥|Xeroderma 不安|Anxiety 浮腫|Edema/Dropsy 便秘|Constipation 味覚障害|Taste disorder 無月経|Amenorrhea やせ|Weight loss 抑うつ状態|Depressive state
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鑑別疾患 |
悪性腫瘍 アジソン病/急性副腎不全|Addison's Disease/Adrenal Crisis エイズ/HIV感染症|Acquired Immune Deficiency Syndrome(AIDS) 褐色細胞腫|Pheochromocytoma 肝炎 肝硬変|Cirrhosis of Liver 筋ジストロフィー|Muscular Dystrophy 筋萎縮性側索硬化症|Amyotrophic Lateral Sclerosis(ALS) クローン病|Crohn's Disease 膠原病 甲状腺機能亢進症|Hyperthyroidism 消化性潰瘍|Peptic Ulcer 電解質異常 脳血管障害 汎下垂体機能低下症 慢性膵炎|Chronic Pancreatitis 無月経 視床下部腫瘍 糖尿病|Diabetes Mellitus 炎症性腸疾患 結核 低リン血症|Hypophosphatemia
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スクリーニング検査 |
Albumin|アルブミン [ /S] Amylase|アミラーゼ [ /S] Aspartate Aminotransferase|アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ [ /S] Basophils|好塩基球 [ /B] C-Peptide|C-ペプチド [ /P] Cholesterol|総コレステロール/コレステロール/コレステリン [ /S] Creatine Kinase|クレアチンキナーゼ/クレアチンホスホキナーゼ [ /S] Complement CH50|補体価/CH50 [ /S] Creatinine|クレアチニン [ /S, /U] Eosinophils|好酸球 [ /B] Follicle-stimulating Hormone|黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン/性腺刺激ホルモン [ /P] Glucose|グルコース/血糖/ブドウ糖 [ /S, /S] Hematocrit|ヘマトクリット/赤血球容積率 [ /B] Hemoglobin|ヘモグロビン/血色素量 [ /B] Immunoglobulin G|免疫グロブリンG [ /S] Immunoglobulin M|免疫グロブリンM/マクログロブリン [ /S] Lactate Dehydrogenase|乳酸デヒドロゲナーゼ [ /S] Leukocytes|白血球数 [ /B] Lymphocytes|リンパ球 [ /B] Monocytes|単球 [ /B] Neutrophils|好中球 [ /B] Phosphate|無機リン [ /S] Platelets|血小板 [ /B] Potassium|カリウム [ /S] Thyroxine (T4)|総サイロキシン/総T4/サイロキシン/チロキシン [ /S] Thyroxine,Free(fT4)|遊離サイロキシン/遊離T4/フリーT4/遊離チロキシン [ /S] TIBC|総鉄結合能 [ /S] Transferrin|トランスフェリン [ /S] Tri-Iodothyronine (T3)|総トリヨードサイロニン/総T3/トリヨードサイロニン/トリヨードチロニン [ /S] Tri-Iodothyronine, Free (fT3)|遊離トリヨードサイロニン/フリーT3/遊離T3/遊離トリヨードチロニン [ /S] Triglycerides|トリグリセリド/中性脂肪/トリグリセライド/トリアシルグリセロール [ /S] Urea Nitrogen|尿素窒素 [ /S, /S]
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異常値を示す検査 |
1,25-Dihydroxy Vitamin D|1,25-ジヒドロキシビタミンD3/1α,25-ジヒドロキシビタミンD/活性型ビタミンD [ /S] 17-Hydroxycorticosteroids|17-ヒドロキシコルチコステロイド [ /U] 25-Hydroxy Vitamin D|25-ヒドロキシビタミンD/25OHビタミンD [ /S] 3,3'-Dityrosine [ /S] 3-Methoxy-4-hydroxyphenylglycol|3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルグリコール [ /P] 5-Hydroxyindoleacetic Acid|5-ヒドロキシインドール酢酸 [ /CSF] Androstenediol [ /P] Angiotensin-converting Enzyme|アンギオテンシン変換酵素 [ /S] Apolipoprotein B|アポリポ蛋白B [ /S] Atrial Natriuretic Peptide|心房性Na利尿ペプチド [ /P] Basal Metabolic Rate [ /Patient] C-Peptide|C-ペプチド [ /P] C-terminal Propeptide of Type I Collagen [ /S] C-terminal Propeptide of Type I Procollagen|Ⅰ型プロコラーゲンC末端プロペプチド [ /S] C-terminal Telopeptide of Type I Collagen|I型コラーゲンC末端テロペプチド [ /S] Carotene|カロチン/プロビタミンA/カロチノイド [ /S] Catecholamines|カテコールアミン総 [ /U] Cholecystokinin|コレシストキニン/コレシストキニン・パンクレオザイミン [ /P] Complement C2|補体第2成分/C2 [ /S] Complement C3|補体第3成分/β1C・β1Aグロブリン/C3 [ /S] Copper|銅 [ /S] Corticotropin-Releasing Hormone|副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン/ACTH放出ホルモン [ /CSF] Cortisol|コルチゾール [ /P, /P] Cortisol, Free|コルチゾール [ /U] Creatinine Clearance|クレアチニンクリアランス [ /U] Dehydroepiandrosterone Sulfate|デヒドロエピアンドロステロンサルフェート [ /P] Dehydroepiandrosterone|デヒドロエピアンドロステロン [ /P] Deoxypyridinoline|デオキシピリジノリン [ /U] Dexamethasone Suppression|デキサメタゾン抑制試験 [Abnormal/Patient] Epinephrine|カテコールアミン総 [ /P] Estradiol|エストラジオール/E2 [ /P, /U] Estrogens|総エストロゲン(非妊婦)/エストロゲン(非妊婦) [ /P] Factor VIII Antigen|第VIII因子様抗原/第VIII因子関連抗原/フォンウィルブランド因子抗原量 [ /P] Free Fatty Acids|遊離脂肪酸/非エステル型脂肪酸/FFA [ /S] Fibronectin|フィブロネクチン [ /P] Growth Hormone|成長ホルモン [ /P, /P] Growth Hormone Binding Protein|成長ホルモン結合蛋白 [ /S] Homocysteine|ホモシステイン/ホモシスチン/総ホモシステイン [ /P] Homovanillic Acid|ホモバニリン酸 [ /CSF, /P] Insulin|インスリン [ /P] Insulin-like Growth Factor Binding Protein-1 [ /S] Insulin-like Growth Factor Binding Protein-2 [ /S] Insulin-like Growth Factor Binding Protein-3|インスリン様成長因子結合蛋白-3型/IGF結合蛋白-3 [ /S] Insulin-like Growth Factor-I, Free [ /S] Insulin-like Growth Factor-I|インスリン様成長因子-1/ソマトメジンC [ /P, /S] Insulin-like Growth Factor-II|インスリン様成長因子-2 [ /S] Insulin-like Growth Factor-II, Free [ /S] Interleukin-6|インターロイキン-6 [ /S] Kynurenic Acid|キヌレン酸 [ /CSF] Leptin|レプチン [ /S] Lipase|リパーゼ/膵リパーゼ [ /S] Lipase, Pancreatic|リパーゼ/膵リパーゼ [ /S] Luteinizing Hormone|黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン/性腺刺激ホルモン [ /P] Melatonin|メラトニン [ /P] Neuropeptide Y|ニューロペプチドY [ /CSF] Norepinephrine|カテコールアミン総 [ /P, /U] Osteocalcin|オステオカルシン [ /S] Oxytocin|オキシトシン [ /CSF] Parathyroid Hormone|副甲状腺ホルモン [ /P] Platelet Aggregation|血小板凝集能 [ /B] Prolactin|プロラクチン/乳汁分泌ホルモン [ /P] Prolactin Response to TRH [ /P] Serine|セリン [ /S] Sex-Hormone Binding Globulin|性ホルモン結合グロブリン [ /S] Somatostatin|ソマトスタチン [ /P] Testosterone|テストステロン/総テストステロン/アンドロゲン [ /S, /S] Thyrotropin Releasing Hormone|甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン [ /CSF] Transforming Growth Factor-β|形質転換成長因子-β/トランスフォーミング増殖因子-β [ /S] Transthyretin|トランスサイレチン/プレアルブミン [ /S] Tri-Iodothyronine, Reverse (rT3)|リバースT3 [ /S, /S] Tryptophan|トリプトファン [ /P] Tryptophan, Free [ /P] TSH response to TRH [ /S, /S] Tyrosine|チロシン [ /CSF] Vanillylmandelic Acid|バニリルマンデル酸 [ /U] Vitamin A|ビタミンA/レチノール [ /S] Vitamin E|ビタミンE/トコフェロール/α-トコフェロール [ /S] Zinc|亜鉛 [ /S] β-Carotene|β-カロチン [ /S] β-Endorphin|β-エンドルフィン [ /CSF, /P] β-Hydroxybutyrate [ /S]
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関連する検査の読み方 |
【CBC】 貧血はあまり高度ではない。白血球は減少する。 【肝機能検査】 治療前、治療途中でも異常がみられる。 【凝固】 重症例ではDICがみられることがある。 【LH/FSH】 低値を示し、黄体化ホルモン放出ホルモンに対する反応性は低下する。 【LH-RH負荷試験】 反応が低下する。下垂体下部ペプチドであるLH-RHは下垂体前葉に直接作用し、LHとFSHの分泌を促進する。この検査はLH-RHの作用により下垂体からのLH,FSHの分泌予備能を把握し、視床下部-下垂体-性腺系の機能障害の診断に有用である。視床下部障害ではLHとFSHの基礎値は低く、LH-RHに対する反応は良好である。下垂体障害では基礎値と反応の両者が不良である、また、性腺障害は基礎値が高く、反応は過剰反応を示す。 【UN】【クレアチニン】 腎前性の高窒素血症を起こし、増加する。 【腎機能検査】 腎機能障害がみられる。 【尿中ケトン体】 陽性になる。 【コレステロール】 しばしば高値を示す。 【血糖】 低血糖がみられる。 【電解質】 Kと無機リンは体重減少に比例して低下する。 【亜鉛】 低値になる。 【副腎機能検査】 コルチコイドは基準範囲内か増加。糖質コルチコステロイドは日内変動の欠如。ACTH負荷試験は反応性亢進。デキサメサゾンによる抑制は不完全。メチラポンに対する反応は正常か過剰。尿17-KSと17KGSは低値だが機能不全はない。 【甲状腺機能検査】 一部の患者が甲状腺機能低下の検査所見(T3、T4はやや低下、TSHは基準範囲内)を示す。 【骨密度】 低下する。 【検査所見】 直接診断に結びつく検査所見はない。多くの所見は栄養失調に続発した所見を呈する。
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検体検査以外の検査計画 |
消化器内視鏡検査、腹部超音波検査、胸部X線検査、CT検査
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